システム投資に失敗しないために、比較的小規模のシステム導入でもRFPを作成しようと考える企業が増えてきた。本稿ではスクラッチ開発の場合、パッケージもしくはSaaS利用の場合、それぞれのRFP作成の注意点を解説する。
RFP(Request For Proposal)とはユーザー企業がベンダーに対して、情報システムの調達のための提案依頼を文書で提示する行為、または提案依頼の文書そのもの、つまり「提案依頼書」のことだ。システム調達を行う際にRFPを書くという行為はかなり以前からあったが、大企業などの一部のシステムの場合がほとんどであった。しかしここ数年、システム調達の失敗を防ぐ有力な手段として、中小規模のシステム案件でもRFPが用いられるケースが増えてきている。
RFPがあらためて注目されるようになったのは、やはり昨今の不景気が影響しているだろう。経営上システムは不可欠であるが、多大な投資が必要である。そして、その投資には失敗は許されない。システム投資を失敗すると、コストが当初の2倍、3倍、そしてそれ以上に増加することも珍しいことではない。また、本番稼働時期が遅れることで、業務に多大な影響が出たり、商機を逃したりといった弊害も小さくない。失敗のリスクを少しでも小さくするために、多少面倒でもRFPを作成しようと考えるユーザー企業が増えているのだ。
「システム投資の目的や背景」「何をシステムに求めているのか」「幾らの予算で検討しているのか」「いつごろまでにシステムが稼働している必要があるのか」、つまり「何を、幾らで、いつまでに」をベンダーに明確に伝えることは、システム投資を成功させる上で非常に重要である。
RFPを作成する上で考慮しなければならないことは幾つかあるが、今回はスクラッチ開発の場合とパッケージ利用の場合において、それぞれ注意すべき点について解説したい。また、一般的なパッケージソフトとSaaS(Software as a Service)の場合でのRFPの留意点の違いなどにも触れてみる。まずは、スクラッチ開発とパッケージ開発、それぞれの特徴を確認しておこう。
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