GoogleのIaaS「Google Compute Engine」が満を持して正式発表された。だが、評判は「施策のスピード感が足りない」「あまりにも標準的」と散々。これに対するGoogleの反論とは?
米Googleは2013年12月初め、同社のIaaS(Infrastructure as a Service)である「Google Compute Engine(GCE)」を本格的に提供開始すると発表した。
Googleがこのサービスを発表したのは、1年半も前のことだ。今回の本格展開に当たっては、高可用性の保証、全てのLinuxディストリビューションおよびカーネルをサポートする機能拡張など、大企業の顧客を引き付けるサービスを強化してきた。
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2014年1月22日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
サービスの機能強化はこれだけにとどまらない。負荷の高いタスクも高速で処理できる能力を備えたことや、保守作業の負担軽減も含まれる。また、現在IaaS市場のリーダーであるAmazon Web Services(AWS)に対抗するため、GCEの基本料金は10%引き下げられた。
Googleは、2013年5月にGCEをいったん公開したものの、すぐにサービスを停止した。同社が自主的に設定している「一般公開」(GA)の基準を満たしていなかったためで、これをクリアしたことにより今回の正式発表となった。
「当社の最高レベルの基準を上回ることを保証してからサービスを一般公開して、優れたユーザーエクスペリエンスを提供したかった」と同社は本誌Computer Weeklyに対して説明した。
GCEは、Googleのクラウドプラットフォームの三本柱の1つであるという。残りの2つはApp Engineおよびクラウドストレージの各種オプションといったPaaS(Platform as a Service)コンポーネントである。
Googleでヨーロッパ地域のクラウドプラットフォームの責任者を務めるバラク・レゲブ氏は、「今回のGCEの公開は、当社のクラウド事業の中では大きな一歩だ」と語る。「App Engineは2008年から提供しており、ユーザーからオプションや変数を増やしてほしいという要望を受けてきた。今回のIaaSの投入により、パズルの大きなピースがはまったことになる」とレゲブ氏は付け加えた。
Web界の王者でありながら、大企業向けクラウド事業への参入については、Googleの動きは迅速だったとはいえない。そのためパブリッククラウドの分野でAmazonが突出したリーダーとなったことを歯がゆく思うGoogle社員もいたようだ。
米調査会社Synergy Research Groupの最近の調査によると、AWSはIaaS/PaaS市場を掌握し、その市場シェアは米Salesforce.com、米IBM、米Microsoft、Googleの4社の合計をもしのぐという。Googleがさらにいら立ちを募らせたのは、2012年の第3四半期以降、IBMとMicrosoftの両社に抜かれ、2013年の第3四半期には、Googleの市場シェアが第5位に落ちたことだ。それでも、Amazonを追い上げようとする各社の勢力は拮抗している。
レゲブ氏は、他社への競争心をあらわにすることはなかった。「重要なのは市場シェアではなく、当社のプラットフォームを採用する顧客を増やすことだ。私が現在力を注いでいるのは、非常に有能なチームを作ること、開発者のコミュニティーに刺激を与えること、開発者の夢の実現を支援することだ」と同氏は語る。
レゲブ氏は、GCEの発表はより多くの顧客を集めるための大きなアピールだったと認めた。「GCEは当社の戦略的な施策の1つだ。あらためて強調するが、当社はGoogle Cloud Platformとパブリッククラウドの利用が現在以上に広がることを真剣に願い、その実現のための取り組みに注力している」とレゲブ氏は語る。
米調査会社の451 Researchでインターネットのインフラストラクチャサービスを専門に担当しているアナリスト、カール・ブルックス氏は、現在のGoogleではAmazonの「背中が見える」レベルに近づくことすら、まだまだ遠い道のりだと指摘する。「AWSは既に圧倒的なスケールで事業を展開している上に、新機能の提供ペースも他のIaaSプロバイダーよりずっと速い。それに比べてGCEのサービスはまだ基本的なレベルにあり、サーバとストレージへのアクセス性能もごく標準的だ。絶対評価でいえば、Googleは数ある似たようなプロバイダーのうちの1社にすぎない」とブルックス氏は語る。
「ただし、GoogleにAmazonとの差を縮められるわけがないと、可能性を否定するのは早計だ」と同氏は付け加える。なぜか?
本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。
■Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー
Computer Weekly日本語版 1月8日号:オープンソースハードウェアになるデータセンター
Computer Weekly日本語版 12月18日号:Windows Server 2012 R2徹底レビュー
別冊Computer Weekly 企業向けGoogleサービスのリスクとメリット
フォルクスワーゲンがGoogleとタッグ 生成AI「Gemini」搭載で、何ができる?
Volkswagen of AmericaはGoogleと提携し、Googleの生成AI機能を専用アプリ「myVW」に導入...
JAROに寄せられた「広告への苦情」は50年分でどれくらい? 業種別、媒体別の傾向は?
設立50周年を迎えた日本広告審査機構(JARO)が、これまでに寄せられた苦情を取りまとめ...
データサイエンティストの認知率は米国6割、インド8割 さて、日本は?
データサイエンティスト協会は、日本と米国、インド、ドイツの4カ国で、データサイエンテ...