物理キーボードがなくても「キーロガー」は有効
iPhoneやAndroid端末のタッチ操作を盗み見る“予想外”な手口
キーボードの入力内容が記録でき、しばしば悪事に利用される「キーロガー」。物理キーボードがないスマートデバイスは、キーロガーの危険からは無縁だと思ったら大きな誤解だ。その理由と対策を示す。
モバイル端末への入力内容を記録するキーロガーと、Windowsや他のOSのキーロガーとの違いは何か。防御策も異なるのだろうか。
キーボードの入力内容を記録するキーロガーは、デスクトップマルウェアによく見られる機能だ。特にオンラインバンキングのログイン情報や取引記録を狙う「Zeus」のようなトロイの木馬が搭載することが多い。キーロガーは、感染先のコンピュータのキーボードからキー入力された内容を全て監視・記録して、攻撃者が操るリモートの環境にその情報を送信する。こうしてパスワードやクレジットカード情報などの貴重な情報が流出するわけだ。
金融取引やオンラインバンキングにモバイル端末を使う人が増えており、犯罪集団もユーザーのログイン情報などのセンシティブな情報を盗むマルウェアの開発に力を入れ始めている。ただし、スマートフォンは、ハードウェアベースの物理キーボードに依存しないという点でクライアントPCとは異なる点に注意が必要だ。
ソフトキーボードでもキーロガーの餌食に
モバイルOSでは通常、画面にイメージマップとして表示されるソフトウェアキーボードで文字を入力する。モバイルアプリケーションの開発者が、自分のアプリ専用にカスタマイズしたソフトウェアキーボードを作成することもできる。従って、モバイル端末に物理キーボードを対象としたキーロガーがインストールされても、ユーザーが入力する内容は簡単には記録できない。ユーザーの入力内容を推定するためには、画面でユーザーがタッチする領域のX座標とY座標を取得し、さらにスクリーンショットも取得して、互いに照らし合わせなければならない。
米Trustwaveの上級セキュリティコンサルタントであるニール・ヒンドチャ氏は2014年の「RSA Conference」で、スクリーンショットに加えてタッチした部分のX座標とY座標をキャプチャーする検証デモを披露。デバイスへのログインに使う仮想キーパッドのセキュリティを破って見せた。この攻撃は主に、root権限を取得したAndroid端末と脱獄(Jailbreak)したiOS端末に対して通用する。こうした端末では、コマンドの実行で、画面上でタッチした部分のX座標とY座標を取得することが可能だ。
米FireEyeは、脱獄させていないiOS 7端末に同じようなタッチログの脆弱性を発見した。root権限を取得していないAndroid端末も、USB経由でクライアントPCに接続すると攻撃に対して脆弱になり、ストレージを使ってキャプチャー画面を保存できてしまう。ヒンドチャ氏によれば、データログだけでもハッキングに十分なデータを取得でき、必ずしもスクリーンショットは必要ではない。ただし、Windows搭載のスマートフォンはこの点についてはクラッキングが難しいことが分かった。
ユーザーの情報を大量に盗み出そうとすれば、この手法はまだ実用化に程遠く、脱獄させていない端末のユーザーにとってのリスクは依然として低い。だが高いレベルのセキュリティが要求される企業では、ユーザーの啓発に力を入れ、こうした脅威を認識させる必要がある。
キーストロークからは多くの情報が入手できるので、標的型攻撃の攻撃者はこうした手口を利用しようとするかもしれない。例えば、1時間ほど誰もタッチしていなかった端末で、4回から8回の連続したタッチをキーロガーが検出すれば、ユーザーが端末にアクセスするための暗証番号を入力したと推定できる。
残念ながら、キーロガーは多くの場合、検出が難しい。端末が感染したとしても、感染をうかがわせる症状はほとんど表れない。FireEyeは米Appleのスマートフォン「iPhone」のユーザーに対し、iOSのタスクマネジャーを使ってバックグラウンドでの監視を防ぐようアドバイスする。また企業に対しては、ネットワークから出ていくデータを監視してネットワークを守り、データトラフィックの異常パターンを検出して感染したモバイル端末を突き止めるよう促している。
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