ASP/SaaS発展期の主役となり得るモバイルSaaS。その中から特徴的なサービスをチョイス、その内容を紹介していく。業務系からユーティリティまで、幅広いラインアップとなった。
前回「ケータイ活用の進化形モバイルSaaSがウケる訳」は、ノートPC以外の携帯端末(電話やスマートフォン、Windows Mobile端末など)を利用したモバイルSaaS(Software as a Service)が増える理由として、その需要やメリット、市場動向などについて説明した。今回は、モバイルSaaSの中から具体的なサービスを19種類ほど選び、その内容について紹介していく。幾つかのモバイルSaaSを取り上げるに当たり、分かりやすいように
と分野別に分類した。企業ユーザーの利用はもとより、サービスサプライヤーにとっても導入できる最適なサービスが見つかれば幸いである。
・「Salesforce Mobile」(セールスフォース・ドットコム)
CRMのリーディングカンパニー、セールスフォース・ドットコムの「Salesforce Mobile」は、3G携帯電話、ソフトバンクモバイルのWindows Mobile携帯端末(X01HTおよびX01T)に対応するCRMサービスだ。SalesforceのCRMアプリケーションのみならず、人事管理や財務管理など、Force.com上の数多くのアプリケーションが使え、営業部門以外での幅広い用途で活用することも可能だ。
携帯電話とSalesforceとのデータ同期は自動的に行われるため、データ更新作業は不要だ。顧客への電話発信やOutlook Mobileのメール履歴をSalesforceに記録できるほか、新規ユーザーの登録、接続状況の監視、デバイス紛失時のデータ停止処理などもSalesforce側で一元実行できる。また、オンライン/オフラインでのデータ検索機能もサポートしている。料金は1ユーザー当たり月額1万4175円から(税込み、Professional Editionの場合。ライセンス費を含む)。
・「NetSuite」(ネットスイート)
ネットスイートの「NetSuite」は、企業の業務全般をサポートするSaaS型の統合業務アプリケーションだ。顧客情報管理、営業支援、販売管理といったCRM機能はもとより、財務会計、在庫管理、人事などのERP機能、さらにはeコマースといった主要業務を単一データベース上で統合。これにより見込み顧客の獲得から、受注・製品出荷、財務分析までのすべてを自動化し、さらにそれらのデータを全社で共有できるようになる。
例えば、営業が顧客取引状況や請求書を参照したり、在庫管理者がダッシュボードで承認済み注文をチェックしたり、経理が支払い関連を統合的に表示するなど、さまざまな情報をスムーズに活用できる環境を支援する。業務プロセスの合理化や部門をまたがる情報を可視化でき、BI(ビジネスインテリジェンス)による業務判断も可能だ。モバイルSaaSについては、Windows Mobile端末やBlackBerry、iPhoneに対応した「SuitePhone」などを展開している。
・「Mobile PIM for Oracle CRM OnDemand」(TDCソフトウェアエンジニアリング)
「Mobile PIM」は、オラクルのSaaS型CRM「Oracle CRM OnDemand」の機能を携帯電話から利用できるソリューション。NTTドコモの携帯電話(au、ソフトバンクモバイルは対応予定)から、商談情報、顧客情報、アポイントなど各種データの参照・編集・新規作成が可能だ。データ同期によって新規作成または変更したデータをCRM OnDemandに反映、また携帯電話への利用頻度の高いデータをキャッシュすることで電波を気にせず利用できる。
携帯電話の利用時に高度なセキュリティ対策が施されている点も特徴だ。ログイン後に一定時間がたつと自動ログオフしたり、ログインに3回連続失敗すると顧客情報を強制消去する(携帯電話上で消去されても、Oracle CRM On Demandに顧客情報が残る)。また、携帯電話を紛失した場合には、携帯電話のアプリケーションからのアクセスを停止。さらに停止した携帯電話から不正アクセスがあると、強制的にデータを消去し、管理者にメールで通知するなども可能だ。初期費用は1万円、月額料金は1ユーザー当たり2100円(税込み、契約期間6カ月、最小ライセンス5ユーザー時)。
・「e顧客」(ベストコミュニケーションズ)
「e顧客」(いーこきゃく)は、汎用的なデータ連携機能を備え、主要3キャリアの携帯電話やiPhoneから手軽に利用できるWeb顧客管理システムだ。2008年12月にリリースされたばかりの最新版は、携帯ブラウザからの参照・入力、検索機能の拡張、メールの一括送信、ラベル印刷、高速データ読み込みなど、“攻め”の営業をアシストする機能が充実した。例えば、絞り込んだ営業ターゲットにメールやDMを一括で送付し、そのリストを常時呼び出しながら営業直後に折衝記録を入力すると、リストの消し込みが自動で行われる、といった一連の流れで営業活動の効率化を支援する。初期費用は不要で、月額料金は1ユーザー当たり2625円(税込み)から。
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