企業向けLANスイッチ「Catalyst」シリーズの新モデルを4月より順次販売開始。ユーザーのアクセス管理や消費電力制御など、インテリジェントな連動機能で差別化を図った。
シスコシステムズ(以下、シスコ)は3月18日、企業向けLANスイッチ「Catalyst」シリーズの新製品群を発表した。エッジ/ミドルレンジモデルを一新、電源管理やセキュリティといった付加機能を充実させた。
シスコでは、場所、時間、デバイスに左右されずシームレスなコミュニケーションを実現する次世代ネットワーク「ボーダレスネットワーク」を自社製品のコンセプトとして掲げる。今回、ボーダレスネットワークの、主に管理面を構成する「EnergyWise」(グリーンIT)、「TrustSec」(セキュリティ)、「Medianet」(ビデオ配信の最適化)の3つの機能をCatalyst新シリーズでサポートした。
新製品はレイヤー3スイッチの「Catalyst 3750-X」「Catalyst 3560-X」およびレイヤー2スイッチの「Catalyst 2960-S」の3シリーズ。いずれもギガビットイーサネット(GbE)ポートを24または48ポート装備する。特に3750-Xは、スタックした状態でシャーシ間での電源ユニットの共有ができることが特徴。このため、スタック時に電源ユニット未搭載のスイッチに接続された端末にも給電したり、電源故障時に備えて冗長化用の電力をあらかじめ予約しておくといったことができる。ソフトウェアオプションにより、レイヤー2スイッチとしての利用も可能である。
また2960-Sは、10GbEのアップリンクを備える24または48ポート搭載のGbEスイッチ。簡易的なスタッキング機能を搭載し、複数台を1台の論理スイッチとして管理できる。参考価格は3750-Xが5200米ドル、3560-Xが3400米ドル(いずれも5月1日販売開始予定)、2960-Sが1995米ドル(4月1日販売開始予定)。
Catalyst新製品が対応するエネルギー管理ツール「EnergyWise Orchestrator」は、ネットワーク機器の電力消費量をプロアクティブに制御する。管理サーバ、データベースサーバ、端末用エージェントで構成され、スイッチに接続されるPCや無線アクセスポイントなどPoE(Power over Ethernet)対応機器の消費電力も管理できる。販売は6月以降になる予定。
また、同社がスイッチ連動機能の目玉とするTrustSecは、ユーザー/ポリシー管理サーバ「Cisco Secure ACS(Access Control Server)」を中核とする認証・アクセス管理やデータ保護のフレームワークだ。今回、新技術として部門や役職など企業ユーザーの属性に基づいて、スイッチ側にアクセス先のサーバを制御させる「SGT」という仕組みを開発した。これにより「IPアドレスやVLANに依存しない、人の役割にのっとった本来のアクセス管理が可能になる」(プロダクトマネジメント シニアマネージャの大木 聡氏)。エッジ側のCatalystがイーサネットフレームにユーザーのセキュリティタグ情報を付加することで実現する。現時点のCatalystはSGTに未対応だが、将来的にソフトウェアの更新で対応する予定だという。加えて、3750-X/3560-Xでは、PCとスイッチ間の通信をレイヤー2レベルで暗号化する「MACSec」(IEEE 802.1AE)をサポート。PC側が対応していれば、通信経路からの情報漏えいやデータ改ざんを防ぐことができる。
そのほかMedianetについては、HDビデオ会議など広帯域のビデオアプリケーションの通信を最適化する帯域予約やビデオトラフィックをメタデータ化する機能などを実現する。新Catalystでは第一段階として、ビデオ関連機器の自動検出・構成機能をサポートした。
なお、シスコは同日、拠点向けルータ「Cisco 3900」シリーズの性能を3倍に引き上げるサービスパフォーマンスエンジン「SPE 200」(マザーボード交換でアップグレード可)も併せて発表した。
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