Boston Medical Centerでは、30日以内の再入院率低下を目指し、退院後の患者支援をする「バーチャル看護師」を試験運用している。このソフトウェアは、患者だけでなく人間の看護師にもメリットがあるという。
「ボストン・レッドソックスのファンですか」と、看護師のエリザベスが興味津々の面持ちで患者に尋ねる。「私もいつか試合を見に行きたいと思っているんだけど、フェンウェイパークはコンピュータの入場を許可していなくて」
実は、エリザベスは画面上に表示される「バーチャル看護師」だ。患者との気軽な会話から始めて、徐々に退院指導の説明へと移っていく。患者が話すには、会話の各ポイントで画面の右側にあるチャットボックスから言いたいことを選択する。
退院後の支援をするバーチャル看護師ソフトウェアは、病院でテクノロジーを利用して30日以内の再入院を減らす可能性を示す一例だ。
再入院率の高さは患者のアウトカム(治療成果)に影響し、メディケア・メディケイドサービスセンター(Centers for Medicare and Medicaid Services:CMS、注1)からの保険支払額が減額される恐れがあるために、医療機関では昔から再入院は懸念事項だった。データ分析と意思決定をサポートする企業Health Catalystが実施した調査によると、入院患者の臨床ケアに着目した場合、患者の安全に関わる「最も改善を必要とする分野」リストのトップが再入院で、21.6%を占めている。
注1 公的医療保障制度であるメディケアおよびメディケイドの運営主体。米国保健福祉省に所属する組織の一つ。
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