Windows 8は何種類提供されるのか?【前編】
不透明なWindows 8のPC版とARM版の互換性──アプリは作り直し?
Windows 8には幾つのバージョンあるいは幾つのエディションが存在するのか。PC版とARM版の互換性はどうなるのか。
米Microsoftは2月末の「Windows 8 Consumer Preview」(関連記事:Windows 8 Consumer Previewに見る企業向け機能)の発表会において、この新OSはx86 PCとARM搭載タブレットとの間で互換性があると強調したが、Windows 8が商用製品として登場するときに提供される各種バージョンの違いについては言及しなかった。だがMicrosoftは、同OSのPC版に搭載される管理機能の一部がARM版では用意されないことを認めた。またアナリストの間では、PC向けのWindows「Ultimate」版がなくなり、新たに「Enterprise Edition」が登場するのではないかとの臆測も流れている。
Microsoftはスペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress」で、ウルトラモバイルノートPC(HP Envyなど)とARMタブレットは、Windows 8 App Store(1月のCESで発表)およびSkyDrive(Microsoftが提供するクラウドストレージ)などのサービスを通じて互換性が実現されると説明した。
「1つのOSで小型タブレットから大型スクリーンまで対応するようになる」とMicrosoft幹部のマイケル・アングイロ氏は発表会で宣言した。「アプリからOSやストアまで、全てがクラウドを通じて接続される」
しかりアナリストらが指摘するように、Windowsはこれまで単一の製品であったことはなく、Windows 8でもそうなることはなさそうだ。
米コンサルティング会社Directions on Microsoftのアナリスト、マイケル・チェリー氏は「x32とx64プロセッサで動作するPC用のWindows 8とx64サーバ用のバージョンが用意されるだろう。Windows 8ファミリーではさらに、ARM用Windowsも提供されるが、これがファミリーツリーのどこに置かれるかは現時点で予測できない」と取材で述べている。
Windows 8の発表会で相互運用性を強調したMicrosoftだが、同社は既に、Windows 8のタブレットエディションは幾つかの点で異なるタイプの製品であることを明らかにしている。例えば、Windows 8のPC版では、「Metro」スタイルと「クラシック」型のWindows 8アプリケーションの両方が動作するが、タブレットバージョンではMetro型アプリしか動作しない。
一方、ユーザーの間には、タッチを主体としたMetroユーザーインタフェースでは、PCのマウスおよびトラックパッドによる入力方式の利点が十分に生かせないという不満の声もある。
逆に、PC用に開発されたアプリケーション(本格的な動画編集ソフトなど)が、タブレット上できちんと動作するのかどうかもはっきりしない。
ARMタブレット専用のアプリも登場か?
Directions on Microsoftのチェリー氏は、Windows 8の最終リリースで大きな互換性問題(ドライバ問題など)が生じることはないと予測する。しかしPCとARMタブレットのハードウェア特性の違いのため、CRMといったビジネスアプリについてはタブレット専用版を開発する開発者もいるかもしれないという。
「アプリケーションをコンパイラに掛ければタブレット版が一丁上がり、という具合にはいかない。アプリを再開発するのとほとんど変わらないと考えた方がいい」とチェリー氏は話す。
「ARM版は、OEMでプリインストールされる別バージョンになるだろう。Microsoftはアプリストアを用意し、何らかの形態のOfficeも提供することを既に明らかにしている。ただそれ以上の違いについては、同社はまだ詳しく説明していない」と指摘するのは、米NPD Groupのアナリスト、スティーブン・ベイカー氏だ。
「各社のタブレット端末を見ると、OSのアップグレードサイクルは大幅に異なり、端末に対するユーザーコントロールのレベルも大きく異なるのが分かる。Windows 8のARM対応版とx86対応版の違いを検討する際には、ARM製品でのユーザーコントロールのレベルが(既存製品よりも)高いのかという点に注目するつもりだ」とベイカー氏は語る。
後編「Hewlett-Packard社内文書のWindows 8──Ultimateは廃止?」では、Microsoftが公言した「タブレット版に含まれない一部の管理機能」について検討し、さらに米Hewlett-Packardの社内文書に記述されたWindows 8の各種バージョンについて紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Windows 8は何種類提供されるのか?
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
2
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
5
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
6
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
7
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
8
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
-
9
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
10
パナソニックが国内製造26拠点のERPを「SAP S/4HANA」に統一 アドオン7割削減
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー