コスト効率が悪化する場合も
「リフト&シフト」方式のクラウド移行に注意が必要な理由(1/3 ページ)
リフト&シフト方式でのクラウド移行が当初の人気を下げつつある。コスト効率やアプリケーションの動作性など、企業が安易にリフト&シフトでクラウド移行した結果、思わぬリスクを抱える可能性もある。
企業の効率的なクラウド移行方法として期待を集めていた「リフト&シフト(Lift-and-shift)」方式への評価が厳しくなっている。多くの企業が、パブリッククラウド向けにアプリケーションを最適化するには、やはりアプリケーションの再構築が必要だと学びつつあるためだ。
リフト&シフト方式とは、企業がクラウドへ移行するに当たって、従来システムをできる限りそのまま移し替えるやり方。
おわびと訂正(2018年1月15日13時)
原文の日本語訳および編集内容に誤りがありました。以下の通り訂正しておわびいたします。
【訂正前】
リフト&シフト方式とは、企業がクラウド移行に当たって、従来システムを大幅に刷新する代わりに“クラウドに乗せられる部分はそのまま移し替え(リフト)、変えた方が賢明な部分はクラウドに合わせて変える(シフト)”ことで移行を効率化するやり方。
【訂正後】
リフト&シフト方式とは、企業がクラウドへ移行するに当たって、従来システムをできる限りそのまま移し替えるやり方。
以前は、パブリッククラウドに対し、ワークロードの移行先となるマネージドホスティングソリューションとして多大な期待を寄せる企業が多かった。だがこうした分散型アーキテクチャの特性をIT部門がより深く理解するようになるにつれ、状況は変化している。
併せて読みたいお薦め記事
クラウド移行の事例
クラウド移行を目指す企業があえて見据えるべき“コツ”と“課題”とは
リフト&シフトが「完璧なクラウド移行策」ではない理由
専門家はかつてリフト&シフト方式のクラウド移行を、「企業をデータセンター保守の負担から解放し、従量課金制のパブリッククラウドに乗り換えるためのシンプルな方法」ともてはやした。当時は、アプリケーションをリファクタリング(注1)しなくてもパブリッククラウドに容易に業務移行できると請け合うスタートアップ企業も少なくなかった。クラウド環境からより多くのメリットを得ようとする企業が増える中、こうしたリフト&シフト方式のアプローチは、早くも色あせつつある。
※注1:リファクタリング=ソフトウェアの外部に向けた振る舞いを変えずに、一部の仕組みや修正などを簡略化するため、内部構造を改善すること
リフト&シフト方式のクラウド移行が成功する例もある。ただし、Amazon Web Services(AWS)などのパブリッククラウドにおいてアプリケーションの性能を最大限に引き出すならば、従来型データセンターとは異なるアプローチが必要だ。企業は、クラウドならではのメリットやコスト効率を最大限に伸ばすべく、アプリケーションを設計し直さなくてはならないだろう。
ファイル共有/コラボレーションサービスを提供するHightailは最近、数ペタバイトのデータをAWSに移行した。同社はこの移行を、“自社製品を一から作り直すためのチャンス”と捉えたという。
「私たちはリフト&シフト方式を選ばなかった」とHightail(旧YouSendIt)の技術担当上級副社長シバ・パラナンディ氏は語る。同氏らは、クラウド非対応のワークロード移行を好機と捉え、各種コンポーネントの中心的な要素を書き換えた。
Hightailの主目的は、必要に応じてサーバを増減できるパブリッククラウドの特性を生かし、コストと性能を最適化することだった。同社は、データストレージのライフサイクル管理を改善し、リアルタイムデータ分析ツール「Amazon Kinesis」などAWSのネイティブサービスを取り入れた上で、機械学習も導入したい考えだ。機械学習を自社で一から導入するのは、恐らく非常に難しいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー