2017年09月07日 05時00分 UPDATE
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コスト効率が悪化する場合も「リフト&シフト」方式のクラウド移行に注意が必要な理由 (1/3)

リフト&シフト方式でのクラウド移行が当初の人気を下げつつある。コスト効率やアプリケーションの動作性など、企業が安易にリフト&シフトでクラウド移行した結果、思わぬリスクを抱える可能性もある。

[Trevor Jones,TechTarget]

画像 導入後に「こんなはずじゃなかった」と思わないために

 企業の効率的なクラウド移行方法として期待を集めていた「リフト&シフト(Lift-and-shift)」方式への評価が厳しくなっている。多くの企業が、パブリッククラウド向けにアプリケーションを最適化するには、やはりアプリケーションの再構築が必要だと学びつつあるためだ。

 リフト&シフト方式とは、企業がクラウド移行に当たって、従来システムを大幅に刷新する代わりに“クラウドに乗せられる部分はそのまま移し替え(リフト)、変えた方が賢明な部分はクラウドに合わせて変える(シフト)”ことで移行を効率化するやり方。

 以前は、パブリッククラウドに対し、ワークロードの移行先となるマネージドホスティングソリューションとして多大な期待を寄せる企業が多かった。だがこうした分散型アーキテクチャの特性をIT部門がより深く理解するようになるにつれ、状況は変化している。

リフト&シフトが「完璧なクラウド移行策」ではない理由

 専門家はかつてリフト&シフト方式のクラウド移行を、「企業をデータセンター保守の負担から解放し、従量課金制のパブリッククラウドに乗り換えるためのシンプルな方法」ともてはやした。当時は、アプリケーションをリファクタリング(注1)しなくてもパブリッククラウドに容易に業務移行できると請け合うスタートアップ企業も少なくなかった。クラウド環境からより多くのメリットを得ようとする企業が増える中、こうしたリフト&シフト方式のアプローチは、早くも色あせつつある。

※注1:リファクタリング=ソフトウェアの外部に向けた振る舞いを変えずに、一部の仕組みや修正などを簡略化するため、内部構造を改善すること

 リフト&シフト方式のクラウド移行が成功する例もある。ただし、Amazon Web Services(AWS)などのパブリッククラウドにおいてアプリケーションの性能を最大限に引き出すならば、従来型データセンターとは異なるアプローチが必要だ。企業は、クラウドならではのメリットやコスト効率を最大限に伸ばすべく、アプリケーションを設計し直さなくてはならないだろう。

 ファイル共有/コラボレーションサービスを提供するHightailは最近、数ペタバイトのデータをAWSに移行した。同社はこの移行を、“自社製品を一から作り直すためのチャンス”と捉えたという。

 「私たちはリフト&シフト方式を選ばなかった」とHightail(旧YouSendIt)の技術担当上級副社長シバ・パラナンディ氏は語る。同氏らは、クラウド非対応のワークロード移行を好機と捉え、各種コンポーネントの中心的な要素を書き換えた。

 Hightailの主目的は、必要に応じてサーバを増減できるパブリッククラウドの特性を生かし、コストと性能を最適化することだった。同社は、データストレージのライフサイクル管理を改善し、リアルタイムデータ分析ツール「Amazon Kinesis」などAWSのネイティブサービスを取り入れた上で、機械学習も導入したい考えだ。機械学習を自社で一から導入するのは、恐らく非常に難しいだろう。

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