タイル型インタフェースやタッチスクリーン
Windows 8の新機能に、どう「タッチ」すべきか?
2011年6月に公開されたWindows 8の新インタフェース。Windows 7やそれ以前のOS用の「レガシーアプリ」の存在が、Windows 8の新機能の全面的な導入をためらわせている。
Windows 8(ここまで分かった、Windows 8で追加される新機能も参照)のリリースは2012年の後半以降になる見込みだが、2011年6月初めに、米Microsoftは早くもこの次期OSに搭載する新しいテクノロジーを公開し始めた。Windows 8のマーケティング進撃の最初の喚声を上げたといえる。
注目を集めたのは、Windowsのスタートメニューに代わって採用されたWindows 8の新しいタイル型インタフェースだ。新しいインタフェースは、コントローラー端末上の小型の画面から大型のPCベースのデスクトップ画面、社内キオスクに至るまで、タッチ操作専用のスクリーンをサポートできる。また、今回のお披露目でMicrosoftは、この新しいテクノロジーは、新世代のタッチ操作中心のハードウェアの誕生を促すものではないとしても、新世代端末への布石になり得るという考えを示した。
Windows 8の新テクノロジーの可能性は認識しているが、導入には幾つかの懸念ある。その懸念とは、主としてタッチ操作を利用するアプリケーションとそうでないレガシーアプリケーションとの互換性に関するものであり、ITサポートスタッフのトレーニングに伴う費用についての懸念である。
「長い目で見れば確かに活用できる可能性はある。しかし、短期的にはテクニカルサポートのトレーニングやアプリケーションの互換性の問題に対応しなければならない」と米国の新聞社Seattle Timesの副社長兼CIOを務めるビル・イアラス氏は指摘する。「Windows 7などとは一応の互換性は確保されることになっているが、レガシーアプリケーションのWindows 8への移行に関しては多くの疑問がある」(同氏)
イアラス氏によると、原稿を用意して印刷会社に回すまでのワークフローのうち、キーボードやマウスをあまり使用しない多くの作業については、タッチスクリーンシステムへの置き換えが考えられるという。
「現在のパラダイムからタッチスクリーンを考えると、多くの意義を見出せないかもしれない。しかし、アプリケーションベンダーやITベンダーにアプリケーションを変更する力量があれば、タッチスクリーンをこれまでとは別の形で利用することはあり得る」とイアラス氏は話す。
米Sun National Bankの上級副社長兼CIOのアンジェロ・バレッタ氏も、タッチ操作中心のテクノロジーを導入する可能性を認めているが、現時点では、主に戦略的な分野に限るという。具体的には、顧客がタッチスクリーンキオスクを使用して商品やサービスの情報にアクセスするセルフサービス機能が1つの柱になる「未来の部門」での活用を考えている。
「この技術を使用すれば、ある画面に専門スタッフを呼び出した状態で、顧客が別の画面でタッチ操作を行うといったことができるだろう」とバレッタ氏は話す。「しかし、Windows 8でこのテクノロジーがどのように実装されるか、また、既存のハードウェアでどのように対応できるかを確認する必要がある」
一部のアナリストは、規模の大きいITベンダーの場合、トレーニング費用やミッションクリティカルなアプリケーションの互換性の問題もあり、デスクトップPCにタッチテクノロジーとタイル型インタフェースを採用するという考えが受け入れられるまでには時間がかかると見ている。
「ほとんどのITベンダーは、これは素晴らしいテクノロジーだと認めはしても、当面は従来のインタフェースを維持するだろう」と米調査会社IDCでシステムソフトウェアを担当するアナリスト、アル・ギレン氏は言う。「タイル型インタフェースの操作を習得するには時間もかかるし、資産上の問題もある。また、既存のアプリケーションはどれもタイル機能を利用できないだろう」
2011年6月のデモでMicrosoftは、既存のWindowsプログラムとWindows 8向けに設計された新しいアプリケーションは「簡単に相互運用」できるとしている。Windows Explorerやデスクトップの全機能の他、Windows 7ロゴが付いた全てのPC、ソフトウェア、周辺機器との互換性も含め、Windowsの機能は完全に維持されるという。すぐにタッチ機能が必要でなければ、難なくタッチ機能をオフにして、これまで通りマウスとキーボードを使用することもできるという話だ。
HTML5がポイントに
Windows 8の高度な機能をフル活用するアプリケーションを開発するには、HTML5がポイントになることをMicrosoftは強調している。多くのITベンダーは、HTML5に関してはまだ評価中の段階で、実績はほとんどない。しかし、HTMLを使用して開発されたアプリケーションは複数のプラットフォームで実行できるため、投資した時間も資金も回収できると見る向きもある。
「(HTML5に関して)注目している最大のポイントは、さまざまなプラットフォームに対応しながら、そのアプリケーションとしての統一感も保てるアプリケーションを開発できるかどうかだ」とイアラス氏は話す。
さらにイアラス氏は、開発者がHTML5を適切に使いこなせるようになるまでに必要な準備期間は他の言語と比べて変わらないが、最初は専門力のある外部の業者に委託することになるだろうとも話している。
今回のデモでMicrosoftは、Windows 8の最初のβ版の公開時期について明言を避けている。また、2011年5月に東京で開催されたMicrosoft Developer Forumにおいて、同社のスティーブ・バルマーCEOはWindows 8のリリース目標を2012年中と話していたが、2012年中のリリースについてのこの発言はバルマー氏の「失言」であったとして、同社により撤回されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発特有の課題も解消できる「AI活用」の秘訣とは? -
事例
[株式会社ビザスク] 「新規事業」事例集:大手企業はどのように想定顧客ヒアリングを行っているのか -
市場調査・トレンド
[株式会社ビザスク] 質の高い「仮説検証インタビュー」を実施するためのポイント -
事例
[株式会社ビザスク] 富士フイルムの新領域参入に学ぶ事業創出 「畑違い」でもビジネス化できる方法 -
事例
[株式会社ビザスク] 三菱電機 上席執行役員に学ぶ、未来を切り開く「新事業創出」の実践方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
5
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
8
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「Linux」の脆弱性を生むのは誰か? ベテラン開発者の意外なミス
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
8
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー