Microsoft IIS 8の新機能【後編】
IIS 8のセキュリティ機能とスケーラビリティの強化
Windows Server 2012に搭載されるIIS 8には、任意のIPアドレスからの許容数を超えるリクエストを拒否する機能やFTPログオンの制限といったセキュリティ機能がある。また、スケーラビリティも大幅に強化されている。
前編「IIS 8で改良・強化されたCPU調整機能とSSL関連機能」では、Windows Server 2012に搭載されるIIS 8のCPU調整機能と、管理性が向上したSSL機能について解説した。今回はセキュリティ機能とスケーラビリティについて解説する。
FTPログオン制限とDynamic IP Restriction
私見だが、Microsoftはセキュリティに関して厳しい試練を受けてきたので、サーバ製品のセキュリティを強化する新しい対策を常に考えざるを得ない。そのために、HTTPとFTPの両サービスのIPアドレスを短期間および長期間ブロックできる2種類のセキュリティ機能が導入されている。確かに、IPブロックはセキュリティの問題を恒久的に解決する策にはならないが、攻撃を一時的にしのぐには有効だ。
Dynamic IP restrictions
任意のIPアドレスから一定期間内に許容される数以上のリクエストが送られてきた場合、そのIPアドレスのアクセスを拒否したり、同時接続要求数が一定数を超えた場合にアクセスをブロックするようにIISを構成できる。また、アクセスを拒否する場合、IIS 7では「403.6-アクセスは許可されていません」という標準のエラーメッセージが返されるが、それ以外の応答も可能で、「401-権限がありません」「403-許可されていません」「404-見つかりません」を返すか、エラーを返さずに単純にHTTP接続を終了するようにサーバを設定できる。また、特殊なプロキシモードでは、プロキシを介して転送されているトラフィックの送信元を見つける手段として、X-Forwarded-ForヘッダがないかHTTPヘッダを検査できる。
FTPログオンの制限
FTPサーバへのログオンが一定の回数失敗した場合、ユーザーをロックアウトできる。ロックアウトの期間は通常30秒間だが、任意の長さを設定できる。また、ログインに失敗した回数も設定可能だ。この機能は、タールピットやグレイリスティングシステムと少し似ている。これらは、大量のアクセスを仕掛けてメールサーバのダウンをもくろむ攻撃の防止に使われ、強引にアクセスを試みていることが明らかなユーザーのみをブロックする。
マルチコアスケーリングとNUMA対応
筆者がこれまで扱ってきたIISサーバのほとんどは、シングルまたはデュアルコアサーバを共有する、トラフィックの少ないサイトを数個配置しただけのごく小さな構成だ。しかし中には、数十のコアまたはソケット、大量のRAM、その他あらゆる種類のハイエンドのハードウェアなど、システム管理者が泣いて喜ぶような大規模なIIS構成があることも十分に承知している。
しかし、これまでのIISでは、そのようなハイエンドのハードウェア機能を活用しきれていない場合がある。マルチコアがその一例だ。Microsoftによると、コアの増設に関する問題の1つは、構成によっては、「メモリ同期のコストが、コア増設によるメリットを上回るため」、一時的にパフォーマンスが低下する場合があるという。つまり、コアを追加したことで得られる処理性能は、特定のコアとメモリの同期を取るために必要なオーバーヘッドによって相殺される。
IIS 8では、この問題に対応するため、NUMA(Non-Uniform Memory Architecture)をサポートする。NUMAサーバでは、物理メモリの特定の領域が特定のプロセッサ専用として割り当てられ、クロスバースイッチやバスを使ってプロセッサにとって“ローカル”ではないメモリにそのプロセッサからアクセスできる。OSとソフトウェアがNUMAのメリットを引き出すように設計される必要があるが、不具合のあるメモリモジュールのホットスワップなどの機能が得られる他、不適切なメモリアーキテクチャに起因するパフォーマンスの低下を阻止できる。
IIS 8のNUMAとマルチコアスケーリング関連機能には、以下がある。
ワークロードパーティション
IISは、NUMAノードの数と同じだけのワーカープロセスを作成することで、ワーカープロセスのプールを作成でき、各プロセスを専用のノードで実行できる。つまり、“Webガーデン”のアプローチだ。また、複数のワーカープロセスをセットアップして、各ノードに自動的に負荷が分散されるようにすることもできる。
ノードの最適化
ワーカープロセスの起動時にノードを選択する場合、既定ではIISは利用できるメモリ量が最も多いノードを選択する。通常は、それでベストな結果が得られるからだ。ただし、Windows Server自体によってノードが選択されるように設定することもできる。これは、同じハードウェア上で他のNUMA対応のサーバレベルのアプリケーションを実行している場合に便利だ。
スレッドの関係
IISは、スレッドとNUMAノードを関連付けに、“ソフトアフィニティ”か“ハードアフィニティ”のいずれかを使用する。“ソフトアフィニティ”を使うと、他のNUMAに利用可能なCPUがある場合、任意のスレッドをそのノードに切り替えられる。“ハードアフィニティ”の場合は、あるスレッド用に特定のノードを選択したら、そのノードからスレッドを動かさない。
WebSocket
HTTPでは、リアルタイムの全二重通信の場合、クライアントとサーバ間の接続を無期限に開いておけないことが当初からの大きな制限の1つで、WebSoketはこの制限を解決する技術だとされている。IIS 8ではWebSocketのサポートが追加される。ただし、このサポートはIIS 8のセットアップ時に、(ASP.NET 4.5などと併せて)「アプリケーション開発」パッケージに含まれるアドオンの1つとしてインストールする必要がある。
まとめ
IIS 8の新機能の多くは、明らかにサーバファーム全体または巨大なマルチコア構成の管理を意識した機能だが、それ以外にも魅力的な機能が多数ある。たとえ2~4コア程度であっても、マルチコアモデルのサーバをアップグレードした場合、投資をはるかに上回る価値があるIISの新機能が多数手に入ることは確かだ。
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Microsoft IIS 8の新機能
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