2012年12月26日 08時00分 UPDATE
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VMware ThinAppによるアプリケーション仮想化【事例】レガシーの壁を乗り越えたサッポログループ、アプリ仮想化でWindows 7へ移行

企業のWindows移行でネックとなるのがレガシーシステムだ。サーバとクライアントが密に結びついてため、容易にクライアント環境を変えられない。その状況をサッポログループはアプリケーション仮想化で乗り切った。

[石田 己津人]
aa_vm.jpg サッポログループマネジメント・グループIT統括部課長代理の江本正陽氏

 サッポロビールを中心としたサッポログループは連結売上高が約4500億円(2011年度実績)に達する企業グループ。最近はベトナムなど海外で酒類事業に力を入れるほか、2013年1月にはグループ内でサッポロ飲料とポッカコーポレーションを統合し、食品・飲料事業の底上げも狙っている。

 そのサッポログループは2013年から約4000台のPCを刷新し、「Windows XP」から「Windows 7」へ全面移行する。グループの共通機能会社であるサッポログループマネジメントでグループIT統括部 課長代理を務める江本正陽氏は、ヴイエムウェアの年次カンファレンス「vForum 2012」の講演において、「現在はWindows 7移行に向けた最終調整の段階だが、VMware ThinAppによるアプリケーション仮想化を採用したことで、短期間・低コストでの移行が可能になった」と話した。

4つのクライアント仮想化策を検討

 サッポログループでは2012年、東日本大震災の影響で先送りしてきたPCリプレースが急がれていた。5年目に入ったハードは老朽化。OSのWindows XPも2014年4月にはサポートが切れる。そこで、新たに採用するWindows 7環境で40システムのクライアントアプリケーションを検証してみたが、結果は不具合のオンパレードだった。社内システムはレガシーなものが多かったのだ。

 軽微な改修で済むものとサポート上改修が必要なものはサーバ側で対処することにしたが、10のシステムで問題が残った。全ユーザー(PC 4000台)に影響するため抜本的な対策が必要だった。

 そこでクライアント側の“仮想化”に打開の道をさぐり、「仮想PC」「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)シンクライアント」「DaaS(Desktop as a Service)」「アプリケーション仮想化」と4つのソリューションを検討した(関連記事:VDI vs. DaaS――管理者を悩ませる2つの仮想デスクトップ、選択の基準とは)。

 その結果、仮想PC、VDIシンクライアント、DaaSの導入にはネックがあることが分かった。仮想PCはサーバ内で複数OSをまたいで操作しなければならず煩雑である(仮想PC方式の解説記事:デスクトップ仮想化がもたらす柔軟で堅固なIT基盤)。VDIシンクライアントは操作する側のPC調達が必要。DaaSは通信回線などインフラ整備が必要になる。最終的に選んだのは、VMware ThinAppによるアプリケーション仮想化である。

 その理由を江本氏はこう話した。「クライアント環境全体を仮想化したいわけではなく、特定のアプリケーションだけ仮想化できればよかった。その点でアプリケーションを個別にカプセル化するThinAppは自由度が高い。リプレースにかけられる時間・コストに余裕がない中、ハードやインフラの投資がいらず、準備にかかる時間が短くて展開が容易なのが魅力だった」

 実際、IT部門のスタッフ4人がThinAppのトレーニングを1日受けただけで、後は自力で開発・検証を進め、10システムで必要となる仮想アプリケーションを完成させている。その間にSIベンダーにサポートを要請したのは、「オンサイト2回、メールのやりとり数回のみ」(江本氏)という。具体的には、以下のようなシステムにアプリケーション仮想化を適用した。

IE6をカプセル化してIE8と混在

 問題となった10のシステムのうち一番数が多かったのは、HTMLクライアントに「Internet Exprlorer 6」(IE6)を使っているWebシステムだった。新クライアント環境で標準のIE8を使うと画面くずれ、フォントくずれなどが起こり、どうしてもIE6を残す必要があったのだ。

aa_zu01.jpg 図1 ThinAppでIE6を仮想化した際のポイント

 ThinAppには、IE6を丸ごとカプセル化して「VirtIE6」と呼ぶ実行ファイルにする手順が用意されており、「トレーニングを受ければ20〜30分でVirtIE6を作成できる」(江本氏)という。これでWindows 7の下でIE8とIE6(VirtIE6)を混在させて使えるわけだ。

 ただIE8、IE6の混在で問題となったのは、ネイティブのIE8から仮想のIE6へのリダイレクト。例えば、IE8で表示するポータル上でIE6をクライアントとするシステムのリンクを開いたとき、自動的にIE6で表示するようにしたい。この課題はThinAppで提供されるIEプラグイン「ThinDirect」で解決した。ThinDirectで設定したURLでは、ネイティブIEからVirtIE6へ自動的にリダイレクトされる。江本氏は「セッション情報までは引き継がれず、シングルサインオン環境での運用は難しいが、幸いそうした要件はなかった」と話した。

※ 日本マイクロソフトによると、Windowsの単一インスタンス上で、Windows Internet Explorerの複数のバージョン、またはWindows Internet Explorerの複数部分を実行するソリューションは、ライセンスされず、サポートされない(2013年5月24日追記)

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