2012国際医用画像総合展に見る、医療クラウドへの期待「ITEM2012」イベントリポート(前編)

2010年4月13日から15日までの3日間、パシフィコ横浜で「2012国際医用画像総合展」が開催された。本稿では、クラウドを利用したデータ保管サービスの出展内容を紹介する。

2012年04月20日 09時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

クラウド環境へのデータ保管サービスが多数出展

 医用画像機器および周辺機器の総合学術展示会である「2012国際医用画像総合展」(以下、ITEM)。2011年は東日本大震災の影響で中止となり、今回は2年ぶりの開催となった(前回のイベントリポート記事:ITEMに見る、診療所におけるPACS普及への取り組み)。

 今回のITEMでは、外部のデータセンターを利用したクラウド型のPACS(医用画像管理システム)が多く展示されていた。これは、2010年2月1日に厚生労働省医政局長・厚生労働省保険局長が通知した「『診療録等の保存を行う場所について』の一部改正について」により、民間企業が医療分野でのクラウドサービスを展開する環境が整備されたことが背景にある。

 医用画像データの電子化やモダリティの性能向上によって、そのデータ量は年々増えている。外部委託することでストレージ容量の増設に伴う運用負荷やコストなどの軽減も可能だ。また、データのバックアップや災害復旧にも効果があることから、今後はクラウド型システムに対する期待も大きくなると考えられる。

プライベートクラウドシステム「ViewSend Anywhere」 ViewSend ICT

photo ViewSend RADの画像参照例。白色の矢印が自院で操作しているポインタ、赤色の矢印が遠隔拠点で操作しているポインタ

 ViewSend ICTは、プライベートクラウドシステム「ViewSend Anywhere」、遠隔医療支援付きPACS(医用画像管理システム)「ViewSend RAD」などを展示していた。

 ViewSend Anywhereは、病院内のサーバとViewSendクラウド接続サーバを連携することで、連携先の医療機関や外出先など院外からインターネット経由で医用画像を参照できるプライベートクラウド環境を構築する。また、iPadやiPhone、Android端末などのスマートデバイスでも高速な画像表示や高品位の読影などを行えるのが特徴。

 ViewSend RADは、画像伝送・連携機能によって遠隔拠点間の情報共有や読影を可能にするPACS(医用画像管理システム)。拠点間で相互に画面を操作したり、シェーマやポインタ表示などで症例検討が可能なテレビカンファレンス機能を備えている。

 同社は経済産業省「新連携」認定事業として医療機関の施設間連携を推進しており、国内で400施設の導入実績を持つ。参考価格はViewSend Anywhereが700万円から、ViewSend RADが350万円から。

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