中小流通業にもやさしい流通BMS対応EDI「UMLaut/J-XML」流通BMS対応製品紹介

流通BMSへの移行はレガシーからの載せ替えが大きな負担となる。「UMLaut/J-XML」はレガシーを切り離し、豊富なオプションで短期かつ容易な導入を支援する。

2009年12月25日 08時00分 公開
[富永康信,ロビンソン]

コンサルティング企業が手掛けた流通BMSソフトウェア

 多くの業種へのコンサルティングから生み出された異色の流通BMS対応EDIソリューションがある。戦略的ITプロジェクトを中心としたコンサルティングを得意とするウルシステムズが開発した「UMLaut(ウムラウト)/J-XML」である。2006年度から始まった経済産業省における流通システム標準化事業において、卸売業各社との共同実証で成果を挙げ、製品化後は大手流通業へ提供が行われている。

 UMLaut/J-XMLは、従来のJCA手順による受発注情報の交換だけでなく、ASN(Advanced Ship Notice:事前出荷情報通知)、出荷、検品、請求、支払いに至るまでの受発注業務全般について、約7000パターンの業務フローを網羅し、取引先企業と自社システムとの間のデータ交換の仕組みを構築することができる。また、単に取引先とのデータ交換環境を構築するだけでなく、ビジネスプロセス管理(BPM)を行うことで、メーカー・卸・物流・小売といった日本独自の商流に適合した多種多様な取引形態も実装可能という点が特徴だ。

流通BMSのメリットだけを引き出したUMLaut/J-XML

画像 「UMLaut/J-XMLは流通BMSのメリットだけを引き出したパッケージとしている点が大きな特徴です」(土田氏)

 コンサルティングをなりわいとする同社がなぜ流通BMSのプロダクトを開発するに至ったのか。同社ソリューション事業部 事業部長 土田浩之氏は、その理由を「金融・通信・公共などさまざまな業種のクライアントへコンサルティングを行う中で、共通課題の多くが受発注業務に起因することが分かったためです」と語る。同社は複数業種の企業へのコンサルティングを通じて従来のEDIではない新たなEDIの必要性を認識し、経済産業省が主導する事業に参加しながら製品の概要を固めパッケージ化していったという。そのノウハウを活用し、新たに流通BMS対応パッケージとして開発したのがUMLaut/J-XMLというわけだ。

 一般的に次世代EDIへの対応は、現状のJCA手順や全銀ベーシック手順、全銀TCP/IPといったレガシーに手を加えて流通BMSへと載せ替える形を推奨しているが、基幹システムとの連携のためのシステム改変などがユーザー企業にとって大きな負担となる場合がある。一方、UMLaut/J-XMLはレガシーとは切り離して別途流通BMS専用のサーバを立て、レガシーをそのまま使い続けながらスケールアウトできるシナリオに従って管理することを提案する。

中小企業への流通BMS導入を容易にするオプション提供

 流通BMSのメリットは主に3つ考えられる。第1のメリットは伝票レスである。発注、出荷、支払いまでの一連のビジネスフローにおいてデータの一意性が保障されるため、その度に伝票を作成・送付する必要がないことだ。第2のメリットは業務連携のリアルタイム化だ。基幹系を含めた既存の仕組みがバッチ処理業務だったものを、流通BMSによってリアルタイム処理も柔軟に取り込める仕組みとなる。第3にトレーサビリティ(追跡可能性)の確保だ。インフラ基盤に流通BMSを利用することで、商品の動きや請求・支払いはどの発注にひも付いているのかが可視化できるようになる。それらすべての要件にUMLaut/J-XMLは応えているが、それ以外に土田氏は5つのポイントで強みを解説する。以下、順に説明していこう。

1.短期導入

 流通BMSは可変性・可読性・開発生産性の高さを特徴としているが、XMLフォーマットを使いこなすスキルと業務システムとのデータマッピングが前提となる。これは想像以上に高いハードルで、中小企業への流通BMSの普及を阻害している一因ともなっているという。流通システム開発センターが提供する流通BMSの導入ガイドラインでは、プロジェクト開始からサービスインまで「目安として半年程度の期間が必要」としているほどだ。

 UMLaut/J-XMLはCSV形式で取り込んだファイルを自動で流通BMSのXMLフォーマットに変換するほか、業務アダプターおよびオプションの簡易導入パッケージ「UJX-Starter KIT」により、発注・出荷・受領・返品の4メッセージについて基幹業務システムとの連携開発を容易にする。「基本設計から詳細設計、開発、構築、テストまでの通常4カ月要する期間を約半分の2カ月に短縮し、開発費用の削減と短期導入を可能にしています」(土田氏)

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