デスクトップ仮想化市場の独占をかけた争いが進行中だ。DaaSはVDIと比べると、コストメリットやクラウドサービスとしての柔軟性の高さで上を行くが……。
「スパイダーマン」に登場するベンおじさんにはこんな名ぜりふがある。「大いなる力には、大いなる責任が伴う」。IT管理者は多分、放射能を浴びたクモにかまれた経験はないかもしれないが、会社を成功に導く舞台設定という点では大いなる力を持つ。
職場はデスクというクモの網から解放され、リモートアクセスに依存することを望んでいる。その実現に向けて、デスクトップ仮想化の選択肢が普及してきた。デスクトップ仮想化では、IT部門がOSをリモートまたはローカルのクライアントにデプロイできる。仮想デスクトップを導入するには、仮想デスクトップインフラ(VDI)やサービスとしてのデスクトップ(DaaS)など複数の手段がある。VDIかDaaSかを決めるのはIT部門だ。
VDIではホストされたデスクトップOSを中央のサーバで仮想化し、リモートデバイスで表示する。処理や計算の大部分はバックエンドで行うため、ユーザーはそれほど性能の高くないマシンでデスクトップPCのフル機能を利用できる。負荷の高い処理の多くは同技術がこなすので、従業員数の多い企業にとって、この方法はコスト効率が高い。ただしこの技術では重量級の作業も大量にこなせることから、価格は比較的高くつく。
VDIではまた、デスクトップの開発とカスタマイズをする意思と能力のあるITプロフェッショナルが、システムを確実にサポートする必要がある。加えてアップデートの適用とデータトラフィックの管理を通じて効率性を保つ必要もある。ネットワーク接続のことも常に念頭に置かなければならない。接続が不安定になればVDIの速度が低下して、貴重な勤務時間に食い込みかねない。
DaaSは、やはりOSをホスティングされたデスクトップからリモートの端末にデプロイするという点でVDIに似ている。DaaSがVDIと違うのは、自社のバックエンドのデータベースを使って情報を保存するのではなく、サードパーティーのプロバイダーが提供するクラウドベースのバックエンドを利用する点にある。
DaaSは企業がサブスクリプション方式の料金を維持しながら、VDIの機能を利用できる。社内でデスクトップを構築する必要がないことから、DaaSの方が導入はしやすい。接続などの問題にはDaaSベンダーが対応するが、IT部門は引き続き、ユーザーアカウントの管理者としての役割を維持できる。
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