既に混戦模様の企業向けファイル共有市場に、新たに「VMware Octopus」が投入される。既存のITインフラとの統合性が強みとなり、他の製品と一線を画すことができるかもしれない。
企業のデータセンターにサーバ仮想化が広がっていることや、VMwareが仮想化市場で支配的な地位を保持していることもあり、現在プライベートβ段階にある「VMware Octopus」(以下、Octopus)には既に多くの注目が集まっている。VMwareがOctopusについておおむね秘密主義を保っているにもかかわらず、企業向けファイル共有サービスに必要な管理機能やセキュリティ、使い勝手の良さを備えた製品として、顧客やパートナー企業はOctopusに期待を寄せている。
「管理の観点からすると、非常に大きな力になる」とVMwareのパートナー企業である米Nexus Information Systemsの販売担当副社長キース・ノービー氏は語っている。
VMwareが企業向けファイル共有サービス「Project Octopus」を初めて披露したのは、「VMworld 2011」だ。同社のこれまでの説明によると、Octopusは企業の既存インフラに適合し、vCloudプラットフォーム上で動作する他、「View」「Horizon」「Project AppBlast」といったVMwareの各種のエンドユーザー向け製品と連係できるという。2012年4月2日には、米AppleのApp Storeで無料のVMware Octopusアプリが公開されている。
だがVMwareの主力製品である仮想化プラットフォーム「VMware vSphere」との統合については、まだ詳細は一切明らかにされていない。その点は、OctopusがVMwareの既存顧客に受け入れられるかどうかを左右する重要な要因となるだろう。
vSphereは厳密にはサーバ仮想化ツールとして誕生したが、今ではストレージやセキュリティ、ネットワーキングなど、従来まで細分化されていた分野にも対応するようになっている。近年、1種類だけのテクノロジーを担当するIT管理者が減り、仮想化に関連して複数の業務を兼任するITジェネラリストが増えつつあるのは、こうした成長の副産物ともいえる。
「こうした傾向はOctopusなどの新製品を発表する上でVMwareに有利に働くだろう」と指摘するのは、VMwareのパートナーである米New Age Technologiesの上級ソリューションアドバイザー、シャノン・スノーデン氏だ。
「ITジェネラリストは皆、多面的な業務を行っている。サイロ型の縦割り業務から脱却しつつあるのだ。数年前であれば、Octopusは今よりも難しいチャレンジになっていただろう。以前は、Windows担当者がWindows製品を扱っていたからだ。そして恐らくOctopusがリプレースすることになるのはファイルサーバだからだ」と同氏。
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