ブロケードは、仮想化技術の導入などで複雑化したネットワーク管理の課題を解決する新しいアーキテクチャ構想を発表した。
ブロケード コミュニケーションズ システムズ(以下、ブロケード)は6月16日、新しいネットワーク環境を実現するためのアーキテクチャ構想「BROCADE ONE」を発表した。
このアーキテクチャは、データセンターおよびネットワーク環境を最新のルーティング技術およびスイッチング技術によって仮想的に統合するものだ。これによりネットワーク構成が簡素化され、管理負担の軽減と素早い構成変更が実現する。
「BROCADE ONEは『ネットワーク全体をデータセンターに』というコンセプトに基づいて策定した。現在多くの企業システムでは仮想サーバが増加し、トラフィックが急激に上昇することで管理コストが予想以上に跳ね上がってしまうという状況に陥っている。これを回避するための選択肢として、垂直統合型のソリューションに乗り換えることを検討しているユーザーもいる。しかし、それではユーザーのこれまでのIT投資を保護することにはならないし、柔軟なシステムを構築することは難しい。BROCADE ONEは将来のシステム拡張プランにも十分に応えることのできる最新のネットワークアーキテクチャだ」
そう語るのは米Brocade Communications Systemsのワールドワイドセールス担当上級副社長のイアン・ホワイティング氏だ。
ブロケードでは、インターネット接続端末の普及で2010年に個人が作成するデジタルデータが900エクサバイトに上り、2012年にはデジタルデータの総量が35ゼタバイトに達すると予測しており、世界の仮想サーバの台数は2012年時点で現在の10倍の規模に拡大するとみている。
「デバイスやトポロジがどのようなものだろうと、利用者が求めるのは高品質なサービス。そして今後、個人が作成するデジタルデータがますます増え続けることは止められない。BROCADE ONEは、これからの時代にレベルの高いユーザーのニーズを満たすサービスを提供できるように支援するものだ」とホワイティング氏は説明した。
そしてBROCADE ONEを実現する具体的な製品や技術として、「Brocade Virtual Access Layer」(以下、VAL)機能、「Brocade Virtual Cluster Switching」(以下、VCS)技術、次世代型統合ASIC、Brocade Network OS、VCS対応スイッチ、管理プラットフォーム「Brocade Network Advisor」が紹介された。
VALはネットワーク上にある仮想マシンを自動的に識別し、仮想マシン群をそれぞれ最適なネットワーク構成に適用する。IEEE802.1Qbg-Edge Virtual Bridging標準をサポートしており、管理の難しい仮想サーバ間の仮想スイッチをLANと同じように管理する。VMware、Microsoft Hyper-V、Xenなどのハイパーバイザーの種類を問わない。2010年末までに最大256個の仮想ネットワークインタフェースカード(NIC)や Single Root I/O Virtualization技術のサポートを計画中だという。
VCSは、データセンターでイーサネットファブリックを実現する技術。ネットワークレイヤーを単層化し、1つの論理スイッチとして利用できるようになる。ネットワーク全体で仮想マシンの情報を共有できるので、管理負担の軽減にも大きく貢献する。ブロケードでは、VCSを利用して、ネットワーク構成やサービスレベルの適用、データ暗号化などの付加機能をネットワーク上で提供する計画を進めているという。
Brocade Network Advisorは、BROCADE ONEに基づいて構築されたネットワークを統合管理する基盤だ。ブロケードではハイパーバイザー、ストレージ、サーバの各ベンダーとパートナー関係を持ち、BROCADE ONEの実装に向けた相互接続検証を進めている。そして最終的に各社の製品をBrocade Network Advisorで管理できるようにするという。
こうした最新のコアテクノロジーの必要性について、データセンター製品担当副社長のダグ・イングラハム氏は次のように話した。
「仮想化によってシステム導入コストを削減したが、運用コストが増加しているデータセンターは多い。BROCADE ONEはFibre Channel over Ethernet(FCoE)の利用を想定しているが、ファイバーチャネル対応製品の開発も継続していく。高度に仮想化されたデータセンターに向けて、シンプルで自動化された先端テクノロジーで、困難に突き当たっているユーザーにソリューションを提供していきたい」と話した。
ブロケード社長の青葉雅和氏は、BROCADE ONEについて次のよう話した。
「1年ほど前、わたしは仮想化の進展とクラウドについて、事実上の標準技術を早期に開発、展開できるようにしないと、さまざまなベンダー製品を使っているユーザーが運用管理やシステム拡張のフェーズで大きな壁にぶつかってしまうと述べた。BROCADE ONEはその解決策の1つだ。ハイパーバイザー、サーバ、ストレージなどの各分野の主要ベンダーと協力体制を取ることができる当社の強みを大いに生かしていきたい。ユーザーは単一ベンダー製品のみで仮想化導入やプライベートクラウド構築をすることはできない。BROCADE ONEは、そうした現状を踏まえてユーザーにとっての最適解を導くアーキテクチャだといえる」
また青葉氏は、国内展開について「パートナー各社と共同ソリューション開発を早期に進める。2011年前半には最初のユーザーを獲得したい」とした。
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