スマートフォンそれともUMPC? 3Gデータ通信を生かす環境選び出そろった3Gデータ通信をフル活用

各携帯キャリアが提供する3Gデータ通信は、ノートPCのみならず、スマートフォンやUMPCを利用する上で必須のサービスとなりつつある。それぞれの端末の特性を見極め、最大限に活用していこう。

2009年01月22日 08時00分 公開
[池田冬彦]

 一昔前は、モバイルといえば「ノートPC+公衆無線LANスポット」というスタイルが一般的だった。しかし、今ではスマートフォン、さらにノートPCよりも小さく、スマートフォンよりも多機能なウルトラモバイルPC(UMPC)(「ネットブック、ミニノートPC」などとも呼ばれる)も出そろい、ユーザーの利用スタイルやニーズに応じてさまざまな手段を選べる時代になってきた。

 これらの端末に欠かせないのは、もちろん、オフィス外での高速なインターネットアクセス手段である。今回は、この接続環境を実現する携帯電話会社の3Gデータ通信サービスの選び方と、このサービスの利用環境、利用シーンについて見ていくことにしよう。

ビジネスをパワーアップする3G通信の威力

 モバイルインターネットのアクセス手段には、公衆無線LANと携帯電話キャリアのデータ通信サービスの2つがある。公衆無線LANは最大54Mbpsの通信が可能で、月額利用料金も比較的安い。だが、サービスが提供されている場所は大都市の駅や繁華街、オフィス街などが中心で、駅から離れた場所や地方都市ではアクセスポイントが見つけられないことも多い(特集記事「公衆無線LANがワークスタイルを変える」を参照)。

 この問題を解決するのが、「HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)」方式のデータ通信サービスである。HSDPAは携帯電話の3G規格「W-CDMA」の拡張規格であり、3.5Gとも呼ばれ、下り最大3.6Mbps(上りは最大2Mbps:共に理論値)で高速に通信できる。また、大都市の一部のエリアでは7.2Mbpsでの通信も可能だ。

 HSDPAサービスは携帯電話の基地局と通信を行うため、実効速度は場所や環境によって異なる。7.2Mbps対応エリアの場合、下り1M〜3Mbps、3.6Mbpsのエリアでは平均1M〜1.5Mbps程度の速度が得られる。電波の条件が良ければ、Webアクセスやメールアクセスについてはまったくストレスを感じない速度だ。数Mバイト程度の添付ファイルをやりとりするのも問題はない。

 また、HSDPAサービスは、各社ともIPsecやPPTPなどのVPN通信も利用できる。どこからでもオフィスへリモートアクセスし、社内メールサーバやExchange Serverなどのグループウェアへセキュアにアクセスできるのが大きなメリットだ。これなら、わざわざ出先から帰社して作業を行う必要もなく、社員のアクティビティを最大限に高められるだろう。

キャリア系データ通信の規格

規格 世代 周波数帯域(MHz) 最大速度:下り(Mbps) 最大速度:上り(Mbps)
EV-DO Rev.A 3.5G 1.25 3.2 1.8
HSPA(HSDPA/HSUPA) 3.5G 5 14 5.7
UMB(Ultra Mobile Broadband) 3.9G 1.25/5/10/20 288 75
LTE 3.9G 1.25/5/10/20 326.4 86.4
WiMAX 3.9G 5/10 75 75

 HSDPAは厳密には下り方向の高速規格であり、上りの高速規格はHSUPAと呼ばれる。理論上の最大速度は下り最大14Mbpsだ。将来的には、3.9G規格である「LTE(Long Term Evolution)」への移行が有力であり、NTTドコモでは「Super3G」という名称で2009年末〜2010年のサービス提供を予定している。なお、W-CDMA方式を採用するKDDIはEV-DO Rev.Aによるデータ通信のみを提供している。


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