高価なSSDの採用でもストレージコストを削減できる理由大手ベンダーのシステムと比べても約10分の1のコスト

ソリッドステートドライブは価格が導入の障害になっていると考えられているが、特定用途でフラッシュドライブシステムを利用することによってコスト削減を実現している企業もある。

2012年11月06日 08時00分 公開
[Dave Raffo,TechTarget]

 高価なソリッドステートストレージが、企業システムのコスト削減に役立つ? これは特に、SSD(ソリッドステートドライブ)のメリットを低価格で提供することを狙った最新のストレージシステムの場合に当てはまる。米コルビーソーヤー大学では、VDI(仮想デスクトップインフラ)に米NexGenのハイブリッド型SSDアレイを採用することにより、従来型のディスクストレージと比べると3分の1程度の出費で済んだ。一方、米Aerospace Opticsは、米Nimbus DataのオールSSD型アレイ「S-Class」を購入した。その費用は大手ベンダーのハイブリッド型アレイと比べると約10分の1だったという(関連記事:仮想デスクトップインフラにSSDが有効な理由)。

600個の仮想デスクトップをサポートするパワーがある

 コルビーソーヤー大学でアシスタントITディレクターを務めるデビッド・ブレイズデル氏によると、同大学で導入したストレージシステム「NexGen n5」により、デスクトップ1個当たり28ドルのVDIストレージを配備できる見込みだという。この数字は、1台のストレージシステムで600個の仮想デスクトップをサポートするという前提に基づいた予測だ。現在、同大学で運用している仮想デスクトップの数はその3分の1以下だが、「テストの結果、SSDベースのNexGenシステムは600個の仮想デスクトップをサポートするパワーがあることが分かった」とブレイズデル氏は話す。

 コルビーソーヤー大学のデスクトップ仮想化プロジェクトの第1フェーズでは、200個の仮想デスクトップが配備される。同大学は300個のVMware Viewライセンスを取得しており、ブレイズデル氏によると、最終目標の半分に相当する300個の仮想デスクトップを収容するサーバハードウェアを用意したという。

 「300個の仮想デスクトップに対して十分過ぎるくらいのパフォーマンスを確保した。目標とする600〜700個の仮想デスクトップに対応した容量とパフォーマンスを1台のストレージユニットだけで提供できそうだ」とブレイズデル氏は話す。「新規デスクトップを生成したときのピークI/Oは4000 IOPS(1秒間当たりのI/O数)だ。しかしIometerとWindows 7を使ったテストでは、2万5000 IOPSまで対応できることが分かった。1台のストレージシステムで600個の仮想デスクトップに対応できれば十分に満足だ。現時点の数字から判断する限り、これは達成可能だと思われる」

 ブレイズデル氏によると、VDIのストレージで最大の障害になっていたのがストレージのパフォーマンスだという。「テラバイトクラスの巨大なストレージ容量は必要ではなかったが、優れたパフォーマンスの必要性はあると予想していた」と同氏は語る。

 コルビーソーヤー大学のメインストレージは、米Hewlett-Packard(HP)SANシステム「LeftHand」である。ブレイズデル氏によると、VDIプロジェクトの第1フェーズの実施に当たってはHP製ストレージを追加することも検討したが、「その場合、1年後には規模拡張に伴ってストレージをさらに追加する必要が出てくる。このため、高パフォーマンスを提供できる次世代ストレージのベンダーを探し始めた」と同氏は説明する。

 ブレイズデル氏は、フラッシュストレージが必要だという認識に至った。NexGenのハイブリッドシステムは、米Fusion-ioのSSDであるioDriveをHDDと組み合わせたものだ。同氏は、NexGenの開発チームのメンバーとは、彼らが米LeftHandに在籍していたころから知り合いだったこともあり、1.28TバイトのSSDと22TバイトのHDDを組み合わせた「n5-100」システムをテスト用として借り受けた。そして約1カ月後の2012年5月に、このシステムを購入した。

 「従来型のHDDを使うという前提で、600個の仮想デスクトップに対応するのに必要なストレージ製品を最初から購入するとしたら、予算の3倍の金額を支出することになっただろう」とブレイズデル氏は話す。「その場合、第1フェーズでは200個のデスクトップに対応できるだけの製品を購入し、その後、パフォーマンスのニーズに応じて製品を追加する必要があっただろう」

 同大学ではNexGenのシステムはVDI専用として使われているが、「非同期レプリケーション機能に対応した製品がNexGenから登場したら、ディザスタリカバリ用に同社のシステムを追加するかもしれない」とブレイズデル氏は話す。将来的には、パフォーマンス要求が高いSQL ServerなどのアプリケーションでもNexGenのシステムを利用する可能性が高いという。

オールSSDアレイでSQLデータベースが高速化

 Aerospace Opticsで情報システムを担当するマイケル・ペリー副社長によると、Nimbusはメインストリームストレージベンダーの製品に代わる低価格の選択肢を提供しているという。

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