成功できるかどうかはまだ不鮮明
「Slack」には到底及ばない、Facebookの企業向けSNS「Workplace」に足りない点とは?
Facebookの企業向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「Workplace」は、主要なビジネスアプリケーションとの連係や企業データ保護の機能がまだ不十分だという。
Facebookは企業向けSNS「Workplace」を正式リリースしたが、ライバルと戦うためには、まだ重要な機能が足りないと専門家は話す。
Workplace(旧称「Facebook at Work」)は、企業の従業員が社内外でPCやモバイル端末を使ってチャットやコラボレーションを行う機能を提供する。こうした企業向けSNSの市場はまだ新しく、IBMやMicrosoftなどの大手が先陣を切っている。
併せて読みたいお勧め記事
「Slack」が職場を変える
- チャットツール「Slack」の快進撃が止まらない、UC市場も侵食か
- 「Slack」はなぜ多くのファンを呼び込む? 他のツールにはない魅力とは
- メールからチャットへ――「Slack」「LINE」が変える情報共有と開発手法
ベールを脱いだFacebookのビジネスSNS
企業向けSNS競合製品の優位性
Nemertes Researchのアナリスト、アーウィン・レーザー氏は、FacebookがWorkplaceでこれらのライバルに対抗するには、ビジネス環境に適合させる努力がまだ足りないと話す。現時点ではデータ保護とセキュリティの機能が不十分だという。
また、Microsoftの「Microsoft Office」や「Office 365」、その他の主要な文書管理アプリとの連係が欠けているとレーザー氏は話す。「広範な企業向けコラボレーション空間にどう対応するかが分からない限り、ニッチ製品の域を越えるものにはなれないだろう」
現時点では、他社製品の方がWorkplaceより利点が多い。例えば、Slack Technologyの「Slack」は開発者サポートとサードパーティー連係で先んじている。Jive Softwareの「Jive」にはデータガバナンス機能がある。Microsoftはクラウド型オフィススイートOffice 365に「Yammer」を統合してOffice 365ユーザーなら誰でも使えるようにしている。
FacebookがWorkplaceの無償版をリリースしなかったのは間違いだったとレーザー氏はいう。Workplaceではユーザー数に応じてユーザー1人当たり月額1~3ドルの使用料を設定している。
「最初から有料にすると、なかなか採用につながらず、小規模なチームや作業グループの利用者から口コミで広がる可能性が狭まる」とレーザー氏は指摘する。
IDCによれば、企業向けSNS導入の主な推進力は企業内のチームだ。企業向けSNSの利用はこれから拡大し続ける見込みで、2015年に17億ドルだった世界市場規模は2020年には28億ドルに成長すると予想されている。
IDCの報告によれば、この市場の世界全体の売上高の半分以上を上位5社が占める。1位がIBM、2位がSalesforce、3位がJive、4位がMicrosoft、5位がLithium Technologiesだ。
Facebookの強みは普及率
消費者市場におけるFacebookの普及率は非常に高く、Workplaceにも業界の注目が集まっている。Facebookの一般向けSNSは、世界中で4人に1人(約16億5000万人)が利用するほど浸透している。
「ここまで企業の関心を集めたβ版はほとんど(恐らく1度も)見たことがない」と米Constellation Researchのアナリスト、アラン・レポフスキー氏は話す。
実際、Facebookによれば、Workplaceは1年以上前に企業向けのβ版を開始して以来、1000社以上の顧客企業を獲得したという。ユーザー数が特に多いのはインド、米国、ノルウェー、英国、フランスだ。
Workplaceを採用したくなる特長の1つは、社外の人も含めたグループを簡単に設定できるところだとレーザー氏はいう。「そのようなコラボレーション機能は魅力的だ」
だが、Workplaceは今後、ビジネスアプリケーションと十分に連係し、企業データや通信プライバシーを適切に保護できることを示さなければならない。企業の上級責任者を納得させるにはそうした機能が不可欠だ。それがないと「(従業員は)フォーラムでどこまで話をしていいのか分からなくなってしまう」とIDCのアナリストであるネッサ・トンプソン氏は話す。
専門家は、Workplaceにはまだ改良が必要であり、成功できるかどうかは不鮮明だという。ビジネスに不可欠なツールになれるのか、それとも社内親睦会について相談する場で終わってしまうのかは、今後追加される機能にかかってくるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社ラクス] どうすれば「変革を楽しむ組織」になれるのか? 事例に学ぶ、未来への一歩 -
製品レビュー
[デル・テクノロジーズ株式会社] 変化するサイバー脅威に備える、これからのストレージの選び方 -
事例
[サイボウズ株式会社] 受注約1.5倍と年間2万3000時間超の業務時間を削減、日機装に学ぶDX実践術 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 人材不足にどう挑む? ものづくり太郎が語る、製造現場でのAI活用成功の鍵 -
市場調査・トレンド
[グーグル・クラウド・ジャパン合同会社] 金融機関はAIエージェント導入でどう変わる? 7つの変化から19の事例まで解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
3
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
4
セキュリティ担当者“試練の1週間” 「PHP」脆弱性と認証局の失態が同時発生
-
5
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
6
SAPの負荷増に苦しむZeissが「リアルタイム分析」「安定運用」を両立させた道
-
7
「Kubernetesプラットフォーム」に関するアンケート
-
8
なぜ「Claude Code」拡張は消しても危ないのか? Cursorで不正版配信
-
9
なぜストレージ不足は長引くのか? 77%が「12〜18カ月続く」と予測
-
10
【基本情報技術者試験】データ消失リスクを防ぐ3つの「バックアップ手法」を比較
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
3
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
6
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
7
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
-
8
自社のセキュリティ対策は大丈夫? 自己診断リストで対策の優先順位が分かる
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー