医療用コネクテッドデバイス市場も拡大
医療現場のIoT活用が医療の質も病院経営も改善する、5つのメリットとは
医療現場でIoT(モノのインターネット)を利用するメリットは、患者の生体情報を遠隔モニタリングしたり、院内の医療機器の場所を追跡したりと、さまざまだ。特筆すべき5つのメリットについて解説する。
毎年、医療現場ではIoT(モノのインターネット)の価値が証明され続けている。医療施設内でも患者宅でも、IoTは業務や患者の治療に良い影響を与える取り組みを支援している。そのため、医療機関のIT部門責任者はIoTの評価と導入を急速に進めている。今後のIT戦略のロードマップにおいて、コネクテッドデバイスが重要な要素になり、大いに役立つ領域を急いで特定しようとしているのだ。
IT担当者も医療従事者も、医療現場でのIoT利用とそれによってもたらされる機会に期待を寄せる。市場には医療用途のコネクテッドデバイスが多数登場した。こうしたデバイスは、患者の生体情報をリアルタイムでモニタリングし、その状態についての警告やフィードバックを送ることができる。この種のデータを活用することは、患者のアウトカム(医療行為に対する成果)改善につながる。
患者向けでない用途でもIoTは実用性を発揮している。例えば、電力消費量の監視や、重要な医療資源(人材や医療機器など)の追跡などだ。テクノロジーの愛好家は既にIoTを導入しているわけだが、このテクノロジーの普及を後押ししている要因は幾つかある。医療現場でIoTを利用する5つのメリットを以下に紹介する。
ワイヤレスネットワークとWi-Fiが改善し、IoTの対象範囲が拡大
ワイヤレスネットワークの品質が良くなり、医療施設全体での接続性が充実してきた。その結果、医療デバイスからのネットワークアクセスがしやすくなっている。これによりIoT技術を実装する負担が小さくなり、導入の複雑さが減り、必要な時間も短縮されている。これは、以前なら対象範囲に含めることが難しかった領域や、ネットワーク接続に高いコストがかかっていた領域からもデータが収集できるようになったことを意味する。
IoTの利用によって患者からの信用が大幅に高まった
IT幹部は、アウトカムの改善であれ、臨床業務のミスの低減であれ、IoTが強力な差別化要素になる可能性があることを早くも認識している。医療現場でIoTを利用することで、自施設はテクノロジーイノベーションの先導者であると患者に印象づけることができる。その成功を通じて、先進技術とケアの提供における優位性を強調することができる。
投資に対する確実な利益
安価なIoTといえば、35ドルで基本モデルを購入できる小型コンピュータ「Raspberry Pi」が挙げられるが、医療機関が購入するほとんどのIoTデバイスはそれよりずっと高いコストがかかる。本稿執筆時点のコネクテッドデバイスの取り組みには、ハードウェア、ソフトウェア、トレーニング、実装のコストが盛り込まれている。だが、そうした取り組みでもほとんどのケースで、確実な投資対効果(ROI)を得られる可能性がある。機器のコストが下がっていることと、データ収集にクラウドを利用しているためだ。
患者をリアルタイムに監視するにはさらなるIoTが必要
慢性疾患を抱える患者は増加傾向にあり、患者支援のために遠隔モニタリングデバイスの需要が高まっている。そのため、医療機関はIoT導入の必要にかられている。このような医療用途のコネクテッドデバイスがあれば、病院内外にいる患者のデータをモニタリングできる。リアルタイムに生体情報を監視できれば、異常な測定値を迅速に検出して対応することが可能だ。これにより、臨床医は入院患者数を減らしながらアウトカムを改善できるようになる。
医療現場でのテレメディスン増加で高まるIoTの需要
多くの医師は、患者の間でテレメディスン(遠隔医療)への関心が徐々に増しているのを感じている。米国では、その保険対象額も多少増えてきている。テレメディスンは、地方の患者が遠く離れた専門医の診察を受ける便利な方法になるだけではない。IoTと組み合わせることで、生体情報を収集するために医療施設に足を運ぶ頻度を減らすこともできる。テレメディスンの結果としてIoT採用が促進する、という相互関係は徐々に強まるだろう。
時がたつにつれ、この市場に参入するデバイスやアプリケーションベンダーは増えることだろう。医療機関はそうした企業競争による恩恵を受けることになる。本稿執筆時点の市場動向は、IoTの技術と将来性を下支えしているといえる。だがコネクテッドデバイスのセキュリティは依然として問題視されている。IoTデバイスのデータ侵害や改ざんに伴うリスクは、医療機関でのIoT利用に関わる最大の懸念事項の1つだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社kickflow] 2社の事例に学ぶワークフロー改革:属人化解消や年数万件の申請書類削減のコツ -
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
2
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
5
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
6
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
7
Web会議では「見た目」よりも「声」を気にすべき理由と、その改善策
-
8
IT予算が10%増えたら何に使う? 著名企業のCIOが明かす「最優先の投資先」
-
9
【お知らせ】 医療機関のIT化に関する読者調査
-
10
音声もFAXもメールで確認――ユニファイドメッセージの業務効果
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
2
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
6
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
7
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
8
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー