単一ベンダー製品でシステムを統合
混在環境はもうリセット、Electronic Artsが取り組む「標準化ゲーム」とは
業務にマッチしなくなったERPをリセットするため、ゲーム会社のElectronic Artsがアプリケーションやミドルウェアなどの環境を単一ベンダーの製品に統合した。それはどのようなゲームだったのだろうか?
米Electronic Arts(EA)のウデシュ・ナイッカー氏は、同社がITインフラを単一のベンダーに統合すると決断したときの臨界点を覚えている。
米カリフォルニア州レッドウッドショアーズに本社を置く多国籍ゲーム会社のエンタープライズアプリケーション担当上級ディレクター、ナイッカー氏が問題を認識したのは月曜日の朝だった。EAの英国オフィスが突然、米国本社に何の連絡もなくリポーティングソフトウェアを変更したのだ。
「金曜日にダウンストリームシステムがダウンし、月曜日の朝リポートツールを実行すると、それが判明した。非常に不愉快な発見であり、さまざまなところへ波及していった」と同氏は眉をしかめた。
ナイッカー氏と彼の同僚たちは、そうした状況がいつまでも続かないことは分かっていた。会社の成長とともに、システム環境を次のレベルに移行すべき時期が来ていたのだ。同氏は2010年5月、ビジネスプロセスの標準化が必要と考え、それぞれのオフィスを相互接続して、同一のツールを導入する決断を下した。
EAでは、ハードウェア、ソフトウェアを含め、全てをOracle環境に統一することで、多くの問題を最終的に解決することができた。
オンラインゲームに興味がある読者であれば、EAをよく知っているだろう。この会社は、「Need for Speed」や「Madden NFL」、そして人気のFIFAシリーズなどのゲームで有名だ。オフィスはスイスのジュネーブ、米フロリダ州オーランド、シンガポールなど世界中に広がっており、同社もまた、多くの巨大多国籍企業が頭を悩ませる標準化の問題に直面していた。
ナイッカー氏がEAに入社した4年前、レッドウッドショアーズのオフィスには「Oracle E-Business Suite 11i」が導入されていたが、他のオフィスは違った。
「各地のオフィスは、それぞれ独自のソフトウェアを使って個別にデータを処理していた」とナイッカー氏は振り返る。そのため、ばらばらのビジネスプロセスや不正確なリポーティングの中に重要な事実や数字が散乱し、それらを基に正しい意思決定を下すことは不可能だった。その結果、次第に標準化の必要性が認識されるようになった。
そうした中、リポーティングの機能不全が発生したのだ。しかし、その事件だけでなく、当時ゲーム業界は大きく変化しつつある状況で、同社としても適切なツールを導入し、ビジネスモデルを最新のものに維持する必要があった。
「ゲーム産業はパッケージ商品からサービスベースモデルへと移行しつつあった。ゲーマーたちはゲームをオンラインで楽しむようになったのだ。現在、当社の売り上げの30%はデジタルによるものだ。デジタルゲーム向けの収益認識機能である“デジタルツーキャッシュ”(Digital To Cash)など、われわれは一定の機能を実現しなければならなかった」
ナイッカー氏は、当時の社内の雰囲気をこう話す。「会社はさまざまな改革を進めており、ビジネステクノロジーの統合も必要だった。そうした背景が、単一のグローバルシステムへ向かう決断を後押しした」
システムをつなげる「統合化工場」
EAでは既にOracleソフトウェアを幾つか利用していた。そのため、さらに数種類の製品を導入し、標準化されたOracle環境へ移行するという決定は、自然の流れだった。ナイッカー氏によると、「HiHub」として知られる統合プラットフォーム(基本的には、全社レベルで統合サービスを提供するためのフレームワーク)の導入に当たって、Oracleのコンサルタントたちは非常に大きな力になってくれたという。必要なアプリケーション統合は全てSOA統合環境の「Oracle SOA Suite」で構成されるHiHub経由で実現された。
「OracleのSOA Suiteがなければ、何も始まらなかっただろう」とナイッカー氏は語る。そして「一般的な統合プラットフォームでは、必要な拡張性を実現できなかったからだ。われわれはサポート性と拡張性に問題を抱えた古い技術を抱え、自動と手動のプロセスが混在していた」
ナイッカー氏はHiHubを「統合化工場」と表現し、最大のメリットは迅速な導入にあると話す。それによってEAは拡張を続けることが可能になった。
「今や基盤が確立され、われわれの準備は万端だ」と同氏。
EAでは、「Oracle Database」や需要計画の「Oracle Demantra」、財務統合の「Oracle Hyperion」、ミドルウェアの「Oracle Fusion Middleware」など、他のOracleソフトウェアも同時に利用し、アップグレードしている。
ナイッカー氏は、単一の標準化プラットフォームへの移行により、大きな利益がもたらされると強調する。
「単一プラットフォームであれば、システムの受け入れも容易になる。全員が同じ波長でコミュニケーションできるからだ。(標準化プラットフォームによって)運用効率は飛躍的に向上する」とナイッカー氏。「われわれの会話も、これまでとは比較にならないほどスムーズになった」
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