ITILが誕生した背景から日本で必要とされる理由までを時系列で解き明かす。ITILの導入にはコンサルタントの利用が効果的というが、ITIL実践の目的を真に理解しているかどうかが重要なポイントだという。
その昔、日本の企業には良い意味でも悪い意味でも独立独歩の気風があった。どのように業務を遂行するかといったことはそれぞれの企業の裁量に任されており、「人にとやかく言われる筋合いのものではない」「外から口を挟むものではない」と考えられていた。また、そうしたやり方で何とかなった時代だった。ある重大な社会問題が引き起こされるまでは。
itSMFジャパンの設立企業の1つであるコンサルティングファームのプロシード 西野 弘氏は、そのある重大な社会問題とは、“公害”であると打ち明ける。環境に対する明確な保護基準が存在しなかったことから企業は独善的な尺度で活動を続け、工場から排出される有毒物質は周辺住民の健康や生命を脅かした。そして、企業自身も社会的信用を失うなど大きな損害を被った。このときの反省から、多くの企業が節度ある企業市民としての使命を認識し、世間にあまねく通用するルールを設け、そのルールにのっとって活動を組織していることを自ら証明する社会的な要求が高まった。そうした活動の代表的なものが、ISO(国際標準化機構)やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)、プライバシーマークなどの認証取得である。
この問題を情報システムの世界に絞って考えてみよう。コンピュータの黎明期である汎用機の時代、その運用管理は情報システム部に所属する専門家に一任されていた。システムの開発期間は余裕を持って設定され、予算もそれなりに付いた。西野氏は、「利用者は社内の一部のユーザーに限られたため、少しばかりシステムダウンが発生したとしても企業活動への影響は小さく、世の中で騒がれることはありませんでした」と、その当時を振り返る。
だが今は違う。企業でも家庭でもPCの導入が進み、人々はその情報通信技術を基盤として活動するようになった。そうなると当然、個人や組織の在り方、物事の進め方などを見直す必要が出てくる。しかし、そのことに気付いた人は少なかった。ルールが存在しないか、属人的であるがために、物事を遂行するためのコストやリスクが非常に高くなってしまったのである。またそれは、人間側の意識のありようが大きくものをいい、テクノロジーで何とかできるたぐいのものではなかった。
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