シスコは拠点向け統合ルータ「ISR G2」をリリースした。アーキテクチャを大幅に改良し、複合サービスエンジンを強化することで、音声やビデオなど多様なアプリケーションが利用可能となった。
シスコシステムズは10月21日、拠点向け統合型ルータ「Cisco ISR G2」(以下、ISR G2)を発表、販売を開始した。従来製品からアーキテクチャを一新、約5倍の性能を実現しつつ、WAN高速化やセキュリティなどのサービス機能をソフトウェア形式で容易に追加できるようにした。
ISR G2は、ワイヤレスやセキュリティの機能を1台で賄える同社の統合型ブランチルータとしては第2世代に該当する製品。ユーザー規模や収容するサービスの種類、性能などで「1900」「2900」「3900」の3シリーズが用意されている。マルチコアCPUの搭載、高速なモジュール間通信が可能なファブリックの採用、管理コンソール用のUSBポートの装備など第1世代の「ISR」のアーキテクチャを大きく改良した。動画処理や呼制御に最適化されたDSP(Digital Signal Processor)モジュールを搭載すれば、高密度なビデオ会議やIP電話が利用できる。
またISR G2では、ISRで採用した機能拡張用モジュールで実装できるサービスの種類が多様化した。同ルータにさまざまなサービス機能を追加する拡張モジュール「Cisco SRE(Service Ready Engine)」(以下、SRE)の中身は、CPUやHDDを搭載したLinuxベースのサーバ。第1世代では、例えばWAN高速化の機能などを追加する場合は別途専用のハードウェアモジュールを本体に装備する必要があった。そこで新モデルでは、SREを高性能化することにより、WAN高速化だけでなくDNSやネットワーク解析、無線LANコントローラー、IPS(侵入防御システム)といった複数の管理・セキュリティ機能をソフトウェアとしてSREに容易に取り込んで動かせるようにした(関連記事参照)。
SRE対応のカスタムアプリケーション開発用に同社が提供するフレームワーク「AXP」を通じて、照明、空調などのファシリティーのコントロールが可能になるほか、サードパーティー製のカスタムアプリケーションも既存のもの(IVR機能)を含め今後拡充する予定だ。
加えて、WAN機能も強化した。ISR G2からバックアップ回線として携帯の3G網を利用可能とするワイヤレスWANモジュールを用意。また、遅延やジッタ、MOS(音声品質)値といった計測項目を基準に拠点間で最適な経路を選ぶ独自の「Perfomance Routing」機能にも対応した。
ISR G2の参考価格は、3900シリーズが9500米ドル、2900シリーズが1995米ドル、1900シリーズ(11月販売開始予定)が1595米ドルから。SREは1000米ドルからとなる。
シスコは、企業内外で利用するアプリケーションとそこに接続するユーザーの場所やデバイスといった、利用障壁(ボーダー)となり得る要因をなくす次世代の企業ネットワーク像「ボーダーレスネットワーク」をコンセプトに掲げる。ハードとソフトを分離した仮想サービスを展開しやすいISR G2は、本社−支社間の“ボーダーレス”を実現する製品として中心的な役割を果たすという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
世界のモバイルアプリ市場はこう変わる 2025年における5つの予測
生成AIをはじめとする技術革新やプライバシー保護の潮流はモバイルアプリ市場に大きな変...
営業との連携、マーケティング職の64.6%が「課題あり」と回答 何が不満なのか?
ワンマーケティングがB2B企業の営業およびマーケティング職のビジネスパーソン500人を対...
D2C事業の約7割が失敗する理由 成功企業との差はどこに?
クニエがD2C事業の従事者を対象に実施した調査の結果によると、D2C事業が成功した企業は...