「Apple Storeでは不可能だった」と担当者
「iPad mini」1万5000台を客室乗務員に配布、航空会社は大規模導入をどう実現したか(1/2 ページ)
米国内の10拠点で働く客室乗務員に「iPad mini」を配備したSouthwest Airlines。1万5000台という大量のiPad miniをどのように導入したのか。
米国の客室乗務員(以下、CA)は、応急処置の要点や最新の安全要綱などの重要な情報が記載されたフライトマニュアルを携帯する必要がある。その内容は定期的に変更されるものの、紙媒体のマニュアルでは改訂や更新が容易でない。
格安航空会社(LCC)大手のSouthwest Airlines(サウスウエスト航空)の戦略的運航計画部門でシニアマネジャーを務めるロン・フリーア氏は、「マニュアルは隔週で変更していた。これは面倒で、決してスマートとはいえない作業だった」と振り返る。
「iPad mini」でマニュアルをデジタル化
マニュアルの変更点は、全て米国連邦航空局(FAA)から承認される必要がある。その情報は全航空会社で一貫していなければならない。「多くの章や節が移動するため、紙媒体のページの印刷や入れ替えは複雑になる。1回の改訂の作業には1~3週間かかっていた」とフリーア氏は話す。
サウスウエスト航空は、モバイル端末やアプリケーション、コンテンツなどの管理機能をサービスとして提供する「マネージドモビリティサービス」のベンダーであるStratixの支援を受け、Appleの小型タブレット「iPad mini」に電子版マニュアルを展開した。これにより改訂作業が数時間で済むようになった。
マニュアルへの変更がFAAの承認を受けると、サウスウエスト航空はアプリを経由して、改訂したマニュアルをiPad miniへプッシュする。CAに必要な操作は、フライトの搭乗手続き時にアプリのボタンをタップし、会社支給の端末にあるマニュアルを最新版に更新するだけだ。「改訂作業は非常に単純で手間も掛からない」とフリーア氏は説明する。
例えばFAAが2016年9月、Samsung Electronicsのスマートフォン「Galaxy Note 7」にはフライト中に発火する危険があると発表したとき、サウスウエスト航空は即座にその旨をマニュアルに追加した。CAは必要に応じてマニュアルを検索できるので、紙のページをめくって必要な情報を探す必要はない。
可能性の扉
サウスウエスト航空は2013年後半に、フライト情報が入ったパイロットのバッグをiPad miniに置き換えるプロジェクトを終えた。このバッグは20キロ近い重さがあった。ちょうどその頃、同社はCA用の電子マニュアル化についての調査を始めた。パイロットのバッグは分かりやすい投資先だったが、CAが所持する2キロ前後のバックを置き換える作業には、明確な投資対効果を見いだせなかった。
フリーア氏と同氏のチームは、未来の目標達成へ向けた第一歩として、CAへのiPad mini導入を売り込んだ。目標としたのは、CAがiPad miniを機内販売用の端末として、また乗務員が他の乗務員や地上勤務者との連絡用端末として使用できるようにすることだ。
何カ月もの計画期間を経て、このプロジェクトは2015年の中盤から始まった。プロジェクトでは200人のCAがテストに参加し、ニーズを共有して戦略策定を支援したり、他の同僚を訓練する計画を考案したりした。
サウスウエスト航空と協力してパイロットへのiPad miniの導入を進めたStratixは、CAのプロジェクトにも早い段階から参加した。同社はこのプロジェクトについて、パイロット向けのプロジェクトよりも圧倒的に規模が大きくなると予想していた。だがサウスウエスト航空は、迅速な展開を望んでいた。そのため「事前の計画段階に時間をかけるようにした」と、同社で顧客貢献部門のディレクターを務めるタビタ・モス氏は振り返る。プロジェクトを実行に移してみると「今までに関与した中で最もスムーズなプロジェクトの1つだった」(モス氏)という。
プロジェクトでiPad miniと共に導入したのは、Comply365のデジタルマニュアル管理アプリ「myMobile365」と、VMwareのモバイルデバイス管理(MDM)製品「AirWatch」だ。
サウスウエスト航空が直面した大きな課題は、米国内にある10箇所の拠点で働くCAにiPad miniを支給する方法だった。「シフトの関係で、全CAがそれぞれの勤務地にそろうことはない。仮にそろったとしても、大量のiPad miniを安全に保管するスペースが各拠点にはなかった」とフリーア氏は話す。
そこで用いたのが、Stratixのモバイル端末資産可視化ダッシュボード「itrac360」だ。サウスウエスト航空のCAは2016年3月から、インターネットを通じてitrac360にログインし、自宅に端末を配送する日時を選択できるようになった。
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