ブロックチェーン技術の入門として、ブロックチェーン上でアプリケーションを構築し、実行できるプラットフォーム「Ethereum」(イーサリアム)、分散型自律組織(DAO)、スマートコントラクトについて解説する。
「Ethereum」(イーサリアム)とは、ブロックチェーン上でアプリケーションを構築し、実行できるプラットフォームだ。Ethereumは、取引の自動化を実現する「スマートコントラクト」や、分散型アプリケーション(DApp)を構築できる。DAppは、資産や組織の集中管理に代わるものだ。DAppはデジタル資産や自律分散型組織(DAO)のようなものも管理できる。DAOとは、企業、非営利組織、政府機関など、共通する利益のために合意を形成して共同作業することが求められる団体を編成する、新たな方法だ。Ethereumでどのようなことができるのだろうか。
Ethereumは、これまで構築された中でも最も複雑なブロックチェーンかもしれない。このEthereumには独自のチューリング完全なプログラミング言語が備わっている。つまり、全機能を備えたプログラミング言語があり、開発者はこれを使ってあらゆる種類のアプリケーションを構築できる。Ethereumプロトコルでは、平均的なプログラミング言語で可能なことはほぼ全て実現できる。ただ、そのプロトコルがブロックチェーン内部で構築され、ブロックチェーンが備える付加価値とセキュリティが上積みされる点が異なる。頭の中で想像できるソフトウェアプロジェクトなら、それはEthereum上で構築できる。
現状、分散型アプリケーションを構築する最適な場所がEthereumエコシステムだ。Ethereumには優れたドキュメントと使いやすいインタフェースが用意されているため、着手から稼働までを迅速に行える。短時間での開発、小規模アプリケーション向けのセキュリティ、アプリケーション同士の容易な相互作用は、いずれもEthereumエコシステムの重要な特徴だ。
その主たる特徴がチューリング完全なプログラミング言語だ。新しいプログラムを構築する場合、この言語によってEthereumブロックチェーンは「ビットコイン」ブロックチェーンよりもはるかに強力なものになる。Ethereumのスクリプト言語では、ミニブログ「Twitter」のようなアプリケーションなら数行のコードで実現できる。その上、極めて高いセキュリティも確保される。
スマートコントラクトはEthereumでも構築できる。Ethereumプロトコルにより、全く新しいジャンルのアプリケーションへの道が開かれる。ほぼ全ての企業、政府機関、組織のプロセスのデジタル表現をEthereum内部に構築することができる。現状のEthereumプラットフォームは、管理の対象を調査しているところだ。例えば、デジタル資産は管理の対象になる。デジタル資産とはオンライン上に存在する新たなクラスの資産だ。ビットコイントークンのような完全なデジタル資産を表すこともあれば、穀物商品など、実社会における資産をデジタルで表現する場合もある。また、不動産担保証券のような金融商品や、土地などの資産の所有権記録も対象になる。そして自律分散型組織(Decentralized Autonomous Organization:DAO)も対象の1つだ。DAOとは、企業、非営利組織、政府機関など、共通利益のために合意を形成して共同作業することが求められる団体を編成する新たな方法だ。DAOは主にEthereumプラットフォーム上に構築される。
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