2007年07月20日 05時00分 公開
特集/連載

SMBにとってのITIL――苦労に見合うメリットはあるか?「今のやり方」を断ち切るのは難しい

SMBにとってITILの採用には困難が伴うが、見返りとしてプロセス効率が向上し、組織全体にITが統合される。

[Matt Bolch,TechTarget]

 ITIL(Information Technology Infrastructure Library)のベストプラクティス採用は、ダイエットを始めるのと同じくらい大変だと、ルー・ハンネバック氏は言う。ライフスタイルの切り替えには慣れが必要だし、甘いものを食べたいという気持ちはなかなか断ち切れないだろう。

 「IT担当者というのは“0か1か”な人種であり、セット製品を欲しがるものだ」と話すハンネバック氏は、ITサービス管理(ITSM)・IT人材管理技術を提供する米CCNのITSM業務ディレクター。「ITILには一定の信頼が必要で、非常に怖いものになるかもしれない。これは本当に文化を変えることなのだ」

 それでもITILで提示されたコンセプトを採用する中堅・中小企業(SMB)は増えている。ITILはITプラクティスのフレームワークを設定し、それを事業戦略に沿わせるものだ。分析/コンサルティング会社のEnterprise Management AssociatesでITSMコンサルティングディレクターを務めるハンク・マーキス氏によると、5月30日に更新されたITIL基準に関しては、約1年ほどで新しい指導用資料が公開される見込みだ。

反応時間高速化、コストと時間の削減

 Raritan ComputerのグローバルITディレクター、ニール・リウ氏によると、同社は米ニュージャージー州とアジアにあるデータセンターのニーズに沿った反応時間高速化のため、2005年春にITIL基準の採用に着手した。同社従業員は、21人で組織するグローバルITチームを含めて世界で400人。同社はアナログKVM、KVM over IP、リモートサーバ管理、電力管理、ネットワーク監視、管理技術を手掛ける世界的なサプライヤー。

 リウ氏によると、同社では「何かがダウンすると大混乱になっていた」ため、「サービス管理技術を使ったプロジェクト管理方式を採用した」。これにはダッシュボード報告、問題が発生した場合のアラート高速化、リモートアクセスが含まれる。プロジェクトには、ITILで養成した20人以上のエンジニアとITチームが協力。これによりRaritanは、社内でのサーバモニタ導入によって年間1万2000ドルのコストを削減したという。それ以外にも、リポーティングの強化とサーベンス・オクスリー法(SOX法)404条のコンプライアンス強化により、サーバ管理者は1日1時間の節約ができた。

 「“ITILのためのITIL”にしないことだ」とリウ氏は言う。「チームメンバーが誰でも守れる標準的な業務手順を策定するため、ITILで解決できるポイントを見つけなければならない」

 ハンネバック氏の会社では、ITプロジェクトにおけるITILを強調しているわけではないが、SMBによる戦略目標達成を支援する上でこの手法は重要だという。「当社ではこれを、品質/業務エクセレンスプログラムと呼んでいる。ITILは、その事業目標を達成するためのツールの1つにすぎない」と同氏。

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