米Facebookが推進するオープンソースのハードウェア。同社はこの仕様に基づいたハードウェアを利用して、低コストと省電力を実現している。
米Facebookのハードウェア設計およびサプライチェーンオペレーション担当副社長、フランク・フランコフスキー氏によると、自社のデータセンターでオープンソースのハードウェアシステムを使用してから、24%のコスト削減と38%のITシステムの省エネ化を実現しているという。
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このオープンソースのシステムは、2011年にFacebookのエンジニア数名が、できる限り効率的かつ経済的に同社のコンピューティングインフラを拡張する方法を模索する中で始めたOpen Compute Project(OCP)に基づいている。OCPには現在、米Rackspace、米Intel、米AMD、米EMC、米VMware、米HP、米Dell、米ARM、米Goldman Sachsなど1500社以上が参加し、エネルギー効率の良いハードウェアのコア規格の策定に取り組んでいる。
2011年4月に操業を開始したFacebook最大のブラインビルデータセンターでは、OCPベースのサーバを使用し、1.07というPUE(Power Usage Effectiveness)値(訳注)をたたき出している。「業界のPUE目標値は1.5だが、弊社のデータセンターは1.07 PUEを実現し、世界で最も効率の良いデータセンターの1つとなっている」とフランコフスキー氏は語る。
訳注:データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値で、エネルギー効率を表す指標の1つ。
Facebookは、スウェーデンのルレオに欧州向けのデータセンターをオープンした。このデータセンターでは、サーバから電力供給システムまで、IT設備のほぼ全てにOCPを採用し、やはりPUE 1.07を達成している。
ストレージもFacebookの最大の課題の1つだ。Facebookでは、この課題を低コスト、省電力で解決できるハードウェアシステムを求めていた。
「非常に効率が良く、金属、プラスチック含め、余分なパーツが一切ない、“ぜい肉が削ぎ落とされた”ハードウェアを求めていた」と、フランコフスキー氏は語る。
フランコフスキー氏は、オープンソースのデータセンターハードウェアを採用する企業の増加に伴い、データセンターのコスト削減と省エネ化の恩恵が他にも波及することを願っている。
オープンソースのソフトウェアとハードウェアは、最高のサーバ、ストレージ、データセンターテクノロジーの“民主化”にも貢献するようだ。
「OCPは、複数のベンダーの製品を組み合わせることができる、オープンなテクノロジーを基軸とした、ユーザー主導のプロジェクトだ」と、フランコフスキー氏は述べている。
従来、データセンターは安価な汎用サーバを大量に購入および運用してきた。これは、“ハードウェアのスプロール(無秩序な拡大)”現象を引き起こし、その結果として大量の電力と大規模な冷却システムを必要としている。FacebookはOCPを利用して独自の省エネサーバを設計し、データセンターの電力および冷却効率を向上する新しいソリューションを開発している。
OCPコミュニティーによって概念化されたオープンソースのハードウェアデザインは、OCPコミュニティー外にも公開され、誰もが利用または改良できるようになっている。
「Facebookは自社のデータセンターの設計図を業界に公開し、誰もが各自のシステムのエネルギー効率を改善できるようにしている。データセンターの設計図を非公開にするより、オープンにすることで得られるメリットの方がはるかに大きい」と、フランコフスキー氏は言う。
しかし、OCPには米Google、米Amazon、米Apple、米Microsoftなど、データセンターやクラウドを提供する大手企業は参加していない。「Facebookはエネルギー効率の良いデータセンターを構築した初の企業ではないが、設計図を公開したのはFacebookが初めてだ。しかし、同業他社も同じことをすれば、さらに多くの知見を得られるかもしれない」(フランコフスキー氏)
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