クラウドから提供する仮想デスクトップ環境「Daas」は市場での立ち位置を確立したと言っていいだろう。しかし、急速に普及するまでには至っていない。その理由を熟考した。
クラウドサービスが提供する仮想デスクトップ環境(DaaS:Desktop as a Service)モデルは、IT部門に携わる関係者の多くが関心を寄せている。その理由は、DaaSがインフラの管理業務からIT担当者を解放してくれると一部の管理者が考えたからだ。しかし、現実は違った。DaaSは、単純ではなく、思うようにコストを削減できない場合もある。その結果、まだ大規模な導入に至っていないのが実情だ。
「ほとんどのIT管理者は、慎重にDaaSに足を踏み入れているにすぎない」とIDCでリサーチ部門のディレクターを務めるロバート・ヤング氏は言う。
2017年3月上旬に米ボストンで開催された「IDC Directions」カンファレンスで行われた参加者との討論会で、ヤング氏はDaaSモデルの長所と短所およびアプリケーションとデスクトップの仮想化の将来について語った。
仮想化をある程度実装済みの企業がDaaSモデルに移行するのは難しい場合がある。こうした企業では既存の管理ツールとソフトウェアが実行されているため、DaaSへの移行時には、それらを考慮に入れなければならないからだ。さらに、サードパーティーの管理ツールが必要になる場合も多いため、一部のIT管理者が予測したほど削減できるコストは大きくないかもしれない。
DaaSでは、支払った料金に見合ったものが得られる。そう語るのは、デスクトップ仮想化のテストと監視を行うベンダーであるLogin VSIでサービス部門のバイスプレジデントを務めるアーウィン・ボレリング氏だ。「基本パッケージを購入して得られるのは、基本パッケージのみだ。オンプレミスと同様のパフォーマンスを手に入れるには、追加料金を支払う必要がある」
多くの人が予想したよりも導入ペースは緩やかだが、DaaSモデルが暗礁に乗り上げているわけではない。
以前は、多くのIT管理者が、機密データをクラウドにオフロードすることをためらっていた。それは、クラウドを十分に信頼できなかったからだ。現在では、Amazon Web ServicesやMicrosoftなどの主要クラウドベンダーがDaaSと組み合わせたサービスを提供しており、IT管理者の意識が変化しているとヤング氏は指摘する。
「さらに知名度のある企業が参入すれば、クラウドへの抵抗はもっと少なくなるだろう」(ヤング氏)
Microsoftの「Microsoft Office 365」のようなサブスクリプションベースのアプリケーションが登場したことで、IT部門のクラウドへの親近感は増し、懸念が和らいでいる。
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