米国の企業経営者とIT専門家448人を対象とした調査から、タブレット端末導入の意外な実態が判明した。なし崩しに進む導入に、IT部門の困惑の声も聞こえてきた。
企業のタブレット端末利用に関する最近の調査で、意外な結果が2点あった。1つ目は、企業が既にタブレット端末、特にiPadを採用し始めていて、全業種にわたる企業の大半が今後2年以内にタブレット端末の採用を計画していること。そしてもう1つ明らかになったのは、多くの企業が端末の取り扱いに関する明確な戦略を持っていないということだった。
調査は米Model Metricsが米Dimensional Researchに委託して、企業経営者とIT専門家448人を対象に2011年4月に実施した。目的は「企業内におけるiPadなどのタブレット端末の採用計画についてデータを収集する」ことだった。本格的な採用は既に始まっており、企業の22%がiPadなどのタブレット端末を正式に導入済み、78%は「2013年末までにタブレット端末を導入する計画」だと回答した。
まだ正式に導入していない企業でもタブレット端末の存在は大きいことも分かった。タブレット端末を使っているが、正式導入はしていないと答えた企業は72%に上る。
こうした企業の大半はロードマップなしにスタートし、あるいはスタートを予定している。51%は「iPadとタブレット端末採用のためのはっきりした戦略はない」と回答した。さらに、タブレット端末の49%は経営幹部クラスが最初に購入していることも判明した。幹部が持ち込んでくる端末の用途をIT部門が探し出しているのが実態だった(参考:CIOたちを悩ますiPad)。
IT部門と経営陣との間には導入ロジスティクスをめぐるすれ違いもみられた。「エンタープライズアプリケーションをiPadなどのタブレット端末に対応させるためには、追加的な開発が必要だということを経営陣は理解していない」と答えたITユーザーは42%に上った。
iPadは回答者の間で圧倒的に人気が高かった。回答者の83%がiPadの導入を計画していると答え、2位のBlackBerry PlayBookの19%を大きく引き離した。次いでHP Slate 500が14%、Motorola XOOMが13%、Dell Streakが11%の順となり、Samsung Galaxy Tab、ASUS Eee Slate EP121なども挙がった。
iPadを選ぶ理由として53%がプロダクティビティツールの存在を挙げる一方、「クールさ」で選んだという回答者も35%に上った。
Model Metricsの最高マーケティング責任者、デービッド・ダールバーグ氏に、今回の調査結果と市場の動向について話を聞いた。
Model Metricsが扱った採用事例の中に、企業でのタブレット端末について説得材料となる事例はあるかとの質問に対し、iPadを「デジタル販売補助」として導入し大きな成功を収めた顧客がいるとダールバーグ氏は説明。前述の「クールな」要因に結び付けて、「非常にクールな要因を付加して相手を感嘆させ、ちょっと話を聞こうかという気にさせる」と指摘した。
同社の顧客の中には「“ちょっと話を聞く”はずが徹夜になった」ところも1社あるという。
Android対iPadの市場シェア争いについては、特に企業分野に関して、「一般的な法則として、Android搭載のタブレット端末が追い上げている」とコメントした。
同氏はインタビューの終盤、タブレット端末を支持する立場から「外回りの営業部隊がいる場合は、機動的な営業の助けになる利用事例が存在する」と締めくくった。
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