医療従事者が事務作業の負担によって本来やるべき医療に専念できない――という課題は、長きにわたり問題視されてきました。人工知能(AI)技術の普及は、こうした課題も解決するかもしれません。
生活のさまざまなシーンで人工知能(AI)技術が活用されています。身近な例としては、スマートフォンの音声認識や自動運転車、画像検索エンジン、Eコマースサイトの商品レコメンド機能、産業分野における画像認識(製造現場の不良品検査など)などが挙げられます。
今後は医療の現場でも、AI技術を利用して診療の過程で発生するビッグデータを解析することで、医療の質の向上や業務の効率化が図れるのではないかと期待を集めています。政府もAI技術の可能性に注目し、2016年10月19日に公開された「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」の提言書において、ビッグデータの活用やAI技術による分析が進むことで、現在は診断や治療が難しい疾患でも、個人の症状や体質に応じた、迅速かつ正確な検査や診断、治療が受けられるようになる、といったメリットに言及しています。
政府の目指す方向性は、医療現場でも少しずつ浸透しています。
医師は電子カルテを利用して日々の診療の中で、薬や注射、検査などのオーダーを出しています。電子カルテの導入前には一般的に、電子カルテのインストラクター(ベンダーの指導員)が医師にヒアリングして、よく使う薬や注射、検査を絞り込みます。医薬品マスター(扱っている医薬品データをまとめたデータベース)には膨大なデータがあるため、この中からその都度検索をしていると時間がかかってしまいます。そこで検索スピードを高めるために、電子カルテ利用者(病院や医療従事者)ごとによく使うオーダー内容を反映して絞り込んだ「ユーザーマスター」を作成し、よく利用する項目をあらかじめ絞り込みます。これは一般的に「マスター設定」と呼ばれる作業で、電子カルテ導入時には重要なプロセスの一つです。
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