医療・介護、生活支援サービスなどの関係者間で高齢者の医療・健康情報を共有する実証を開始。在宅医療/介護クラウドサービスや生活支援サービス事業者との連携を担う人材を活用する。
富士通は2013年11月29日、「高齢者健康・生活支援モデル」の実証事業を同年11月から宮城県石巻市で開始したことを発表した。総務省の「情報連携活用基盤を活用した高齢者在宅医療・生活支援モデルの実証実験」を富士通が受託して実施する。総務省が提唱する、全ての世代がイノベーションの恩恵を受け、いきいきと活動できる超高齢社会である“スマートプラチナ社会”の実現に向けた取り組みだ。
今回の実証事業は、富士通の他に、医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック石巻(以下、祐ホームクリニック石巻)、介護事業者のぱんぷきん、介護旅行を提案するエス・ピー・アイ、ソフトバンクモバイルなども参画する。医療・介護、生活支援サービスの関係者間で、高齢者の健康や生活を支えることを目的とした情報共有・情報連携の検証を2014年3月末まで行う。宮城県石巻市の高齢者約70人が対象となる。
今回の実証事業では「コミュニケーター」「コーディネーター」の2職種を設けて、高齢者の普段の生活の様子や変化、要望などの情報を生活支援サービス事業者と共有するための検証を行う(図1)。コミュニケーターは、自立して生活を送っている“自立高齢者”を定期的に訪問し生活の様子やニーズを伺う役割を担い、ぱんぷきんの協力を得て運営する。コーディネーターは、高齢者やその家族のニーズを生活支援サービス利用へつなぐ役割を担い、祐ホームクリニック石巻の協力を得て運営する。
今回の実証事業では、富士通のクラウドサービスを活用した情報連携基盤を構築した。富士通と祐ホームクリニック石巻は在宅医療/介護クラウドサービス「高齢者ケアクラウド」を共同で開発しており、2013年1月にサービスの提供を開始している(参考記事:高齢者の在宅医療/介護ケアを支援するクラウドサービス「往診先生」)。
また、高齢者や高齢者の家族が利用する専用ポータルサイトを開設。共有情報の一部を閲覧したり、医療介護事業者や生活支援サービスの窓口となるコーディネーターとの連絡などに活用する(図2)。さらに高齢者やその高齢者の家族に向けて、富士通の「らくらくスマートフォン」やソフトバンクモバイルの端末を提供する。富士通によると、高齢者でも使いやすい操作性を持つ端末を選定し、家族間の交流に役立つコンテンツを合わせて提供するという。
富士通によると、高齢者のQOL(Quality Of Life)を高めるためには、従来の医療・介護事業者の連携に加えて生活支援サービスを提供する民間事業者を含めたネットワークを構築する必要性があるという。また、今後到来する超高齢社会では、要介護高齢者だけでなく、自立高齢者が健康を長く維持して心地よく暮らすための支援体制が必要になると説明する。
今後、富士通はこの実証で得た成果や課題を整理し、超高齢社会を地域全体で支える体制のモデル化と全国展開を目指すという。
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