ChatGPT連携だけではない「Apple Intelligence」の“真の特徴”とは?AppleはAIで遅れていた?【後編】

AppleはmacOSやiOSに大型の変更点として、AI機能群「Apple Intelligence」の搭載を発表した。この決断に関して、従来のAppleの方針とはある点で違いがあったと専門家は指摘する。

2024年07月13日 07時00分 公開
[Cliff SaranTechTarget]

関連キーワード

Apple | 人工知能 | Mac | iPhone | iOS


 Appleは、クライアントOS「macOS」やモバイルOS「iOS」に関する幾つかの変更を2024年6月に発表した。その一つが、macOSとiOSに搭載するAI(人工知能)機能群「Apple Intelligence」と、同機能群を組み込むmacOS次期バージョン「macOS Sequoia」だ。専門家はこのApple Intelligenceについて、Appleが従来維持してきた製品・サービスの提供方針とは“ある点”で違いがあったと指摘する。

Apple Intelligenceの「ChatGPT連携」だけではない真の特徴

 macOS Sequoiaでは、macOSを搭載するクライアント端末「Mac」からスマートフォン「iPhone」を操作できるようになる。MacとiPhoneとの間でのドラッグアンドドロップができる。iPhoneの通知をMacから確認して、必要に応じて応答することも可能になる。

 macOS Sequoiaは、システム全体で使える「記述ツール」という機能を搭載する。エンドユーザーはこれを使うことで、メールやメモの他、文書作成ツール「Pages」、その他サードパーティー製アプリケーションなど、さまざまなアプリケーションで文章の書き直しや、校正、要約といった機能を利用できる。

 AppleはApple Intelligenceと併せて、「Appleシリコン」(Appleの独自開発プロセッサの総称)搭載のサーバで構成するクラウドインフラ「Private Cloud Compute」も発表した。これを使うことで、エンドユーザーは手元のデバイスで実行する演算処理を、Private Cloud Computeのサーバへと拡張して実行できるようになる。

 Private Cloud Computeへと送信されるデータは、エンドユーザーのリクエストを処理する目的以外には使われない。Appleのインフラに保管されることはなく、Appleがそのデータを利用することはできない。Appleは同社独自のプライベートクラウドを構築することで、エンドユーザーがAI技術を利用するに当たっての安全性を確保していると強調している。

 AppleはAIサービスを提供するに当たって、従来にはなかった判断を迫られることになったと、調査会社CCS Insightでチーフアナリストを務めるベン・ウッド氏は推測する。Apple Intelligenceは、OpenAIの生成AIサービス「ChatGPT」と連携するからだ。

 AppleはAIサービスを提供するに当たり、エンドユーザーのデバイスに全てを保存するのではなく、一部では独自のクラウドインフラを使うことで、エンドユーザーのデータのセキュリティとプライバシーを確保するという手段を選択した。「ChatGPTを組み込むに当たってのOpenAIとのパートナーシップは、これまで中核的な技術に関して他社との提携に消極的だったAppleにとっての新しい方向性を示している」(ウッド氏)

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news071.png

酒税改正前後でビール系飲料の購買行動はどう変化した?
アルコール飲料市場に続々と新たな商品が登場する中、消費者の購買状況はどう変化してい...

news194.jpg

KARTEのプレイドが進出する「プロダクトアナリティクス」はSaaSの成長をどう支援するのか?
CXプラットフォーム「KARTE」を提供するプレイドが、日本発のプロダクトアナリティクス「...

news177.jpg

「TikTok」「Temu」「ピッコマ」etc. ダウンロード数/消費支出額トップは?
AdjustとSensor Towerが共同で発表した「モバイルアプリトレンドレポート 2024 :日本版...