必要なのは「包括的なモバイル戦略」
やっぱり多かった残念なスマートフォン導入
スマートフォンやタブレットは、漠然と導入しただけでは活用が進まず、結果的に無駄な投資となりかねない。導入コストを無駄にしないためにすべきこととは何か?
適切なモバイル戦略がなければ、企業は無駄に経費を使うリスクを背負うことになる。
モバイル関連の経費の問題が起き得るのは、モバイルを水漏れがあるパイプの修理と同じように扱おうとする場合だ。
「水漏れを修理するとき、パイプ全体を取り換えることはしない。残念ながら、IT部門はモバイルに関して、水漏れが発生したときに問題箇所を修理するだけで全体を見ない」。ITコンサルタントで米J. Gold Associatesの創立者であるジャック・ゴールド氏はこう語る。
ゴールド氏によるとモバイルは、メインフレームからクライアント/サーバへとシフトして以来、最も重要なコンピューティングの変化であり、アップグレードやサポートなど、会社のITインフラのあらゆる面に影響するという。
「今後20年で、既存のアプリケーションとサービスを徹底的に見直し、モバイル端末向けに作り直す必要がある」と話すのは、米Lopez Researchのエンタープライズモバイル担当コンサルタント、マリベル・ロペス氏だ。「企業はようやくそのことを理解し始めた」と同氏は話す。
「おかしなことに、どこから手を付けていいのか分からないという理由で、モバイル関連の取り組みに投資しない企業が多い。一方で、こうした企業が一度モバイルの取り組みを始めると、無計画が故に、無駄な出費のために予算をいとも簡単に使ってしまう」(ロペス氏)
ロペス氏はさらに次のように語る。「IT部門は長年、システムをダウンさせないために、あまり楽しくない作業を続けてきた。だがモバイルへのシフトによって、IT部門は会社の経営陣の戦略的パートナーとして認められるチャンスを得た」
例えば、モバイルデバイス管理(MDM)はどの企業にも必要なわけではない。だがMDMに関する誇大宣伝を受けて、MDMに無駄に投資してしまう企業はかなりの数に上る可能性が高い。企業がMDMを本当に必要としていればいいが、全く必要としない場合でさえもこうした無駄は起こり得る。
社内の開発チームと運用チームが、既存のアプリケーションをモバイル端末向けに開発しているかもしれない。だが、こうしたアプリケーションは、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)から提供してもらうだけで済むかもしれない。または、私物端末の業務利用(BYOD)が経営戦略全般に適合するかどうかを十分に考えずに、経営幹部がIT部門にBYOD制度を無理やり導入させたケースもあるだろう、とゴールド氏は話す。
包括的なモバイル戦略を持つ企業が、優位に立つことになる。
ITソリューションプロバイダーの米Weidenhammer Systemsでシニアセールスエンジニアを務めるトッド・テュー氏は、「現実から目を背けても何も起こらない。解決策は“ノー”を言うことではなく、モバイル計画を策定することだ」と話す。
2013年7月開催のWebセミナーにおいて、IT経費にモバイルが与える影響についての研究を発表した米Gartnerのジョン・デビッド・ラブロック氏は、「ここ数年、企業にとってモバイルの重要性は高まっており、今後数年でこの傾向はさらに強まると思われる。だが企業の多くは、ようやくモバイル化に取り組み始めたところだ」と指摘した。
GartnerのWebセミナーでは、次のような内容が発表された。2017年までに、クライアント端末に掛かる年間経費のうち、モバイル端末の経費は83%を占めるようになる。ソフトウェアおよびITサービスは、今後数年でモバイル特需を受けるIT投資の2大分野となり、ソフトウェアは7%、ITサービスは5%の成長が予想される。ソフトウェアには、「Salesforce CRM」や「Google Apps」などのクラウドアプリケーションだけでなく、モバイル管理ソフトウェアも含まれる。ITサービスには、IaaS、PaaS、MBaaS(Mobile Backend as a Service)が含まれる。
なお、同時期のその他のIT分野への投資は、現状維持か縮小する見込みだ。
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