VMwareのCTOに聞く、モバイル戦略策定のキーポイントデータの安全性やユーザー体験がポイント

モバイル仮想化製品「VMware Horizon Suite」の開発を進める米VMware。同社の最高技術責任者(CTO)に、モバイル仮想化製品の現状と、モバイル企業利用の勘所を聞いた。

2012年10月23日 08時00分 公開
[Colin Steele,TechTarget]

 米VMwareの「VMware Horizon Suite」のほとんどのコンポーネントの発売は、2013年以降になる予定だ。だがモバイル仮想化プラットフォームは、それよりも早く登場する可能性がある。

 VMwareで最高技術責任者(CTO)を務めるスティーブン・ハロッド氏によると、VMwareと提携先の無線通信事業者は、Android用の「VMware Horizon Mobile」を間もなく発表する予定だ。モバイル端末の仮想化計画をVMwareが初めて発表してから、4年が過ぎようとしている。2011年10月、同社や提携先である米Verizon Wireless、スペインのTelefonicaは、数カ月以内にHorizon Mobileの提供を開始すると発表したが、2012年9月現在、姿はまだ見えていない。

 米TechTargetのインタビューでハロッド氏は、「既に当社が発表しているパートナーは(Horizon Mobileを)提供する」と述べる。

 VMware Horizon Suiteには、Android版のHorizon Mobileの他に、iOS版のHorizon Mobileや現在提供中の「VMware Horizon Application Manager」、旧VMware Project Octopusの「VMware Horizon Data」が含まれる(参考:VMwareがファイル共有アプリ「VMware Octopus」でMicrosoftを追撃)。iOS版のHorizon Mobileは、Android版とは異なり、モバイル仮想化を採用せず、アプリケーションラッピングを利用して、同一端末内で個人用の資産と会社所有の資産を区別する。

 ハロッド氏によると、「米Appleは、この件に関して異なるルールとアプローチを採用している。このため、(iOS版Horizon Mobileの開発には)少し時間がかかる。提供開始は2013年の予定だ」

 このインタビューでは、ITのコンシューマライゼーションが仕事の役割に与える影響、有効なモバイル戦略を策定するためのポイント、アプリケーション配布モデルの変化についても、ハロッド氏の意見を聞いた。

―― Horizon Application Managerといったエンドユーザーコンピューティング製品の担当者として、仕事の役割にどのような変化が見られますか。

ハロッド氏 モバイルに関しては、Windowsチームやデスクトップチームとは別のチームが担当する傾向があります。一般的なITサービスについても担当は別になります。この傾向がかなり強いのは、全てを集中管理するスイートを考えようとしている組織です。

 今はまだ存在しませんが、全てのエンドユーザーアクセスを管理する役割が必要になるでしょう。これは特に、ファイアウォールの外で運用されたり、会社が所有する資産ではない端末などが増えているためです。

―― モバイル戦略を策定する際に、IT管理者が注目すべき要素は何でしょうか。

ハロッド氏 多くの企業は、自分たちが属する業界を踏まえて戦略を決めます。クラウドやコンシューマライゼーションに関しては、データの種類や制限、重要性を基に、ほぼ全ての決断が下されています。

 米Fidelity(資産運用会社)のような企業と話すときと、消費財メーカーやIT企業と話をするときでは、内容は全く異なります。いずれにせよ、最終目標は、データを安全に利用できるようにして、できる限り快適なユーザーエクスペリエンスを提供することです。

―― 企業でのモバイル活用が始まり、さまざまな端末にアプリケーションを配布したり導入したりする新しい手段が登場したことで、従来のアプリケーション仮想化デスクトップ仮想化の意義は薄れると思われますか。

ハロッド氏 (モバイルが)単に追加の手段というだけではなく、従来の方法に取って代わるようになるかどうかは分かりません。少なくとも現時点では、「ノートPCを置き換えたわけではなく、新しい端末を2台追加しただけだ」というケースが大半です。

 ユーザーが扱うアプリケーションは、ますます増えていきます。従来のWindowsマシンと新しいタイプの端末の両方で、同じポリシーと同じデータを使えるようにすることが、恐らく今後数年の課題になるでしょう。

 その他、アプリケーションストアという考えがあります(参考:企業内アプリストアで実現するライセンス&資産管理)。ユーザーには、必要なときに必要なアプリケーションへアクセスする方法を知ってもらうのではなく、カタログを提供して、端末を問わずに必要なアプリケーションへアクセスできるようにすることです。

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