オープンソースのネットワーク制御技術「OpenFlow」。その特徴は、ネットワーク経路をフローとして定義し、各種の制御を実現することにある。そのメリットを技術的に解説する。
この数カ月、「OpenFlow」というネットワーク技術が大きな話題を呼んでおり、ラスベガスで開かれたInterop 2011でも注目の的になった。しかし仮想化とクラウドネットワーキングの分野に大きな革命をもたらす可能性を秘めているのは、プロトコルそれ自体ではなく、そのベースとなるコンセプトだ。それは、ネットワークをソフトウェアで定義するという考え方だ。
ソフトウェアで定義されたネットワークでは、スイッチとルータはソフトウェアベースの一元的管理システムから指令を受ける。OpenFlow環境では、制御プレーンがデータ転送プレーンから抽象化される。ネットワークの全体像をリアルタイムで把握する一元的コントローラーはネットワーク経路を「フロー」として定義し、このフローデータを個々のスイッチとルータに配信する。コントローラーはこれらのフローに基づいて全てのネットワーク機器間のデータ転送を調整することにより、仮想環境とクラウドネットワークで必要な自動制御ときめ細かな動的プロビジョニング管理を可能にする。
「OpenFlowはソフトウェア定義型ネットワークをインスタンス化したものだ」と説明するのは、米調査会社Gartnerの副社長兼上席アナリスト、マーク・ファビー氏だ。「このアイデアは10年以上前から存在する。米Juniper NetworksのQFabricなども、ソフトウェア定義型ネットワークのインスタンス化の1つだ。スイッチおよびコアとなるファブリックベースの機能で構成されるからだ。ネットワーク上の全ての機器がコントローラーと情報をやりとりし、コントローラーが経路および適用すべきサービスを判断するのだ」
このアプローチは、分散型・非協調型制御プレーンをベースとする今日のネットワークとは対照的だ。今日のネットワークにおいては、スイッチとルータが、周囲のネットワーク要素に関するデータが含まれるルーティング(MACアドレス)テーブルをそれぞれ保持しており、このデータに基づいて自ら転送経路を決定する。この方式は、ある時点まではうまくいった。しかし仮想化技術の登場に伴い、ITインフラは以前よりはるかに動的なものになった。ネットワークもそれに適合する必要がある。
OpenFlowおよびソフトウェア定義型ネットワークの最大の目標は、ITインフラの変化に対するネットワークの対応能力と適合能力を高めることだ。今日のネットワークは静的であり、OSI参照モデルの第2層と第3層に対応するが、このモデルはサーバ仮想化をサポートしない。
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