AWSの“無駄遣い”の正体は? 節約上手の企業から学ぶ「コスト最適化術」7万社のデータを分析

クラウド費用の最適化は企業の重要なミッションだ。AWSが7万社以上の利用データを分析したレポートから、コスト効率の高い企業が実践する具体的な行動が判明した。無駄を省き、削減効果を高める手法とは。

2026年07月01日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 クラウドサービスを活用する企業にとって、仮想サーバやストレージといったリソースにかかる費用の最適化は喫緊の課題だ。

 Amazon Web Services(AWS)は2026年6月、同年の3カ月分7万1000社以上の顧客データを分析した「AWSにおけるコスト効率の現状レポート」を公開した。「コスト効率スコア」は、最適化可能な支出額のうち、すでに十分に最適化されている割合を0.0〜100.0の数値で表したものだ。2026年5月時点の集計によると、全企業のコスト効率スコアの中央値は83.0、平均値は79.0だった。この差異は、最適化の取り組みが進んでいないロングテールの企業群が存在することを示している。

 AWSがクラウド支出の規模に基づいて企業を分類したところ、特有の傾向が明らかになった。中小企業に相当する小規模層では、スコアのばらつきが52.0ポイントの広範囲に及んだ。これは、クラウド財務管理(FinOps)の取り組みが本格化している企業と、まだ初期段階の企業が混在している状況を反映している。一方、大規模企業では、専任チームが継続的に最適化を進めており、スコアの分布がより狭い範囲(35.0ポイント)に集中していた(図)。

図 図 コスト効率スコアの分布(提供:AWS)《クリックで拡大》

 コスト効率スコアが高い上位層の企業は、具体的にどのような最適化施策を実践しているのか。

AWSコスト削減の鉄則は?

 分析の結果、コスト効率スコアが上位25.0%の層に共通する具体的な行動パターンが判明した。

 1つ目の特徴は、「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)におけるメモリメトリクスの有効化だ。メモリの実際の使用状況を精緻に把握することで、リソースサイズの適正化(ライトサイジング)の推奨事項がより正確になり、新たな削減機会を発見できる。実際に、メモリメトリクスを有効化すると、推奨事項1件当たりの削減率が8.0〜30.0ポイント高まる傾向が確認されている。しかし分析対象企業のうち、これを有効化しているのは全体の17.7%にとどまっており、多くの企業で最適化の余地が残されている現状が浮き彫りになった。

 2つ目は、最適化ツールの推奨設定を自社の要件に合わせて調整している点だ。リソースの適正化を提案する「AWS Compute Optimizer」の推奨事項をカスタマイズしている企業は、未調整の企業に比べてスコアの中央値が3.0〜4.0ポイント高かった。これは、エンジニアリングチームがコスト最適化に能動的に関与し、現場の信頼を得るための先行指標として機能している。

 3つ目は、一定の利用を条件に定額料金で割引が適用される事前コミットメント型割引プラン「Savings Plans」と、能動的なライトサイジングの戦略的な組み合わせだ。Savings Plansの適用率(カバレッジ)を上げるだけで満足してしまうケースが散見されるが、カバレッジが95.0〜100.0%に達している企業では、0.0〜25.0%の企業と比べて、それ以外の最適化機会の合計が65.0〜80.0%も減少してしまう。過剰にプロビジョニングされた容量に割引レートを固定してしまうと、後からの適正化が困難になるためだ。

 Savings Plansを利用している企業のうち、能動的にライトサイジングを実行しているのは47.1%に過ぎない。高いコスト効率を実現している企業は、「まず縮小し、それから一定額の利用を予約(コミット)する」という順序を徹底している。コミットメントとライトサイジングを併用している大規模層は、Savings Plansのみを利用する層と比べて、新しい世代のハードウェアで実行しているEC2インスタンスの割合が約60.0%多く、スコアの改善も4.0倍速いことが分かっている。

 これらの分析結果を踏まえ、AWSはコスト効率を改善するための具体的なステップを提唱している。

1.アイドルリソースのクリーンアップ

  最初のステップは、リスクの少ないアイドルリソースのクリーンアップだ。何の役割も果たしていない可能性が高いリソースを対象にするとよい。具体的には、どこにもアタッチされていない「Amazon EBS」ボリューム、使用率がほぼゼロのAmazon EC2インスタンス、接続のない「Amazon RDS」データベースなどが挙げられる。

2.CPUやメモリのサイジング

 次のステップとして、既存リソースのライトサイジングを実行し、CPUやメモリを適正なサイズに調整する。対象はEC2だけでなく、RDSや「Amazon Aurora」、Amazon EBSボリューム、「AWS Lambda」関数など多岐にわたる。新たな削減機会が表面化することで初期段階では一時的にスコアが低下する可能性があるが、それは実現可能な削減余地が顕在化したことを意味する。

3.Savings Plansによる割引の適用

 最後のステップでは、無駄をそぎ落としたリソースに対してSavings Plansを購入し、割引を適用する。一度にまとめてコミットするのではなく、ライトサイジングの進行に合わせて段階的にカバレッジを増やしていく手法が有効だ。このアプローチにより、将来的に大きなコミットメントが一度に期限切れを迎えるリスクも回避できる。


 クラウドサービスの費用最適化は、一度きりのイベントではない。日次で更新されるコスト効率スコアを活用し、目標に対する進展度を追跡しながら、一連のプロセスを継続的に回すことが求められている。財務管理チームが具体的なコスト削減額と結び付いた成果を可視化し、企業全体で文化の変革を促すことが、中長期的なクラウドサービス活用を成功に導く。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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