緊急のシステム管理作業を携帯電話でさりげなくこなすもうレストランでノートPCを取り出さなくても済む

システム管理者にとって、トラブル発生の緊急連絡は避けられない。だが、必ずしもノートPCは必要ではなく、直接携帯電話から問題に対処し、解決できることもある。

2008年11月05日 08時00分 公開
[Kyle Rankin,TechTarget]

 システムトラブルに備えて待機した経験のある方なら、外食しているときや映画を見ているとき、あるいはパーティーのさなかに呼び出されてしまうのは時間の問題だということを知っているはずだ。わたしはこの3つに加えて、ほかにも間の悪いときに呼び出されたことがある。だが現在、レストランや映画館、パーティーの場でノートPCを取り出すのは、かなり非常識なことだと考えられている。例外は、お客のほとんどがシステム管理者という場合だけだ。このため緊急事態が発生すると、通常は自分の車かどこか人目につかない場所にノートPCを持ち込んで、問題を解決するまでこもって作業しなければならない。

 しかしだんだん分かってきたのは、緊急連絡で呼び出される場合の中で、ノートPC上のツールが全部必要になるのはごく一部に限られるということだ。多くの場合は、直接携帯電話から問題に対処し、解決できる。その方が迅速に対処できるときもある。また、わたしは幸いノートPC用に3Gネットワークカードを持っているが、すべての管理者がこうした装備を整えられるとは限らない。携帯電話で対処できれば、素早く作業を開始でき、最寄りの無線ホットスポットを探し回る必要はない。

 携帯電話からサーバを管理する上で重要なのがSSHクライアントだ。UNIX管理のほとんどはコマンドラインから行えるため、リモート管理はすべてSSHでできるようにセットアップするのが理にかなっている。リモートコンソールやリモートツールの多くはWebインタフェースを備えているが、そのほとんど(HPのiLOSunのALOMなど)はリモートシリアル機器をサポートし、それ以外のものもTelnetかSSHをサポートしている。

 利用できるSSHクライアントは、携帯電話のモデルによってさまざまだ。わたしはBlackBerry上でMidpSSHeを愛用している。このクライアントは無料で、これまで非常に重宝してきた。

 携帯電話用SSHクライアントに慣れるポイントは、日常で使っている低遅延の双方向環境は望めないと割り切ることだ。3Gネットワークはかなりましだが、それでも入力したコマンドが画面に表示されるのを辛抱強く待たなければならない。

 また、携帯電話用SSHには接続切れの問題もある。トラブルがもう少しで片付くというときにSSH接続が切れてしまうほどいら立たしいことはない。この問題があるため、作業の最初にscreenユーティリティーがインストールされたリモートUNIXマシンにログインすることをお勧めする。screenでシェルセッションが維持されるため、セッションへの接続が切れても、後でセッションを再開できるからだ。接続が切れたら、マシンにログインし直してscreenセッションを再開すれば、接続が切れる前のままの状態に戻れる。

 緊急事態に携帯電話で完全に対処できれば、人と一緒にいるときに呼び出しを受けるという間の悪い状況を楽に乗り切れる。例えば、映画を見ているときに呼び出されたら、一言断って席を立ち、出口の近くまで行って、そこで映画を見続けたり、少なくとも聞くことができる。車まで歩いてノートPCを立ち上げるよりはずっといい。食事やパーティーのときも、中座してトイレなどで問題を解決してくれば、あなたが呼び出されて一仕事してきたことは誰にも分からない。

 これまでに携帯電話から緊急対応を行った中でも特にうまくいったケースの1つは、同僚のUNIX管理者と食事をしていたときのものだ。わたしが連絡を受けた問題は、解決するには基本的にサーバのパワーサイクル(電源再投入)が必要だった。わたしはノートPCを手近に置いていたが、同僚もわたしも携帯電話を持っていたので、1人がそのマシンのシリアルコンソールにログインし、もう1人がPDU(Power Distribution Unit:電源分配器)にログインした。われわれはマシンのパワーサイクルに成功し、復旧を確認した。ノートPCを使っていたら、それまでにまだブートも完了していなかっただろう。

 BlackBerryやiPhone/iPhoneアプリの高機能化や、Googleの携帯電話市場参入など、現在の業界の動きから見て、携帯電話でできることはますます広がっていきそうだ。携帯電話からシステム管理を行う場合、今はSSHを使うしかないかもしれないが、将来はベンダーが自社の管理ツールを携帯電話に直接移植するようになったり、あるいはWebベースのツールを利用できるだけの洗練されたWebブラウザが登場してくる可能性がある。もっともわたしは今のところ、黒画面に緑文字のちっぽけなSSHターミナルをいつもポケットに入れておけるだけで、十分満足だ。

本稿筆者のカイル・ランキン氏は米サンフランシスコ、ベイエリアのシステム管理者で、「Knoppix Hacks」「Ubuntu Hacks」(ともにO'Reilly Media)など著書多数。

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