OSS技術をベースとしたオブジェクトストレージ、ファイルストレージ、ブロックストレージから、主要なストレージを一挙に紹介する。
市場では、オブジェクト、ファイル、ブロックストレージの要件をカバーする幅広いオープンソース技術が提供されている。一部の製品は1つのプロトコルで動作するが、エミュレーションやプロトコルコネクターによって複数のプロトコルをサポートする製品もある。
前編「OSSストレージは良いことだらけ? 商用製品との違いは」に続き、後編ではオープンソース技術を活用したさまざまなストレージを紹介する。
最も一般的なオープンソースストレージ製品は、オブジェクトストレージのカテゴリーに属するものだ。オブジェクトストレージは通常、コストを安く抑える必要があるアーカイブやバックアップデータの保存に使われる。
「Ceph」は、2007年ごろに始まったオープンソースプロジェクトだ。セージ・ウェール氏の博士論文に基づいて開発された。ほとんどのオープンソースプロジェクトと同様にGitHubで公開されており、LGPL(Lesser GNU General Public License)version 2.1でライセンスされている。
Cephはスケールアウト型の分散オブジェクトストアであり、「RADOS(Reliable Autonomic Distributed Object Store)」とも呼ばれている。多数の物理または仮想ノードから構築されており、ストレージ、メタデータサービス、APIサービス、クラスタモニタリングを提供する。
オブジェクトに加えてブロックおよびファイルデータもサポートし、ブロックデータのサポートはRADOSブロックデバイスによって、ファイルデータのサポートはCeph FS(ファイルシステムゲートウェイ)を使って行われる。InktankがCephのサポートを提供していたが、Red Hatが2014年に同社を買収し、現在、Cephの商用版を販売している。商用版は、堅牢なエンタープライズレベルの実装が行われている。
フランス企業のOpenIOが手掛ける「OpenIO」は、電子メールやバックアップ、アーカイビングなど、さまざまなアプリケーションでの利用をサポートするスケールアウト型オブジェクトストアだ。OpenIOソフトウェアはLGPL version 3またはAffero General Public License version 3でライセンスされている。
OpenIOは2006年から開発されてきたが、オープンソース化されたのは2012年だ。大部分のオープンソースストレージ製品とは異なり、OpenIOはx86とARMの両方のプロセッサアーキテクチャをサポートしている。1つのクラスタ内に両方のアーキテクチャを混在させることもできる。
「Minio」は、Apache License version 2.0でライセンスされているオブジェクトストアサーバだ。このソフトウェアは軽量で、Dockerコンテナとして、Homebrewを使ってmacOS上で、あるいはWindows上またはLinux(x86、ARM)上で実行できる。商用サポートではなく、コミュニティーによるサポートに依存している。
「S3 Server」は、2016年にScalityによってDockerコンテナイメージとしてリリースされた。それ以来、60万回以上プルされている。ライセンスはApache 2.0を採用。軽量のシングルノードオブジェクトストアであり、Amazon S3(Amazon Web Services Simple Storage Service)API互換のオブジェクトストアへの簡単なアクセスを提供する。Scalityは、大規模な本番環境向けのオブジェクトストアの実装を求める顧客が、S3 Serverに代えて、商用サポートが提供されている同社の「Ring」製品に移行することを期待している。
「Swift」は、「OpenStack」のオブジェクトストレージコンポーネントだ。コモディティティサーバで実行できるスケールアウト型のノードベースオブジェクトストアを提供する。またSwiftは、データアクセスに使われるプロトコルでもあり、さまざまなオブジェクトストレージベンダーにサポートされている。SwiftStackが商用サポートを提供し、開発を主導している。
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