Windows 8 Consumer Previewに見る企業向け機能Windows 8は7の正常進化型?

Windows 8 Consumer Previewが発表され、各種機能の詳細が明らかになった。現時点で判明しているWindows 8の企業向け機能をまとめてみた。

2012年03月13日 09時00分 公開
[James Furbush,TechTarget]

 Windows 8 Consumer Previewには、タッチジェスチャ対応のMetroインタフェース(関連記事:Windows 8の新機能に、どう「タッチ」すべきか?)やアプリストアなど、コンシューマ向けの新機能が多く含まれているが、企業のIT管理者向けの機能も多数搭載されている。

 米Microsoftは2012年2月29日に、スペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress」においてWindows 8 Consumer Previewを発表。Windows 8に搭載予定の一部の機能のデモを行った。最終版のリリース予定日は明示されなかったが、アナリストらは2012年中になるとみている。

 以下に、これまでに分かっているWindows 8のIT管理者向けの機能をまとめた。完全に新しい機能もあれば、既存ツールをアップグレードしただけのものもある。なお、これらの機能は、Windows 8 Consumer Previewから最終リリースまでの間に変更される可能性があることに注意してほしい。

BranchCache

 BranchCacheは、データセンターで一元的に管理している業務ファイルやWebサイトなどのデータを、リモートマシンにキャッシュしてローカルで利用できるようにする。Windows 7で導入された機能で、Windows 8 Consumer Previewで改良された。デプロイしやすくなり、拡張性やレイテンシが改善されているという。

Hyper-Vとリモートデスクトップの統合

 Windows 8にはHyper-Vクライアントが搭載される。従って、Windows 8にアップデートしても、Internet Explorer(IE)の旧バージョンを実行してレガシーアプリケーションを実行することが可能だ。Windows 8に搭載されるHyper-Vクライアントは、“MinWin”と呼ばれるWindows 8の機能縮小版を実行すると思われる。Hyper-Vを利用すれば、1台のPCを使って、複数のOSやアプリケーションのさまざまな構成を開発、デバッグ、テストできる。

 Hyper-Vで実行するOSにもライセンスが必要なため、MinWinを実行するHyper-VクライアントはMicrosoftにとって新たなOSライセンスの収入源になる。

 また、仮想HDDのフォーマットもVHDからVHDXに変更されている。

 DirectAccessもWindows 8に対応する。DirectAccessは、仮想プライベートネットワーク(VPN)など、会社のネットワークへの接続を別途確立せずに、会社のネットワーク内のリソースへのリモートアクセスを実現する(関連記事:Windows 7 DirectAccessのメリットとデメリット)。

 その他のリモート管理機能としては、Active DirectoryドメインサービスとWindows Server 8を使用して、Windows 8クライアントをリモートで管理できる。

セキュリティ強化

 IE 8およびIE 9で提供されていたインテリジェントなファイルフィルタ「SmartScreen」が、Windows 8ファイルシステムに組み込まれる見込みだ。危険である可能性を持ったファイルをユーザーが起動したり、Windowsのアプリストアではない、信頼できないサードパーティーのWebサイトから悪意のあるアプリケーションをダウンロードすることを防ぐ。

 Windows 8 Consumer Previewに搭載されたセキュリティ機能には、Secure Bootもある。Secure BootはクリティカルでないWindowsコンポーネントが読み込まれる前にマルウェア対策機能を読み込むことで、OSを保護する。Secure Bootによってブートプロセスが最初から保護され、rootkitなどのマルウェアによる被害を防げる(関連記事:Windows 8の「Secure Boot」を批判するLinux陣営)。

 セキュリティに関連して驚いたのは、ARM版のWindows 8端末はドメインに接続できないということだ。従って、ARMタブレットは管理されていない環境で使用しなければならない。Windows Vistaで導入されたデータ暗号化機能のBitLockerがWindows 8に対応するので、これを管理されないモバイル端末上の業務データのロックダウンに利用できるだろう。

 各ユーザーまたはグループによって実行可能なアプリケーションを管理するポリシーベースのアクセス制御機能「AppLocker」も、Windows 8デスクトップに対して使用できる。AppLockerでは詳細な制御が可能で、ユーザーレベルで特定のアプリケーションや機密データへのアクセスの可否を指定可能だ(関連記事:Windows 7のAppLocker活用法 前編──ホワイトリストの作成)。

History Vault

 MicrosoftのHistory Vault機能は、米AppleのTime Machineに似ている。

 Appleが2007年に導入したTime Machineは、OSが一定の間隔で重要なデータファイルのコピーを自動的に作成し、簡単に復元できるようにする機能だ。一方、Windows 8のHistory Vaultは、外部ドライブまたは安価なNASバックアップを作成できるようにする。

Windows To Go

 Windows 8 Consumer Previewには含まれていないが、Windows To Goを使用すると、業務アプリケーション、データ、個人設定を含めて、会社のWindowsデスクトップ環境の完全なコピーをUSBメモリに保存し、社員に提供できる。

 このUSBメモリは任意のPCで利用でき、格納されている環境(Windows 7またはWindows 8)は仮想デスクトップとして実行される。この機能については、今後別の記事で詳しく取り上げる予定だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news064.jpg

「ブランドは叩かれて強くなる」 ジャガーのCMOが語った炎上の乗り越え方
SXSWで開催された「Female Quotient」のイベントにおいて、Jaguar Land Roverの米国CMOは...

news069.jpg

生成AI検索は売り上げにプラス? マイナス? 企業に求められる戦略転換
生成AIが主流になるこれからの検索で企業にはどのような姿勢が求められるのでしょうか。

news073.jpg

社会人Z世代の休日の過ごし方 関東と関西の違いは?
大広若者研究所「D'Z lab.」は、37人へのインタビューと1000人へのアンケートを基に、社...