【連載コラム】医療ITの現場から
在宅医療のIT化に欠かせない“クラウドとタブレット端末”2つの波
政府主導で進められている「在宅医療・介護推進」事業。在宅医療に取り組むクリニック数の増加が予想される中、医療クラウドとタブレット端末の普及がそれを後押している。
2006年度から2012年度まで4回の診療報酬改定では、政府は一貫して「在宅医療」を推進するため、手厚い点数配分を行ってきました。そのおかげもあり、在宅療養支援診療所の届出数は約1万2000件を越えるなど順調に伸びています。今後も在宅医療を行うクリニックの数は増えることが予想されます。こうした背景から「在宅医療でITを活用したい」というニーズが年々高まっています(連載インデックス:【連載コラム】医療ITの現場から)。
在宅医療と電子カルテ
在宅医療におけるIT化と言えば、ノートPCに電子カルテを搭載し、患者宅や車内で入力を行うケースが一般的です。そのため、各電子カルテメーカーは往診向け端末として、ノートPCで利用可能なオプション機能を提供しています。また、クラウドコンピューティングの技術を活用し、インターネット経由で電子カルテを利用できる「クラウド型電子カルテ」も年々増加傾向にあります。
これらのシステムは、ネットワーク環境に左右されるため、必ずしも全てのシステムが外来時と同様のスピード感や操作性で入力ができるわけではありません。インターネットの回線が遅ければスピードが落ちることもあり、接続が途切れれば電子カルテが使えなくなるケースもあります。そういう状況を懸念して、インターネットにアクセスするタイプではなく、必要な情報のみを抜き出して利用するシステムを選択しているメーカーもいます。また、オフライン時でも利用できるクラウド型電子カルテが出るなど、今後ネットワーク回線に左右されない電子カルテが一般的になれば、さらに使い勝手が高まるでしょう。
タブレット端末普及の影響
Appleが2010年にiPadを発売して以来、さまざまメーカーがタブレット端末を発売しています。この流行は医療の分野にも例外なく訪れており「タブレット端末を医療で活用したい」という要望は年々増加傾向にあります。
このタブレット端末の直感的な操作感やWi-Fiなど無線LAN環境の普及などを受けて、在宅医療での利用が進んでいます。これらの端末を用いれば、ノートPCを持ち運ぶ必要はなくなり、またキーボードでの入力からも解放されると考え、大いに期待されています。先に挙げたクラウド技術とタブレット端末が在宅医療のIT化を後押ししているといっても過言ではありません。
多職種間の情報連携
在宅医療では、医師や看護師、薬剤師、ケアマネジャー、介護福祉士、ヘルパーなど多様な職種のスタッフがチームを組んで患者に対応します。そのため、多職種間での情報共有が必要不可欠です。紙の時代は連絡ノートなどを患者宅に設置し、情報共有を図ってきました。IT化によってリアルタイムで情報共有が可能になり、職種間連携が効率化されると期待されています(関連記事:紙カルテでは実現できない情報利用が可能な電子カルテ)。
例えば、ビデオチャットを利用してカンファレンスを行ったり、SNSを利用して患者の申し送りを行うなど、多様な用途が想定されます。こうした情報共有を効率化する取り組みは、今後さらに積極的に行われていくと予想されています。
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