深層学習が引き出す非構造化データの“暗黒面”の力とは?コンサルティングファームのDeloitteがレポート

コンサルティング企業のDeloitteが新しく公開したレポートによると、非構造化データとその他のいわゆる「ダークデータ」を分析することで、大きなビジネス価値を得られる可能性があるという。

2017年05月16日 12時00分 公開
[Ed BurnsTechTarget]
Deloitteによるレポート「Dark analytics:Illuminating opportunities hidden within unstructured data」《クリックで拡大》

 かつてダース・ベイダーは、「暗黒面(ダークサイド)のパワーはすばらしいぞ」と言った。

 これは、Deloitteからのメッセージと同じだ。Deloitteが新しく公開したレポート「Dark analytics:Illuminating opportunities hidden within unstructured data(ダークデータ分析:非構造化データに潜むチャンスを解明する)」では、ダークデータ分析に関する宇宙規模の戦いのドラマが描かれているわけではないが、一部の企業にとっては依然として未知の領域である分析手法によって相当な利益を得るためのヒントが提示されている。

 話題となっているのは、深層学習の手法を使用した非構造化データの分析だ。索引が作成されていないWebサーバでホストされているフリーテキスト、画像、音声、動画ファイル、研究論文などデータには、相当量のインテリジェンスが含まれている。しかし、2017年のテクノロジートレンドに関してより広い範囲を扱ったレポートに含まれる同レポートよると、従来、こうしたダークデータに対する企業の可視性は限られていたという。

 ただし、それはもはや大手企業には当てはまらないことで、近いうちに標準的な企業も同じようになるだろう。そう語るのは、レポートの共著者であり、Deloitteグループが提供するコンサルティングサービスDeloitte Analyticsの責任者を務めるポール・ローマ氏だ。

ダークデータに光を当てるとき

 「非構造化データの概念とダークデータに注目するときが来た。ダークデータにアクセスして掘り下げて、意思決定に利用することが主流になり、それが最低条件になりつつある」とローマ氏は指摘する。

 現在、企業は、全ての種類のダークデータに同じようにアクセスできるわけではない。ローマ氏によると、テキストファイルが最も分析しやすいという。テキストファイルの高度な感情分析を実行できる豊富なAPIサービスが、Microsoft、IBM、Googleなどの企業から提供されている。次いで分析しやすいのが、音声ファイルだ。その理由は、転写ソフトウェアを使用すると、分析に使えるテキストファイルを簡単に提供できることにある。

 現時点では、画像と動画の分析は、まだ実現していないとローマ氏は言う。しかし、急速な成長は遂げている。画像認識アルゴリズムでは、急速に人間と同じレベルの認識機能を実現している。あとは、このような非構造化データ分析を活用するビジネスケースを見つけるだけだ。

 「これらのテクノロジーを利用するためにかかる費用と時間は、以前と比較して格段に少なくなっている」(ローマ氏)

メリットを享受しやすくするためのAPIサービス

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 エス・アンド・アイ株式会社

コンタクトセンター運営の課題を解消、テキスト生成AIの活用方法と導入効果

顧客対応の窓口となるコンタクトセンターにおいて、生成AIを使い業務改善につなげる動きが加速している。その導入でどのようなメリットが得られるのか。テキスト生成機能に焦点を当て、活用方法や導入効果を解説する。

製品資料 株式会社ecbeing

ECサイトを構築した後も残る「FAX注文」、AI-OCRとの連携でどう解決する?

取引先との受発注をFAXからECサイトに切り替えたものの、取引先の都合でFAX注文が残り、二重入力の手間や人的ミスの発生といった課題が発生しているケースは多い。その解決策として、AI-OCRを使ったECサイトとの連携について紹介する。

製品資料 ニュータニックス・ジャパン合同会社

AIの実装/管理を成功させる4つのポイント:データやコストの課題と解決策

AIは生産性や顧客満足度の向上などさまざまな効果をもたらすが、その導入時に、AIモデルの管理/監視、従業員のスキルギャップ、データの一貫性などの課題に悩まされる企業は多い。これらを解消するために必要な、AI戦略の進め方とは?

製品資料 ニュータニックス・ジャパン合同会社

PoC段階で30%の企業が導入を断念、生成AIプロジェクトを成功に導くためには?

企業にとって生成AIは、生産性向上や収益性増加をもたらす重要な技術だが、導入には多くの課題が存在する。PoC(概念実証)段階で約30%の企業が導入を断念するといわれる生成AIプロジェクトを成功に導くための方法を紹介する。

製品資料 日本マイクロソフト株式会社

“普通の社員”のPC活用が根底から変わる、Copilot+ PCがもたらすAI改革の姿

生成AIによって既存業務の生産性向上といった成果を上げる企業が増えている今、AIをより効果的に活用するための鍵になるといわれているのが、AI処理に特化した「Copilot+ PC」だ。AI PCが具体的にどのような変化をもたらすのかを解説する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...