Windowsのマイクロカーネル「MinWin」とHyper-Vのクライアントハイパーバイザーが提供されれば、IEやレガシーアプリケーションの仮想化が可能になる。
米MicrosoftがInternet Explorer(IE)の仮想化を拒んでいることに対してITプロフェッショナルたちは憤慨している(参考:「アプリケーション仮想化によるIEの実行は不可──方針を堅持するMicrosoft」)が、「Windows 8」では「MinWin」とHyper-Vクライアントハイパーバイザーを組み合わせることにより、Microsoftの拒絶の核心部分となっているライセンス関連の障害が取り除かれるかもしれない。
MicrosoftのMinWinはWindowsの機能縮小版であり、同OSの基本コンポーネントだけで構成される。米Spoonや米VMwareのVMware ThinAppなどのアプリケーション仮想化ツールを利用したIEの仮想化をMicrosoftが拒否するのは、IEがOSコンポーネントだからだ。Microsoftの「ソフトウェアの分離」規則によると、IEはOSから抽出することができない。
Microsoftは、ある条件の下でIEの仮想化をサポートしている。Windows XP Mode、Microsoft Virtual PCあるいはMicrosoft Enterprise Desktop Virtualization(MED-V)やMicrosoft Application Virtualization(App-V)ツールを利用して、Windowsと共に同Webブラウザを動作させる形態だ。こういった方式を採用する上での問題としては、Windowsのインスタンス全体を管理しなければならないことが挙げられる。これはインフラに負担を掛けるだけでなく、管理者にとっても負担になる。
「現時点では、適切なサイズのWindowsデスクトップを即座に作成する手段は存在しない」と話すのは、米調査会社Taneja Groupの仮想化担当シニアアナリスト、デイブ・バートレッティ氏だ。「しかしユーザーには、UNIXをデスクトップに入れたり、クラウドを利用するといった選択肢もある。このため、MicrosoftがMinWinで軽量なWindowsを提供すれば、それは同社にとって防御的な動きになるだろう」
それはWindows 8で実現される可能性がある。仏Microsoftの技術・セキュリティ担当ディレクターを務めるベルナール・ウーガンリアン氏は2009年夏、フランスのメディアに対して、「Hyper-V 3.0」はWindowsのMinWinバージョンと共にクライアントハイパーバイザーとしてデスクトップ上で動作することを示唆した。報道によると、Hyper-Vクライアントハイパーバイザーは、Windows 8上でApp-Vとも連係することにより、Windows XP、Windows Vista、Windows 7および互換性のないアプリを1台のPC上で動作させられるようになるという。
Microsoftはこの情報について否定も肯定もしておらず、Windows 8に関するコメントも避けている。しかしIEおよびレガシーアプリケーションを仮想化するためのシンプルな手段としてMinWinとクライアントハイパーバイザーが提供される可能性に大きな期待を寄せているITプロフェッショナルもいる。
Windows専門プログラマーでライターのマーク・マイナシー氏は「われわれは皆、さまざまな理由からデスクトップ用のHyper-Vを求めている。これはWindows 8で期待される機能の1つだ」と話す。
前編では、マイクロソフトが拒絶してきたIEの仮想化が、Windows 8の登場で(Hyper-VクライアントハイパーバイザーとMinWinを組み合わせることにより)実現される可能性について触れた。「MinWinとHyper-VクライアントハイパーバイザーがWindows 8で登場か?(後編)」では、Hyper-VクライアントハイパーバイザーとMinWinについての詳しい情報を解説する。
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