米Facebookが推進するオープンソースのハードウェア。同社はこの仕様に基づいたハードウェアを利用して、低コストと省電力を実現している。
米Facebookのハードウェア設計およびサプライチェーンオペレーション担当副社長、フランク・フランコフスキー氏によると、自社のデータセンターでオープンソースのハードウェアシステムを使用してから、24%のコスト削減と38%のITシステムの省エネ化を実現しているという。
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2014年1月8日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
このオープンソースのシステムは、2011年にFacebookのエンジニア数名が、できる限り効率的かつ経済的に同社のコンピューティングインフラを拡張する方法を模索する中で始めたOpen Compute Project(OCP)に基づいている。OCPには現在、米Rackspace、米Intel、米AMD、米EMC、米VMware、米HP、米Dell、米ARM、米Goldman Sachsなど1500社以上が参加し、エネルギー効率の良いハードウェアのコア規格の策定に取り組んでいる。
2011年4月に操業を開始したFacebook最大のブラインビルデータセンターでは、OCPベースのサーバを使用し、1.07というPUE(Power Usage Effectiveness)値(訳注)をたたき出している。「業界のPUE目標値は1.5だが、弊社のデータセンターは1.07 PUEを実現し、世界で最も効率の良いデータセンターの1つとなっている」とフランコフスキー氏は語る。
訳注:データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値で、エネルギー効率を表す指標の1つ。
Facebookは、スウェーデンのルレオに欧州向けのデータセンターをオープンした。このデータセンターでは、サーバから電力供給システムまで、IT設備のほぼ全てにOCPを採用し、やはりPUE 1.07を達成している。
ストレージもFacebookの最大の課題の1つだ。Facebookでは、この課題を低コスト、省電力で解決できるハードウェアシステムを求めていた。
「非常に効率が良く、金属、プラスチック含め、余分なパーツが一切ない、“ぜい肉が削ぎ落とされた”ハードウェアを求めていた」と、フランコフスキー氏は語る。
フランコフスキー氏は、オープンソースのデータセンターハードウェアを採用する企業の増加に伴い、データセンターのコスト削減と省エネ化の恩恵が他にも波及することを願っている。
オープンソースのソフトウェアとハードウェアは、最高のサーバ、ストレージ、データセンターテクノロジーの“民主化”にも貢献するようだ。
「OCPは、複数のベンダーの製品を組み合わせることができる、オープンなテクノロジーを基軸とした、ユーザー主導のプロジェクトだ」と、フランコフスキー氏は述べている。
従来、データセンターは安価な汎用サーバを大量に購入および運用してきた。これは、“ハードウェアのスプロール(無秩序な拡大)”現象を引き起こし、その結果として大量の電力と大規模な冷却システムを必要としている。FacebookはOCPを利用して独自の省エネサーバを設計し、データセンターの電力および冷却効率を向上する新しいソリューションを開発している。
OCPコミュニティーによって概念化されたオープンソースのハードウェアデザインは、OCPコミュニティー外にも公開され、誰もが利用または改良できるようになっている。
「Facebookは自社のデータセンターの設計図を業界に公開し、誰もが各自のシステムのエネルギー効率を改善できるようにしている。データセンターの設計図を非公開にするより、オープンにすることで得られるメリットの方がはるかに大きい」と、フランコフスキー氏は言う。
しかし、OCPには米Google、米Amazon、米Apple、米Microsoftなど、データセンターやクラウドを提供する大手企業は参加していない。「Facebookはエネルギー効率の良いデータセンターを構築した初の企業ではないが、設計図を公開したのはFacebookが初めてだ。しかし、同業他社も同じことをすれば、さらに多くの知見を得られるかもしれない」(フランコフスキー氏)
本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。
■Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー
Computer Weekly日本語版 12月18日号:Windows Server 2012 R2徹底レビュー
別冊Computer Weekly 企業向けGoogleサービスのリスクとメリット
Computer Weekly日本語版 12月4日号:iPadに勝利したWindows 8タブレット
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
AIでは構造化データの活用が進む一方、クラウド普及に伴いデータの分散化が加速している。この状況下で課題となるのが、レガシーストレージの存在だ。本資料では、構造化データに適したストレージ戦略を紹介する。
データ環境の急変は、企業のストレージ課題を複雑化させている。性能や拡張性、データ保護、分散環境の一元管理、コスト最適化など、自社の課題に合わせた製品・サービスをどう見つければよいのか。それに役立つ製品ガイドを紹介したい。
構造化データ/非構造化データの両方を適切に処理する必要がある今、エンタープライズデータストレージには、より高度な要件が求められている。こうした中で注目される、単一障害点のないAI主導の分散型ストレージプラットフォームとは?
CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?
HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。
エッジAIの制約をなくす新世代プロセッサ登場、産業用コンピュータはこう変わる (2025/5/23)
クラウド全盛期になぜ「テープ」が再注目? データ管理の最前線を探る (2025/4/24)
データの多様化と肥大化が加速 ファイルサーバ運用は限界? 見直しのポイント (2025/4/8)
Hyper-Vは「次の仮想化基盤」になり得るのか 有識者の本音を聞く (2025/3/14)
「生成AI」の自社運用に“ちょうどよいサーバ”の賢い選び方 (2025/3/12)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。