日本企業がIFRS対応を検討するに当たり、幾つかの参考となる海外事例を紹介する。各事例の分析から分かった共通した特徴も指摘したい。いかに二重投資を避けるかがポイントだ。
日本のIFRS元年である2009年が過ぎ、新しい年を迎えた。まずは、2009年の日本におけるIFRS動向を振り返ると同時に、今年の見通しを共有させていただきたい。
現在、わたしの所属するアクセンチュアでは、IFRSイニティアティブというグローバル横断のチームを組織化し、クライアント企業のハイパフォーマンス革新をお手伝いさせていただいているが、この動きは2008年秋にFASB(米国財務会計基準審議会)がIFRSロードマップ案を公表したころから始まった。アクセンチュアでは、ヘッドクオーターからIFRSに関する先行事例や、SAPシステムを活用したソリューションを各グローバル・リージョンで共有し、各国のクライアント企業に最高のサービスを提供するために、より一層の連携強化の声がかかったのだ。そして、2009年1月には日本法人でもIFRSチームを結成。2月からは講演や執筆活動などを通し、日本企業の皆さまに、グローバル共通のビジネス言語であり、グローバル経営管理そのものともいえるIFRSに関する考え方の紹介を開始した。
特に、SAPという切り口から紹介させていただいた最も重要なソリューションである「ERP Harmonization」、もしくは「ERP Consolidation」と呼ばれるSAP ERPの標準化・集約導入思想については、欧米ではかなり浸透しているものの、ERPを事業単位や地域・グループ個社単位で導入してきた日本企業にとってはなじみの薄いものであった。標準化や集約をかける際に最も重要なのは、情報や管理の物指しを統一することであり、それが会計の歴史上でも今回始めて統一されるIFRSなのである。以前ご紹介したIFRS対応の松竹梅コースにおける松コースは、まさしくIFRSを契機としたERP Harmonization/Consolidationにほかならず、日本企業のグローバル化においても、欧米及び新興国のハイパフォーマンス企業と肩を並べて競争するために、次の数年先、10年後を見据えた必須の事業基盤と断言できる。
話を戻そう。2009年6月の金融庁によるロードマップの公表以降、IFRSの流れは変わってきた。それまでは学習モードだった日本企業の中に、IFRS導入による影響分析やIFRSベースのオペレーション戦略、ITシステム刷新構想、ERPバージョンアップに合わせたIFRS対応計画などの検討を始めた企業が年末にかけて急増した。
これらのIFRS導入先行企業に共通する動きとして、まず2009年末から2010年初にかけてプロジェクト計画を立てて2010年度予算に盛り込み、そして2010年度(この4月)から本格的なIFRS対応プロジェクトを開始する、ということが挙げられる。もちろん、外国上場や外国資本の関係上、既にIFRS対応済の日本企業もあるが、IASB主導の「これまでのIFRS」と、FASBやASBJ(企業会計基準委員会)も加わった「これからのIFRS」とを切り分けると、既にIFRS対応済の企業は「これまでのIFRS」対応であり、「これからのIFRS」対応という面では、2010年度から本格的なIFRS対応プロジェクトを開始する企業が国内IFRS対応の第一陣となる。
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