GPUインスタンスは、演算負荷の高いアプリケーションで必要とされる処理をこなすことができる。とはいえ、どんな場合でもワークロードや予算の面で有効とは限らない。
AI(人工知能)、機械学習、ビッグデータのアナリティクスなどを導入する企業が増え、新しいタイプのクラウドインスタンスを求める声が高まっている。
社内で扱うデータセットの容量は拡大し続けているので、その全てのデータを駆使するため、企業は処理能力を強化する必要に迫られている。GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)は、主にグラフィックスの処理を多用するアプリケーションに使用されるが、計算集約型のアプリケーションにも適している。これを導入することで、課題が解決できる可能性がある。
主なクラウドプロバイダーは現在GPUインスタンスを提供しているが、どんなワークロードにも有効とは限らない。また、コストが問題視される場合もある。クラウドにGPUを導入するに当たって、よく聞かれる3つの質問とその回答を以下にまとめた。
GPUインスタンスの適用が不向きなアプリケーションやワークロードも存在する。安易に導入するのではなく、対象アプリケーションのニーズを慎重に評価すること。一般的には計算集約型のワークロードに最適であることを覚えておいてほしい。
ビジネスアナリティクスアプリケーションの中には、GPUの導入でプロセッサの並列処理機能を活用することになり、著しい効果が表れるものもある。また、AIアプリケーションにも適している。スーパーコンピュータの力を学術研究に活用している企業もまた、GPUの導入によって効果が得られるだろう。のみならずビデオ制作、仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)、エンジニアリングの一環としてのシミュレーションなどの計算集約型アプリケーションも、このタイプのインスタンスの恩恵を受けられる。
GPUベースのクラウドインスタンスは、同種のテクノロジーを自前で社内に実装するよりも安価だが、仮想CPUベースのクラウドインスタンスよりも費用がかさむ傾向にある。なおGPU上で動作するワークロードの種類の中には、一部のIT部門向けの学習に特化したものもあるかもしれない。
Amazon Web Services(AWS)、Azure、Googleの各サービスにおいて、GPU1個1時間当たりの利用料金は0.70〜0.90ドルだ。比較のために示すと、AWSの汎用(はんよう)仮想CPUベースのインスタンスは、1時間当たりの最低料金が0.0058ドルとなっている。
また、高性能コンピューティング(HPC)アプリケーションでは通常GPUが使用されるが、自社の独自用途のためカスタム部分を開発したり、Apache Spark、TensorFlow、Torchなどの特殊なツールやフレームワークを使用したりしなければならないことが珍しくない。ただし、こうした事態には経験が乏しいIT部門もある。企業は、この業務に実際に携わるスタッフがアプリケーションを適切に構築して管理できるように、彼らに対するトレーニングと必要な知識や技能の認定に投資する必要があるかもしれない。
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