「Cinder」は、OpenStackプロジェクトの一部として、仮想インスタンス用の永続データを保存できるようにブロックレベルのアクセスを提供する。論理ボリュームマネジャーか、従来のストレージをOpenStackで使えるようにするプラグインを使って、ローカルストレージへのアクセスを提供するようになっている。そのためにサポートは、ストレージベンダーやOpenStackディストリビューションのプロバイダーが提供している。
「OpenEBS」は、コンテナ化されたアプリケーション用のオープンソースのブロックベースストレージだ。多くのオープンソースストレージと同様に、「Go」で書かれており、Apache 2.0でライセンスされている。OpenEBSはまだβ段階にあり、本番利用に向けて活発に開発が進められているが、これも多くのオープンソースストレージ製品と共通している。
Portworxが手掛ける「Portworx」は、コンテナベースのスケールアウト型ストレージ製品であり、コンテナに永続ボリュームを提供する。Portworxは商用エディションの「PX-Enterprise」と無料の開発者向けエディション「PX-Developer」をラインアップしている。PX-Developerはスケーラビリティが限られており、GUIも備えていないが、開発環境では商用製品の代わりに使える。また、Portworxソフトウェアには、パブリッククラウドにデプロイできるというメリットもある。
当然のことながら、オープンソース技術は、ユーザーが単に利用するだけでなく、自分の開発成果などをコミュニティーに還元することで成立している。そのため、上で紹介したプラットフォームの開発に誰でも自由に参加し、貢献することができる。
膨大なデータに対応できる大規模で高スケーラビリティのストレージは、高価になりがちだ。オープンソースストレージを使えば、IT部門はコモディティストレージの安さを享受でき、ソフトウェアライセンス料がかからず、本当に必要なサポートについてのみ費用を支払えば済む。
大企業では、一部の開発者をオープンソースストレージソフトウェアの開発に携わらせることが理にかなっている可能性がある。そうすることで、そのソフトウェアを自社でサポートする(ベンダーのサポートを一切受けずに、あるいは開発やテストにおいてのみ)機会や、新機能の統合を取り仕切る機会が得られる。また、アーカイブやバックアップなどのために長期にわたって運用するストレージについては、オープンソースプラットフォームのメンテナンスに参加していれば、ベンダーが商用製品から撤退するリスクの軽減に役立つ。
商用サポートが提供されているオープンソース製品を使うのではなく、Linux iSCSI TargetやSMB on Linuxのようなオープンソースコンポーネントから、自前のオープンソースストレージを構築するという選択肢もある。これらのコンポーネントを使って、特に、ZFSファイルシステムと組み合わせて、ストレージインフラにファイルサービスやブロックサービスを提供できる。ただしサポートは開発者コミュニティーから得るしかない。気の弱い人には向かない選択肢だ。
オープンソースストレージ市場では、保存データの主なタイプや多種多様なユースケースをカバーする幅広い製品やツールが提供されている。オープンソース製品は通常、1つの企業が開発し、サポートを提供しながら、コードをコミュニティーに公開している。大企業にとって、商用ストレージプロバイダーから提供されているレベルのサポートを受けるのは難しいかもしれない。それでも、いずれはオープンソースは、ストレージ分野に大きく貢献しそうだ。
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