急成長企業ミクシィのアキレス腱IT変革力【第29回】

東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たしたミクシィは、Web2.0企業の代表として、マスコミでも注目されています。一流企業に向けて成長しつつあるミクシィの解決すべき経営課題は何かを考えてみました。

2006年12月13日 14時09分 公開
[TechTarget]

 2006年9月に東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たしたミクシィですが、どうも最近、いろいろと眉をひそめる事件が起こっています。例えば、大手電機会社の社員の画像漏えいに伴った女性の実名漏えい事件などの問題がマスコミを騒がせています。当然、ネットに強いミクシィのことゆえ、しっかり対処するのかと思っていましたが、結構、もたもたしており、まだ学生ベンチャー気分が抜けていないようです。

 こうした中、日本では、はてなとともにWeb2.0企業の代表のように言われているミクシィの解決すべき経営課題は何かを考えてみました。一言で言えば、事件や事故発生時の経営の「説明責任」が不十分であり、会社の急成長に経営者の成長が追いついていないといったところでしょう。これらの点は明らかに、IT企業以外でもしばしば見られる経営上の普遍課題です。

目立つ事件や事故への対処の良否

 さて、我が国でも伝統ある企業は過去、いろいろな事件や事故に遭遇してきました。ちょっと思い出してみただけでも、食品業界の雪印乳業、製薬業では参天製薬、自動車業界では三菱自動車工業、電機業界の東芝などの事件や事故が記憶に残っています。

 製品のリコール問題や、外部から毒物混入の脅かしを受けた事例、電話でのクレーム対応を誤った事例など、企業が遭遇する事件や事故は絶える時がありません。

 事件や事故の原因を突き止め、それらの発生を避けることはもちろん重要です。しかしそれと同じくらい重要なのは、経営者の「説明責任」とその断固たる姿勢でしょう。

 筆者は事件や事故の発生時、経営者の「説明責任」姿勢の差がその後の企業業績への明暗を大きく分けている点に注目しています。例えば、外部から毒物混入の脅かしを受けた際、経営者のメッセージをすぐに発して製品の店頭回収を進めた参天製薬は、事件をきっかけにブランドイメージを大きく高めました。一方、集団食中毒事件や牛肉偽装事件で大きな痛手を受けた食品グループもあります。この時は当時の社長さんが「私は寝てないんだよ」とおっしゃって、ブランドイメージが傷ついたと考えられています。

 これらの前例は、事件や事故への企業の「説明責任」とそれに伴う経営姿勢の重要性を示しています。

 さて、ベンチャー企業だったミクシィは2006年2月、社名をイー・マーキュリーからミクシィへと変更し、上場の準備に入りました。そして2006年9月、Web2.0と呼ばれる企業群の中で初の上場を果たしました。しかしその直後、大手電機会社の社員の画像漏えいに伴った女性の実名漏えい事件などがミクシィで発生しました。この事件はこれまで参加者の実名登録が安全と思われていた、日本一のSNSサービスであるミクシィの安全神話を大きく揺るがすものでした。確かにミクシィのようなネットコミュニティサービスには、2ちゃんねるのようなもめ事は大なり小なりついて回ります。しかし、筆者の目には事件そのものよりも、上場企業ミクシィの「説明責任」が極めてあやふやであり、曖昧な点の方が気掛かりです。

 昔、今の新潟県にあたる越後に長尾景虎と言う武将が居ました。彼は有名な戦国武将でした。その後、長尾景虎は名門上杉氏より関東管領職と上杉姓を譲られ、上杉謙信を名乗りました。単なる一土豪の長尾景虎が、足利幕府の要職である関東管領という足利幕府のブランドネームを獲得した、上杉謙信となったわけです。その後、景虎の影響力はより大きくなり、多数の武士が上杉謙信の下に馳せ参じて、武田信玄との有名な川中島の戦いをすることとなりました。

 さて、ミクシィは上場準備に入った2006年2月、社名をイー・マーキュリーからミクシィに変更しました。

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