不慮の情報流出を防ぐ「特効薬」として最近注目されるDLPとは何か。その仕組みとは? DLPのソリューション像をひもとくとともに、機密データを守るためのセキュリティポリシーについて解説していく。
企業の大切な情報の漏えいが、一部は意図的で悪意のある内部者によって引き起こされ、またその大半は偶発的に行われている。従業員のデータ保護ポリシーに関する無知や、生産性を向上させるためにポリシーを回避してしまうことがその原因だ。そこで大切な情報を守るために登場したのがDLP(情報漏えい防止)というソリューションである。ポリシーの施行を自動化し、禁止されている行動をリアルタイムでブロックすることによって情報漏えいを防止することが可能だ。
情報漏えい対策はここ数年、セキュリティ上のテーマとして関心を集めているが、今のところその関心度の高さほどには導入が進んでいない。情報漏えいリスクへの理解は十分に進み、情報の取り扱いに関するある程度の規定は多くの企業で作られたにもかかわらず、こうした規定に沿って適切な制限を掛けられる製品が無かったのだ。ポリシーを厳しくすれば業務に支障が出てしまうし、逆に緩ければ効果がない。そのため、多くの企業が取りあえず操作ログを取るという行為に流れてしまった。防止という観点からは決定打となる製品が登場しなかったことが原因の1つだろう。
その一方で、最近大手のセキュリティベンダー(ウェブセンス、シマンテック、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、トレンドマイクロ、マカフィーなど)が、DLP技術の囲い込みを始めた。その結果、従来のセキュリティ対策の一環として情報漏えい対策を認識することが可能となり、このことが普及を後押しすると期待されている。
DLPとはData Loss Prevention、もしくはData Leakage Protectionの略称で、文字通りデータの紛失、漏えいに対する防御ソリューションである。広義でいえば情報漏えい対策全般を表し、デバイスの制御や暗号技術、コンテンツフィルタリングなども含まれるが、最新の技術として、以下の特徴を持つものを狭義としてDLPと呼ぶことが多い。
狭義のDLPは、中身を見てデータが重要かどうかを判別し、あらゆる流出経路において流出を積極的に防止するもので、
の3つを自動的に行う。最大の特徴は、ファイルではなくデータの中身を判別する技術で、データの一部分であったとしても検出して流出を防止できるという点だ。ここでは代表的な技術として「タグ付け」と「フィンガープリント」について解説したい。
仮にあなたが上司から重要なデータを紙でもらって保管する必要があったとしよう。その紙を重要なデータとして分類するためには、付せんやシール、スタンプなどで「機密情報」といった、いわば「タグ情報」を張り付ける必要がある。DLPにおけるタグ付けは、ファイルが「どの場所(共有フォルダ)からコピーされたか」「どんなテキストを含むか」「どのアプリケーションで作成されたか」という情報に基づいてファイルにタグ情報を埋め込み管理する手法である。
データの重要度、機密性に合わせてデータにタグ情報を付与し、そのデータをコピーしたとしてもタグ情報が継承されることによって、データの分類をどこまでも追跡することができる。タグ付けはユーザーが意識することなく自動的に行われ、機密として分類されたデータを流出させる行為を行った際に自動的に流出を検知し、ブロックする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
脅威の検知と迅速な対応は、セキュリティ戦略の中核をなす重要な機能だ。これを実現するために、多くの組織が自動化ツールやAIなどの技術を採用しているが、成果を挙げている組織もあれば、そうでない組織もあり、明暗が分かれている。
近年、多くの組織が多数のセキュリティ製品をパッチワーク的に導入している。その結果、運用が複雑化し、非効率な状況が生まれてしまった。このような状況を改善するためには、セキュリティベンダーを統合することが必要だ。
データセンターにおいて、NGFWやマルウェア対策といったセキュリティ製品の導入は不可欠だが、選定を誤ると非効率な運用プロセスや高いコストに悩まされることとなる。5つの組織の例から、費用対効果の高い製品を見極めるコツを探る。
ダウンタイムが許されない基幹系システムやデータベースをクラウドに展開している場合、システムの障害対策をベンダー任せにすることは危険だ。本資料では、その理由を解説するとともに、クラウドの障害対策を実施する方法を紹介する。
エンドポイントがサイバー攻撃の対象となるケースも増えている今、企業にはどのような対策が必要なのか。2024年に実施された調査の結果を基に、3つの重大なリスク要因と、その解決策としてサイバーレジリエンスが重要な理由を解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。