意思決定の新たな手段、「ソーシャルメディア分析技術」【後編】
「クリネックス」でも活用、Facebookで顧客を動かす方法とは?
ソーシャルメディア分析技術は確かに強力だが、むやみに活用しても成果は得られない。ソーシャルメディア分析技術を生かすためにすべきことは意外と多い。
前編「『いいね!』増加で満足できない人のためのFacebook/Twitter活用術」では、ソーシャルメディア分析技術が企業の意思決定の在り方を変える力を持つことを明らかにした。後編では、ソーシャルメディア分析技術の活用を進める上での注意点を整理する。
ソーシャルメディアトラッキングの目標
「感情や『声の共有』という指標を収益に結び付けるのは難しい」。米PRマーケティング企業Schneider Associatesのデジタルインテグレーション・ソーシャルビジネス担当ディレクターであるダン・マーテリ氏は、こう指摘する。
「ソーシャルメディア分析の分野は非常に曖昧だ。そこで私は、リード(見込み客に関する情報)や会話、顧客との関わり方、トラフィックに戻ることにしている。そうすれば、確固とした数字を利用しながら、特定の製品の宣伝方法に影響を与えるかもしれない2層目の分析にも触れることができる」(マーテリ氏)
日々生成される洪水のようなソーシャルデータを制御し、行動につながるビジネスインテリジェンスへと変換する「ソーシャルメディアアナリティクス」。こうした技術をうまく活用すれば、企業がオーディエンスを分類して適切な相手に適切なメッセージを発信し、「直接あるいは間接的に収益に結び付けることもできるはずだ」と同氏は語る。
非営利組織向けのコンサルティングを手掛ける米Safdar Groupの創設者、シャビール・シャフダー氏は言う。「結局のところ、全てのアナリティクスプログラムの目標は、プラスの成果を増やすことにある。もしソーシャルメディアへの取り組みが何らかの形で組織の収益を増やすことに貢献できていないのであれば、その取り組みが機能していないということだ」
デジタルマーケティング戦略が機能しているかどうかを知る簡単な方法は、マーケティングの流れというファネル(じょうご)の中で、ソーシャルメディアのチャネルがどの位置にあるかを見極めることだ。顧客が製品やサービスを認識した時点をじょうごの広い口の部分、購入あるいは購入の確約(コミット)をじょうごの細い口の部分と考え、顧客が購入するまでにたどる理論的な道のりについて考える。
「Google Analyticsの『Multi-Channel Funnels』のようなアナリティクス機能を利用すると、特定の人物がWebサイトで取引をコミット(完了)させる前に、恐らくはYouTubeやFacebook、メールから誘導され、そのWebサイトを何度か閲覧していたことが分かるだろう」
例えば非営利組織の場合、Facebookは取引成立へと至る最後の経過点ではないものの、ユーザーを認識の段階から検討の段階へと動かし、そしてコミットに近づける上では非常に役立つことが分かったと、Safdar Groupのシャフダー氏は語る。同氏によると、非営利組織にとって、メールが取引を成立させるための最善の手段になることが多いという。
「Kleenex(クリネックス)」や「Huggies」などのブランドを有するヘルスケア用品メーカー米Kimberly-Clarkも、顧客がたどる「道のり」について認識するようになった。ここでいう道のりは、マーケティングの流れというファネルの中で、顧客が購入するまでにたどる理論的な行程を指す(参考:前編「『いいね!』増加で満足できない人のためのFacebook/Twitter活用術」)。
デジタル広告会社の米Organicは、米SAS Instituteのアナリティクス製品群「SAS Analytics」を利用して、Kimberly-Clarkが社内リソースの割り当てについてよりスマートな意思決定ができるよう支援した。ソーシャルメディアのどこに時間を費やすべきか。どのようなコンテンツを投稿すべきか。各ソーシャルメディアはどの点で最大の影響を及ぼすのか。Kimberly-Clarkのグローバルデジタル測定・アナリティクス担当ディレクターであるマーク・ローゼンストック氏は、今では自信を持ってこうした疑問を掘り下げることができている。
Kimberly-Clarkは、顧客の「道のり」における特定の段階で接触する場合に、Facebookの活用効果が特に高いことを発見した。同社は、Organicが生成したデータを参照した後、Facebookに掲載するコンテンツを戦略的に変更。顧客について新たに学んだ内容を反映させるようにした。ローゼンストック氏によると、「われわれはメッセージを調整することで、より良いインパクトを与えられるようになった」という。
顧客にとってつじつまの合うソーシャルデータ
ソーシャルメディアトラッキングを実現するパワフルなツールが利用できたとしても、最大の難関は、人に数字を分析させることだとシャフダー氏は言う。「ツールに多くの機能を組み込むことはできるが、最終的にはそのツールを操作する人が必要だ。ほとんどの組織にとって、それがボトルネックになる」(同氏)
ソーシャルメディアサイトのトラッキングによって収集したデータは「画面上の単なる数字の羅列」に見えることもあり、「その数字が会社の目標とどう結び付くかを考えなければならない」と、Schneider Associatesのマーテリ氏は語る。重要なのは、「とにかくやること」だという。最もベーシックなソーシャルメディア分析でさえも、綿密かつインテリジェントなデータを生成することが可能であり、何が機能していて何が機能していないのかを企業が把握できる。
マーテリ氏は「われわれはストーリーを語るためにソーシャルメディアを利用する。バックエンドのデータは、そのストーリーが顧客にどの程度聞いてもらえているかを物語る。もしアナリティクスに基づいてストーリーを変えてしまえば、自社のブランドを傷つけることになる」と話している。
本稿筆者のアーロン・レスター氏は、米国ボストンを拠点とするフリーのジャーナリスト。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
意思決定の新たな手段、「ソーシャルメディア分析技術」
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[キヤノンマーケティングジャパン株式会社] マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か? -
市場調査・トレンド
[キヤノンマーケティングジャパン株式会社] 有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは -
製品資料
[キヤノンマーケティングジャパン株式会社] マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身 -
市場調査・トレンド
[SANS Training Japan 合同会社] “知識”では守れない AI時代に問われる実戦力の身に付け方 -
製品資料
[株式会社イトーキ] 会議室不足を解決する「AI×データ」活用術
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
3
年収が増えても幸せになれない 給与増でエンジニアが直面する「幸福度の壁」
-
4
Microsoft 365移行で露呈した標準機能の限界 地方銀行は上長承認や「脱PPAP」をどう実現?
-
5
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
-
6
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
7
Googleの業務向けAIエージェント「Gemini Agent」が登場 しかし課題は山積み
-
8
SAPやOracleが警戒する「ERPの土管化」 汎用AIとの主導権争いが激化
-
9
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
10
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
SASE選定は「見極め力」で大きな差――本当に必要な製品を選ぶための6つの視点
-
8
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
-
9
脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ
-
10
自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー