ヴイエムウェア、次世代仮想化技術を見据えた製品戦略を発表NEWS

ヴイエムウェアは10月6日、先立って開催された「VMworld 2008」で発表された製品戦略についての記者説明会を行った。クラウドコンピューティングとデスクトップ仮想化が今後のキーワードになるという。

2008年10月07日 19時40分 公開
[吉村哲樹,TechTargetジャパン]

 ヴイエムウェアは10月6日、同社の今後の製品戦略について記者説明会を行った。9月15日から18日にかけて米ラスベガスで開催された同社のイベント「VMworld 2008」で発表された内容を基に、同社がこれから目指す次世代仮想化ソリューションの概要について説明を行った。

 同社の製品戦略は、データセンター全体レベルでの仮想化を実現する「Virtual Datacenter OS」(VDC-OS)、クラウドコンピューティングへの取り組みを強化する「vCloud Initiative」、デスクトップ仮想化ソリューション「vClient View」の3つのコンセプトから成る。

画像 「データセンター全体の仮想化によるクラウド化」「外部のクラウドとの連携」「デスクトップ仮想化」の3分野にフォーカスしていくという

 VDC-OSは、VMware ESXを中心とした同社の従来のサーバ仮想化ソリューションの対象範囲を、個々のサーバ単位からデータセンター全体の仮想化へと拡大させたコンセプト。サーバだけでなく、ストレージやネットワークも含めたデータセンターのリソース全体を同社およびパートナーの技術により包括的に仮想化し、あたかもデータセンター全体の“OS”として機能させることだ。アプリケーションは、稼働しているハードウェアやOSにかかわらず、仮想化されたシステムリソースを必要なときに動的に利用可能になるという。ヴイエムウェア テクニカルアライアンスマネジャーの名倉丈雄氏は「こうして構築された社内システムは“Internal Cloud”、すなわち“社内クラウド”と呼べるもの」と説明する。

画像 ヴイエムウェア テクニカルアライアンスマネジャー 名倉丈雄氏

 VDC-OSの実現のために同社は今後、仮想マシンへのストレージ領域割り当てを動的に行う「vStorage」、データセンター全体のレベルで仮想ネットワークの構成を行うことができる「vNetwork」などの新技術を実装した製品を順次提供していく。また、物理ハードウェア管理機能「vCompute」を強化し、仮想マシンごとに最大で8仮想CPU、256Gバイトの仮想メモリを利用可能にするほか、システム管理ツール「vCenter」にもVDC-OS用の機能を新たに加える。

 vCloud Initiativeは、VDC-OSにより構築した社内クラウドシステムと社外のクラウドシステムをシームレスに接続する技術を開発し、あらゆるアプリケーション負荷に対応できる企業レベルのクラウドコンピューティングを推進するプログラム。現在同社のパートナー企業100社以上が参加している。「Cloud vService」と呼ばれる技術を中心に、クラウドシステム同士を接続するAPIやプラットフォームを提供する。ユーザー企業は、社内に加えて社外のシステムリソースも柔軟かつ動的に調達して利用できるようになり、効率性と俊敏性に優れたシステム構築・運用が可能になるという。

 vClient Initiativeは、同社のクライアント仮想化に関する戦略。同社の従来のクライアント仮想化ソリューション「VMware Virtual Desktop Infrastructure」(VMware VDI)の管理機能を中心に機能強化を行い、新たに「VMware View」として提供していく。さらに、2009年にはクライアントのハードウェアに直接インストールして使用できるハイパーバイザー製品の提供も予定しているという。「WAN環境下でのリッチクライアントから高速LAN環境でのシンクライアントまで、ユーザーの環境はさまざま。なるべく多くのニーズに応えられるよう、複数の仮想化ソリューションを提供していく」(名倉氏)という。

 VDC-OSとvClient Initiativeに関する新製品は、2009年に順次発表する予定。vCloud Initiativeに関する具体的な製品リリースは未定だが、参加パートナー企業との協力による成果が挙がり次第随時公表していくという。

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