徹底解説:vSAN、HCIベンダーが提供する「SDS」の長所と短所SDSの定義とトレンド【前編】(1/2 ページ)

「ソフトウェア定義ストレージ」(SDS)の定義はベンダーによって異なる。ハイパーバイザーベースやハイパーコンバージドベースなど、さまざまな種類のSDSについて長所と短所を解説する。

2017年06月01日 15時00分 公開
[Marc StaimerTechTarget]

 ストレージの分野で、「ソフトウェア定義ストレージ」(SDS)ほど見解に相違が見られる用語はない。一般的に受け入れられている定義はなく、SDSの定義はベンダーによって異なる。ベンダーは、自社の製品に当てはまるようにSDSの定義を作り上げており、全てのストレージベンダーがSDSを提供しているように見えているのが実情だ。

 SDS市場において、SDSの見解について一致しているのは、アーキテクチャではなくマーケテクチャ(マーケティング上の工夫)くらいだろう。

 SDSでは、データストレージのハードウェアを管理するソフトウェアからハードウェアが分離されており、ストレージソフトウェア自体はハードウェアに依存していない。コントロールプレーンはデータプレーンから分離しているのが一般的だが、断言できるとは限らない。

 このように広範な定義によって、現在利用可能なほぼ全てのストレージがSDSと認められている。そのため、SDS市場では、最適な機能を備えた製品の判断は消費者の手に委ねられている。

SDSのトレンドを後押しする原動力

 あらゆるストレージシステムは、ソフトウェアによって定義されてきた。変化したのは、ソフトウェアを持ち運べるようになったことだ。

 これまでストレージシステムのソフトウェアは、管理対象のハードウェアに付随しているのが標準だった。ハードウェアの容量やパフォーマンスが不足した場合は、ハードウェアを取り換えなければならなかった。そして、ハードウェアと合わせてソフトウェアのライセンスの再購入も余儀なくされていた。

 事態を大きく悪化させていたのは、ストレージシステムのアーキテクチャが孤立したサイロを形成していたことにあった。一意なインフラが原因で、ストレージのプロビジョニング、データの保護、災害復旧、機器のリフレッシュ、データの移行、電力、冷却といった全ての要素が徐々に維持できなくなっていった。現在、データには、データの急増および増加の一途をたどるデータを保管するニーズというトレンドが見られる。このトレンドと現在市場に出回っているアーキテクチャの相互作用によって、ストレージシステムは非常に複雑で難解な存在であるだけでなく、高価な価格によって維持できなくなっているのが実情だ。

 SDS市場が現在のようになったのには、幾つかの技術的な要因もある。まず、x86コンピューティングアーキテクチャの継続的な向上がもたらした必然的な結果と捉えることができる。x86アーキテクチャのパフォーマンス向上と特定のストレージ機能でコアが利用できることになったことで、ストレージシステムではx86アーキテクチャが標準になった。

 SDSを後押しする他の技術的な要因には、サーバ、デスクトップPC、アプリケーション、ネットワーク(SDN)におけるx86仮想化の普及が挙げられる。この事実は、データイメージが存在するハードウェアからデータイメージを分離することをIT部門が受け入れる態勢を整えるのに一役買っている。

 クラウドテクノロジーの人気も、SDS市場を後押しする大きな要因となっている。クラウドデータセンターは、業界標準とコモディティハードウェアに基づいた安価な新しいストレージアーキテクチャを必要としていたからだ。

 SDSを後押しする他の技術的な要因には、サーバ側のフラッシュストレージ、メモリとサーバストレージを他の物理サーバホストと透過的に共有できるようにするソフトウェアなどが挙げられる。

 これら全てのテクノロジーの変化によって、サーバとストレージハードウェアの垣根がなくなり、ストレージソフトウェアの携帯性と柔軟性は高まった。それから、ストレージのコストが大幅に減少していることも見逃せないだろう。

各SDSの長所と短所

 標準的なSDSの定義が存在しない中で、SDS市場ではさまざまなテクノロジーが生まれてきた。前編では、以下2つのSDSの種類を取り上げる。

  • ハイパーバイザーベースのSDS
  • ハイパーコンバージドインフラ(HCI)のSDS

 上述の各種類には重要な相違点と類似点があり、複数の種類に分類される製品もある。SDSでは「柔軟性」「使いやすさ」「スケーラビリティとパフォーマンス」「総所有コスト(TCO)」が重視されるため、本稿では、この4つの基準から各SDSの長所と短所を評価する。

ハイパーバイザーベースのSDS

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       1|2 次のページへ

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

製品資料 Dropbox Japan株式会社

ファイルサーバをアウトソーシング、「クラウドストレージサービス」の実力

中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

郢ァ�「郢ァ�ッ郢ァ�サ郢ァ�ケ郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�ュ郢晢スウ郢ァ�ー

2025/04/26 UPDATE

  1. 霎滂ス。驍ア蜩ュAN邵イ菫J-Fi 7邵イ髦ェ竏育クコ�ョ驕假スサ髯ヲ蠕娯€イ鬨セ�イ邵コ�セ邵コ�ェ邵コ�ス��ケァ蠕娯味邵コ莉」�ス騾�ソス鄂ー
  2. 邵イ蠕鯉ソス郢晢スゥ郢ァ�、郢晏生�ス郢晢ソス5G邵イ髦ェ�堤ケ晢スヲ郢晢スシ郢ァ�カ郢晢スシ邵コ遒≫�邵コ�ー邵コ�ェ邵コ�ス謔ス陟冶侭�ス騾�ソス鄂ー
  3. 邵イ菫J-Fi 6邵イ髦ェ�定舉�ァ陋溷�笘�ケァ荵敖€菫J-Fi 7邵イ髦ェ�ス鬨セ�イ陋ケ謔カ竊堤クコ�ッ�ス�ス
  4. 霎滂ス。驍ア蜩ュAN髫穂ケ暦ソス�シ邵イ菫J-Fi 7邵イ髦ェ竊馴ォ「�「陟「�ス窶イ鬮ョ�ス竏ェ郢ァ蟲ィ竊醍クコ�ス��ケァ蠕娯味邵コ莉」�ス騾�ソス鄂ー
  5. 邵イ蠕後◇郢晢スュ郢晏現ホ帷ケァ�ケ郢晏現ツ€髦ェ竊楢愾謔カ�企お�ス�ス闔ィ竏オ�・�ュ邵コ�ョ遯カ諛茨スョ蜿・�ソ�オ邵コ�ェ霑エ�セ陞ウ貅ェツ€譏エツ€ツ€邵コ�ェ邵コ諛キ�ソ�ス�ヲ竏壺�陝�スセ驕イ謔カ窶イ邵コ�ァ邵コ髦ェ窶サ邵コ�ス竊醍クコ�ス�シ�ス
  6. 邵イ譬猶v6邵イ髦ェ�定崕�ゥ騾包スィ邵コ蜷カ�狗クコ�ェ郢ァ蟲ィ��ケァ蠕娯味邵コ莉」�ス驕擾ス・邵コ�」邵コ�ヲ邵コ鄙ォ窶ウ邵コ貅假シ樒ケァ�ウ郢晄ァュホヲ郢晏ウィホ懃ケァ�ケ郢晢ソス
  7. 鬨セ螢サ�ソ�。郢ァ�、郢晢スウ郢晁シ釆帷ケァ雋橸スシ�キ陋ケ謔カ笘�ケァ荵昶�郢ァ�ス4G邵コ�ァ郢ァ�ス5G邵コ�ァ郢ァ繧��邵コ荳環€迹夲ス。蟶カ蠑碁ィセ螢サ�ソ�。邵イ謳セ�シ貅伉€ツ€邵コ譏エ�ス髫ェ�ウ邵コ�ィ邵コ�ッ
  8. 邵コ�ス竏ェ邵コ霈費ス蛾蜜讒ュ��邵コ�ェ邵コ�スツ€菫Jreshark邵イ髦ェ竊堤クイ闕劃pdump邵イ髦ェ�ス霑夲スケ陟包スエ邵コ�ィ鬩戊シ費シ�
  9. 邵イ遯欷S Outposts邵イ髦ェ�ス5G郢ァ蛛オ竊千クコ�ス�、蟲ィ竏エ郢ァ荵晢ソス邵コ蜈キ�シ�ス
  10. 郢ァ�ィ郢晢スウ郢ァ�ク郢昜ケ昴>闕ウ蟠趣スカ�ウ郢ァ螳夲スァ�」雎ク蛹サ笘�ケァ荵昶螺郢ァ竏壺�郢晞亂繝」郢晏現ホ。郢晢スシ郢ァ�ッ隶鯉スュ騾。蠕鯉ソス邵コ�ゥ邵コ�ス�、蟲ィ�冗ケァ蠕鯉ソス邵コ�ス�樒クコ�ョ邵コ蜈キ�シ�ス

徹底解説:vSAN、HCIベンダーが提供する「SDS」の長所と短所:SDSの定義とトレンド【前編】(1/2 ページ) - TechTargetジャパン サーバ&ストレージ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...